野球部エースの尻から目が離せない

motoi

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14.理由

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「馬鹿。顔、上げろよ」

 三田にそう言われ、俺はおずおずと顔を上げた。
 三田はちょっと照れたように笑って、俺の頭をくしゃくしゃと触った。

「昨日のことは……ただ怖くなっただけだ」

 その言葉を聞いても、俺はまだ自分を許せなかった。

 怖がらせたのは、俺だ。
 どう詫びればいいのか、途方に暮れた。

 三田は目を逸らして、恥ずかしそうに言葉を続けた。
 
「汚いって思われるんじゃないか……って」

「汚い?」
 俺は素っ頓狂な声を上げた。
 あまりに想定外だったので、面食らってしまった。

「俺、お前が思うような、キレイな人間じゃないから……尻からいい匂いがするわけでもないし、毛も生えてるし……」


「……いい匂いしたよ」

 昨日のことを思い出して、俺は正直に答えた。


「なんだよ、いい匂いって」

「いい匂いは、いい匂いだよ」


 あの匂いを思い出すと、今も股間が疼く。
 三田の体臭なら、ずっと嗅いでいたと本気で思った。

「そんなこと、気にしてたのか……」

 俺はそう呟いた。自分でも想定していなかったことなだけに、かける言葉が見つからない。

 三田は俺の様子を見てか、ちょっと安心したようだ。
 それでも、さっきから心ここにあらずといった様子で、ズボンの後ろをしきりに気にしていた。

「……大丈夫?」

 そう訊いたが、三田は口ごもって答えてくれない。

「俺、頼りないかもしれないけど…………。三田のこと、全部知りたい。全部知って、全部好きになる自信がある。だから」

 教えてほしかった。
 俺のこと、信じてほしかった。

 三田は俺の様子を見て、意を決したように、口を開いた。


「痒いんだよ…………ケツ」

 三田はズボンの後ろを気にして、視線を向けた。
 俺も同じように、三田の尻を見る。


 それで今日一日、よそよそしかったのか。

 そう思うと、合点する部分は色々あった。


 終始早歩きだったところとか、ピッチングで腿を上げられず東に指導されていたこととか……。

 ピンと張りつめていた空気のなかで言われ、俺は思わず笑ってしまった。


「わ、笑うなよ!」

 三田は照れくさいのか、いつになく顔を赤くしていた。


「なんで、痒くなっちゃったんだろう?」

「たぶん昨日……毛剃ったから、かも」


 三田は尻の後ろに手を回す。だが、お尻の肉が邪魔をして、立ったままではうまく掻けないようだ。

 俺は三田に身体を寄せて、前から三田のお尻に手を伸ばした。


「ここ?」
 
 三田の奥まった場所に届くよう、指先を伸ばしていった。





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