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第三話 魔者の花嫁編
3ー54 いざギルド祭へ
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雲ひとつない青空に炎使いの花火が上がり、ギルド祭が始まった。
「さ、今日はオレが案内しますんで、ドーンと大船に乗った気で楽しんでください!」
セツ、ロワメールとミエル、カイを引き連れ、意気揚々とリュカが会場へ向かう。
フレデリクが名乗り出た役目だが、ギルド祭の実行委員長で四属性対抗試合の出場選手に、そんな暇はない。なので泣く泣く、弟子に案内役を譲り渡したのだ。
本部棟裏庭から闘技場への道をメインストリートとし、両脇に屋台が並ぶ。綿菓子、焼き鳥、リンゴ飴にカキ氷、射的に輪投げにヨーヨー釣り、ザッと見回しただけでも色んな種類の屋台があった。
「うわぁ! 本格的だー!」
ロワメールが、二色の瞳をキラキラと輝かせる。
「儲け度外視なんで、どこも安いですよ」
素人の屋台なので手作り感は否めないが、手頃な値段設定にどこも賑わっていた。
ロワメールな早速綿菓子を片手にご機嫌である。王子様の肩に乗るミエルが、興味津々に甘い雲を覗き込んだ。
「これは、ミエルは食べられないからね」
初め、ミエルは留守番の予定だったのだ。
しかし、置いていかれる気配を察し、ミエルは抵抗した。
「みゃあ! みゃあ!」
一緒に連れて行ってと、必死にせがむ。
「でも、人が多いから、迷子になってもいけないし」
「みゃあああああああああ!」
結局、悲痛な鳴き声に負けたのである。
案の定、子ネコは祭りの喧騒を怖がって手の中で丸まっていたが、次第に好奇心が優ったらしい。ロワメールの肩によじ登り、そこでちょこんと落ち着いてしまったのだ。
「ミエル、そこでいいの? 落ちないでね」
ロワメールもこれなら両手が空き、思う存分買い食いできるので一石二鳥である。
だが、肩に子ネコを乗せた絶世の美青年は人目を引いた。特にロワメールの美貌に免疫のない一般客は、目が釘付けになる。
すれ違う人すれ違う人がロワメールに見惚れて、渋滞ができていた。
しかし、行く先々で混雑を撒き散らすが、自身の外見に無頓着な王子様は自分が原因と思わずに、祭りの盛況さに感心する。
「凄い人混み。ギルドの祭りは大人気なんだね」
リュカだけでなく、カイもセツも密かに苦笑した。凄い人混みなのは、ロワメールの周囲が、である。
「ギルド祭の目玉は、なんと言っても四属性対抗試合と人気投票結果発表です。対抗試合は午前から午後にかけて、それから祭りの最後に人気投票の結果発表があります。そこをメインに見て回るんで、後はゆっくりギルド祭を楽しんでください」
一行は、人集りを作りながらメインストリートをのんびりと進み、祭りを堪能した。
「ここがチビッコに一番人気! 風使いによる空中散歩!」
リュカの説明通り、たくさんの子どもたちが行列を作っている。
風使いが籠に子どもを入れて空を飛ぶコーナーは、子どもたちに絶大な人気だった。
「で、今度はこちら、土使いよる迷路!」
「迷路って、なんかこないだの……」
「そうです。フレデリクさんが湖城の魔者討伐をヒントにして、土使いの出し物にしちゃいました!」
魔獣を模した土人形を倒してギミックを解きながら、ゴールを目指すアトラクションである。
つい先日の魔者討伐を追体験できるとあって、大好評だ。
「で、ここも人気。水使いによる、夏なのに雪コーナー! 涼しいっす」
明日から月待月だといっても、まだまだ暑い。夏空にハラハラと雪が舞う空間に、涼を求める人は絶えなかった。
「そんで、ギルド祭名物」
リュカの紹介と共に、食欲をそそる匂いが漂ってくる。
「炎使いによる肉の炙り焼きコーナー! 美味しいんすよ、これが!」
炎天下の中、串に刺された巨大な肉がジリジリと焼かれている。秘伝のタレを塗られた塊肉からポタポタと脂がしたたり落ち、香ばしい匂いが辺り一帯に漂っていた。
「どうですか、この芳しい肉の焼ける匂い! 魅惑的な艶! たまんないでしょ! オレは毎年欠かさず食べてます! 皆さんも是非!」
