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11.聖域
しおりを挟む俺は震える指を、その目の前の膨らみに、そ っと近づけた。
暗闇の中、ロッカーに立てかけたスマホの明かりだけが、薄暗くあたりを照らす。狭い室内、籠った湿度が汗となり、俺の手はじっとりと熱い。
そっと近づけたはずの俺の指先は、距離感を間違え、唐突に三田の尻に触れてしまった。
その一瞬、三田の身体がかすかにびくりと揺れた。
「ごめん……」
俺は咄嗟に手を引っ込めた。
三田はちょっと笑いながら、
「……こえーな」といった。
音のない部屋で、息使いと声の震えが、ダイレクトに耳に響いた。
「こわい?」
「俺、ずっと……お前に触ってほしかったから」
そうか。
そのとき、俺はやっと気づいた。
余裕があるように見えていた三田も、俺と同じだったんだ、と。
俺は手元をよく見るために、自分のスマホのライトをつけて、胸ポケットに入れた。
さっきよりも広く、くっきりと浮かんだ稜線を、目でなぞる。なぜだか、不思議と心が落ち着いた。
俺はそっと、驚かせないことを意識しながら、その丸みに両の手を添わせた。
実感を伴った丸みとその弾力は、自分の想像をはるかに超えていた。柔らかく、そしてなにより温度があった。
緊張で震えていた三田も、俺に身体を預けてくれているようだった。三田は抵抗しない。
俺は、思いのままに三田の尻を揉みしだいた。
「お前って……ちゃんと変態なんだな」
三田にそう言われても、俺は揉むのをやめられない。
「……引いた?」
「いや。俺も……同じだから」
そういうと、三田は腰を浮かし、ベルトを緩めた。
「もっと……ちゃんと触って」
俺は三田に促されるまま、三田のズボンに手をかけた。
ずっと、ここ、が見たかった。
あの日、三田が俺に挑発していった台詞を思い出す。
『ここ、だろ? お前が見てんの?』
初めて、俺はその先を知るんだ。
俺はゆっくりと、三田のズボンを下ろした。
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