野球部エースの尻から目が離せない

motoi

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25.朝の公園

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 早朝。まだ陽の照っていない時間帯の澄んだ空気が、鼻の奥をツンとさせた。

 三田はロードワークに出ていた。9回裏まで投げるには体力がいる。気づけば朝のランニングは日課になっていた。

 祐樹は今日、学校に来るだろうか。

 時間を確認しながら、そんなことを思った。前よりは悲観的じゃないけれど、一度面と向かって謝らないといけないな、と決意していた。

 息が上がるか上がらないかの、ゆるい速度で長距離を行く。背筋を伸ばして、呼吸とリズムを整える。慣れると、どこまでもいけそうな気がしてくる。

 目標地点にした川まで着くと、折り返し、また同じ速さで家路を辿った。


 公園の脇を抜ける途中、ベンチに座っている見知った後ろ姿を見つけた。

「祐樹!」
 
 唐突だったので、自分でも思いの外でかい声が出た。
 祐樹がぱっとこちらを向いた。どうしてここにいるのかと困惑し、戸惑っているようだった。

「体調、大丈夫か」

 そっと近づいて、祐樹の隣に座る。拒む様子はないけど、歓迎しているようでもない、微妙な雰囲気だった。

「・・・・・・うん、まぁ」

 祐樹はこちらを見ず、前を向いていた。その横顔が三田には哀しく映った。


 手に力を入れて、心を奮い立たせた。ここで言わなきゃ、多分祐樹のことは取り戻せない。立ち上がり、祐樹の前に立った。

「ごめんっ!!!」

 深く、深く頭を下げる。言葉は上手に使えないから、なるべく態度で示そうと三田は考えた。

「この前はごめん。勝手に本見たりして、揶揄って、ホントにごめん!!」

 返事はない。泣きそうになりながら地面を見つめているの、そっと肩に手を置かれた。

「顔あげて」

 ゆっくりと顔を上げると、祐樹の顔が近くにあった。と思った瞬間、その顔が眼前に迫った。

 唇になめらかな感触を感じ、それがキスだと遅れて気づいた。いつもより積極的に祐樹の舌が俺の舌を絡めとるように動く。急な動きに息を整える暇もない。

「はぁ、はぁ………祐樹………どうしたの……」

「償ってもらおうと思って」

「あー・・・・・・、そっか」

「嘘だよ。ごめん」

 祐樹は寂しげな表情で笑うと、そっと身体を離した。

「別に怒ってたわけじゃないんだ。ただ自分に失望してただけ」

「・・・・・・なんで」

「俺、三田のこと、すごい好きで、大事にしたいって思ってるのに、会うといっつも、性欲ばっかになっちゃって。最悪だなって」

「そんなの・・・・・・俺もそうだし」

「・・・・・・欲深いんだよ、俺。最初は見てるだけでいいって思ってたのに、触ったり、キスしたりするうちに、もっとしたい、もっと色んなことしたいっ、て」

「俺だって、」

 三田の発言を遮って、祐樹は口を開けた。

「だから、もう近づかない方がいいかなって。昨日一日考えて、決めたんだ」

「おい」

「ごめん。でもこれ以上は、俺も歯止めが効かないかも」

「ふざけんなって」

 頑なにこっちを見ない祐樹の顔を手で寄せて、三田は無理やりキスをした。さっき祐樹がやったよりも強引に、舌をねじ込む。しばらくのあと、唇を離した。

 祐樹の手をガッと掴み、自分の股間に無理やり当てる。

「わかる? 俺だって、キスだけでこんなんになってんだよ」

 ジャージの中で屹立した三田のあそこを、祐樹は初めて触れた。その大きさとボリュームが、服越しでも伝わる。


「・・・・・・欲深いっていうならさ、俺のこと、もっと求めてよ」


 
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