塊肉から薄く削がれた肉にハフハフと齧りつけば、肉汁と甘辛いタレが絡み合い、口の中を唾液が満たす。リュカでなくとも、やみつきになりそうだった。
「夏の祭りで炎使いには不利なのに、うまくやりましたよ、ほんと」
「……不利?」
アイスブルーの目を向けられ、リュカは己の失言を悟る。
「いや、その、対抗試合の影響で、このギルド祭自体が属性対抗というか……。売り上げとか? どこが一番人気だったかーとか」
「そういえば、ロワ様が買った屋台も、全部土使いのものでしたね」
カイがよく見ている。
綿菓子もイカ焼きも焼き鳥も、全て土使いの屋台であった。
「美味かったっしょ? オレのオススメの屋台には違いないんで!」
ちゃっかり土使いの売り上げに貢献していたわけだ。
「かわらんな。俺が子どもの頃も、どの属性が強いとかは言い合ってたよ」
「やっぱりっすか」
懐かしそうに目を細めるセツに、リュカが納得する。
属性に優劣はない。それでも自分の属性に肩入れしてしまうのは、人の心理だった。
「ちなみに、祭りで一番売り上げるのは?」
「……水使いっすよ。夏ですからね! そりゃあ水使いが有利っすよ!」
カイの意地悪な質問に、リュカがやけくそ気味に答える。暑い最中、氷を存分に使える水使いの屋台は飛ぶように売れていた。
「どーせ土使いは地味ですよ。堅実なんですー」
売り上げが伸びないのか、痛いところを突かれたリュカは不貞腐れる。
「地味か? 俺のイメージは、質実剛健だがな」
「質実剛健! いいっすね!」
セツの感想に、リュカの機嫌が上向く。
「属性ごとに傾向があるんだ?」
ロワメールに聞かれ、セツとリュカは顔を見合わせた。
「そうだな。なんとなく偏りはあるな」
「炎使いは気が強くて、水使いは平和主義、風使いは自由で、土使いは結束が硬いって感じっすかね」
「へえー」
属性間で優劣を競い、属性同士で共通点も持つ。個人主義と言われる魔法使いの新たな一面を、ロワメールは面白そうに聞き入った。
「と、まあ、ギルド祭の裏側と魔法使いの裏話を聞けたところで、そろそろ闘技場に向かいましょうか。対抗試合、スッゲー盛り上がりますよ」
リュカに先導され、一行は人波に乗り、闘技場へと進んだ。
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
❖ お知らせ ❖
読んでくださり、ありがとうございます!
3ー55 四属性対抗試合1 開幕 は1/10(金)の夜、21時頃に投稿を予定しています。
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本部棟裏庭から闘技場への道をメインストリートとし、両脇に屋台が並ぶ。綿菓子、焼き鳥、リンゴ飴にカキ氷、射的に輪投げにヨーヨー釣り、ザッと見回しただけでも色んな種類の屋台があった。
「うわぁ! 本格的だー!」
ロワメールが、二色の瞳をキラキラと輝かせる。
「儲け度外視なんで、どこも安いですよ」
素人の屋台なので手作り感は否めないが、手頃な値段設定にどこも賑わっていた。
ロワメールな早速綿菓子を片手にご機嫌である。王子様の肩に乗るミエルが、興味津々に甘い雲を覗き込んだ。
「これは、ミエルは食べられないからね」
初め、ミエルは留守番の予定だったのだ。
しかし、置いていかれる気配を察し、ミエルは抵抗した。
「みゃあ! みゃあ!」
一緒に連れて行ってと、必死にせがむ。
「でも、人が多いから、迷子になってもいけないし」
「みゃあああああああああ!」
結局、悲痛な鳴き声に負けたのである。
案の定、子ネコは祭りの喧騒を怖がって手の中で丸まっていたが、次第に好奇心が優ったらしい。ロワメールの肩によじ登り、そこでちょこんと落ち着いてしまったのだ。
「ミエル、そこでいいの? 落ちないでね」
ロワメールもこれなら両手が空き、思う存分買い食いできるので一石二鳥である。
だが、肩に子ネコを乗せた絶世の美青年は人目を引いた。特にロワメールの美貌に免疫のない一般客は、目が釘付けになる。
すれ違う人すれ違う人がロワメールに見惚れて、渋滞ができていた。
しかし、行く先々で混雑を撒き散らすが、自身の外見に無頓着な王子様は自分が原因と思わずに、祭りの盛況さに感心する。
「凄い人混み。ギルドの祭りは大人気なんだね」
リュカだけでなく、カイもセツも密かに苦笑した。凄い人混みなのは、ロワメールの周囲が、である。
「ギルド祭の目玉は、なんと言っても四属性対抗試合と人気投票結果発表です。対抗試合は午前から午後にかけて、それから祭りの最後に人気投票の結果発表があります。そこをメインに見て回るんで、後はゆっくりギルド祭を楽しんでください」
一行は、人集りを作りながらメインストリートをのんびりと進み、祭りを堪能した。
「ここがチビッコに一番人気! 風使いによる空中散歩!」
リュカの説明通り、たくさんの子どもたちが行列を作っている。
風使いが籠に子どもを入れて空を飛ぶコーナーは、子どもたちに絶大な人気だった。
「で、今度はこちら、土使いよる迷路!」
「迷路って、なんかこないだの……」
「そうです。フレデリクさんが湖城の魔者討伐をヒントにして、土使いの出し物にしちゃいました!」
魔獣を模した土人形を倒してギミックを解きながら、ゴールを目指すアトラクションである。
つい先日の魔者討伐を追体験できるとあって、大好評だ。
「で、ここも人気。水使いによる、夏なのに雪コーナー! 涼しいっす」
明日から月待月だといっても、まだまだ暑い。夏空にハラハラと雪が舞う空間に、涼を求める人は絶えなかった。
「そんで、ギルド祭名物」
リュカの紹介と共に、食欲をそそる匂いが漂ってくる。
「炎使いによる肉の炙り焼きコーナー! 美味しいんすよ、これが!」
炎天下の中、串に刺された巨大な肉がジリジリと焼かれている。秘伝のタレを塗られた塊肉からポタポタと脂がしたたり落ち、香ばしい匂いが辺り一帯に漂っていた。
「どうですか、この芳しい肉の焼ける匂い! 魅惑的な艶! たまんないでしょ! オレは毎年欠かさず食べてます! 皆さんも是非!」
塊肉から薄く削がれた肉にハフハフと齧りつけば、肉汁と甘辛いタレが絡み合い、口の中を唾液が満たす。リュカでなくとも、やみつきになりそうだった。
「夏の祭りで炎使いには不利なのに、うまくやりましたよ、ほんと」
「……不利?」
アイスブルーの目を向けられ、リュカは己の失言を悟る。
「いや、その、対抗試合の影響で、このギルド祭自体が属性対抗というか……。売り上げとか? どこが一番人気だったかーとか」
「そういえば、ロワ様が買った屋台も、全部土使いのものでしたね」
カイがよく見ている。
綿菓子もイカ焼きも焼き鳥も、全て土使いの屋台であった。
「美味かったっしょ? オレのオススメの屋台には違いないんで!」
ちゃっかり土使いの売り上げに貢献していたわけだ。
「かわらんな。俺が子どもの頃も、どの属性が強いとかは言い合ってたよ」
「やっぱりっすか」
懐かしそうに目を細めるセツに、リュカが納得する。
属性に優劣はない。それでも自分の属性に肩入れしてしまうのは、人の心理だった。
「ちなみに、祭りで一番売り上げるのは?」
「……水使いっすよ。夏ですからね! そりゃあ水使いが有利っすよ!」
カイの意地悪な質問に、リュカがやけくそ気味に答える。暑い最中、氷を存分に使える水使いの屋台は飛ぶように売れていた。
「どーせ土使いは地味ですよ。堅実なんですー」
売り上げが伸びないのか、痛いところを突かれたリュカは不貞腐れる。
「地味か? 俺のイメージは、質実剛健だがな」
「質実剛健! いいっすね!」
セツの感想に、リュカの機嫌が上向く。
「属性ごとに傾向があるんだ?」
ロワメールに聞かれ、セツとリュカは顔を見合わせた。
「そうだな。なんとなく偏りはあるな」
「炎使いは気が強くて、水使いは平和主義、風使いは自由で、土使いは結束が硬いって感じっすかね」
「へえー」
属性間で優劣を競い、属性同士で共通点も持つ。個人主義と言われる魔法使いの新たな一面を、ロワメールは面白そうに聞き入った。
「と、まあ、ギルド祭の裏側と魔法使いの裏話を聞けたところで、そろそろ闘技場に向かいましょうか。対抗試合、スッゲー盛り上がりますよ」
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