人類アンチ種族神

緑茶

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第一章.はじまり

人類アンチ種族神Ⅴ《対決⑰ 大規模攻勢_9》

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この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件とは一切関係がありません。
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ベルガンは窮地きゅうちに立たされていた。

自衛隊の考え抜かれた作戦行動にベルガンの長所を潰され、自衛隊車両の攻撃や自爆ドローン。
設置されたTNT爆弾を使ったトラップにダメージを受け、翼は機能を失い、片足も失っていた。

そしてまさに今、眼前には20~30の自爆ドローンがベルガンに向かって直進していた。

特殊弾を装備した自爆ドローンの破壊力は、直撃すれば翼を壊すほどの威力である。その自爆ドローンが大量に迫る状況はベルガンに敗北を告げていた。

「くそがあああ!」

最後の力を振り絞り吠えるベルガン。

だが、もはや反撃する体力も、回避する機動力もベルガンに残されていなかった。

迫る自爆ドローン。ベルガンには、その数秒が数分にも感じられ、悔しさ、不甲斐なさ、怒り、様々な感情が渦巻いた。

自爆ドローンは2mまで接近。

ーー駄目だ。

ベルガンがあきらめ、空を見上げると。白い一筋の光が見える。

「チャージ完了!シールド展開!」

円形のエーテルで作られた美しい白い障壁が瞬時にベルガンと、そのシールドを発生させた本人。サーチを包み込んだ。

「サーチ!」

「話はあとにしましょう。この障壁も長くは持たない。私の尻尾をつかみなさい」

その僅かな会話の最中も、幾重もの自爆ドローンが障壁に当たり轟音ごうおんをあげる。

サーチはベルガンが差し出された尻尾をつかんだことを確認すると、障壁を展開したまま一気に上昇し、居城デスランドへと撤退を始めた。

ベルガンは助けられたことに驚きながらも、尋ねずにはいられない。

「サーチ、この障壁は一体?、それに何か体型も変わってないか?」

サーチは一瞬振り向くと、すぐに前を向いて答える

「私は自衛隊の最初の攻撃で機能を失って、デスランドに撤退したのよ。そこで、創造主さまからこの体をいただいた」

「以前よりも速く、そして味方を守る力を持ったこの体でもギリギリだったわね。ごめんなさい」

そういうと、さらに加速し、居城へと向かった。


◆◆◆  ◆◆◆  ◆◆◆  ◆◆◆

10分ほど前 自衛隊の視点

足立あだち昭介しょうすけと副長の仲原なかばらかおり三佐は、モニターと無線、計器類を凝視しベルガンの動きを分析していた。

仲原三佐が声をかける

「隊長。やはり、UFBの王であっても目視による索敵ですね。こちらの部隊を見つけると直進してくる行動パターンはUFBと変わりません。ただ、速度が異常に早いですね。あとは被弾してもダメージが見受けられません」

足立は仲原に視線を向けることなく首を振る。

「いや、ダメージはある。先ほど自爆ドローンが左翼に命中した。そこから左側への旋回能力が落ちている。おそらく翼に異常があり、空気抵抗をコントロールしにくいのだろう。右旋回に比べ1.5倍は左旋回の方が大きい」

「え!では特殊弾は効果がありますね」

仲原はすぐに無線を取る。

「UFBは左旋回に異常アリ。各攻撃部隊はUFBの左側面から攻撃。右側面の部隊は攻撃を中断」

ー右側からの中断

この言葉に各部隊の隊員たちは違和感を覚えた。
左側面からの攻撃を優先は理解できる。しかし右側攻撃すれば相手は左右への注意が必要となり、より多くの着弾を狙える。

その疑問は次の命令で納得に変わる。

「いい?徹底的に左から狙い続ければ絶対に、距離を取るか上昇するはず。ダメージが少なくても弱点から攻撃されるのは心理的なプレッシャーになるわ。だから必ず一度冷静になるために距離をとるはずよ。その時に自爆ドローンで右の翼ももらうわよ!」


足立が作戦を聞くと少しだけ表情が緩む

「ほんと、三佐の作戦はおっかないねー。例えるなら敵を水中にたたき落として息継ぎに顔を出したら”顔面いただきます”みたいだもんなぁ」


「隊長。無駄話は後にしてください。作戦中です」

仲原には答えるだけの余裕はなさそうだった。

ーーちょっと緊張をほぐしてやろうと思ったのに……

少々切ない気持ちになる足立であった。

しかし、その間も戦況は仲原三佐の予想通りの展開になっていく。

無線が入る。

「UFBの王。TNTのトラップにかかりました!誘導成功です!」

仲原はすぐに返す

「右側の分かりやすい地点に配置したのだから当然でしょ!そのまま、3時の方向へ追い込んで!ソロソロ距離を取るはずよ!自爆ドローンは近づいて!きづかれないでね!」

まるで予言のようにベルガンの動きは仲原の射撃統制によって誘導されていく

「左の翼の動きがさらに落ちたようね!距離を取りに来るわよ!左側からの弾幕集中!後ろか上に逃げたくなるくらい撃ち込んで」

その予言は直ぐに的中する。ベルガンは大量の発砲音に反応し、本能的に大きく上昇した。

「きた!今よ!自爆ドローン、右側の翼へ全速突撃!」

モノの数秒で接近していた自爆ドローンがベルガンの右羽根の根本で爆発する。


「ぐあああああ」

ベルガンが声を上げ、旋回するように落下していく。

仲原は手を緩めない。

「隊長!レールガンの使用許可を!」

すぐさま足立が許可を出す。

旋回しなが落下するベルガンの頭上で、ロングレンジレールガンの特殊弾が炸裂する。

「埼玉シェルターで待機中の自爆ドローン部隊。全機離陸して!ポイント126にある装甲車に追い込んで!大丈夫!もう飛べない。敵は足の速いチーターよ!」

特殊弾の影響で、移動範囲を大きく制限されたベルガンに対し、逃げ道をふさぐように自爆ドローンが囲いこんでいく。

2分ほどで、ポイント126へ追い込んだ。

そして、そこにある装甲車はTNTを満載しているトラップである。

装甲車に起爆装置はないが、自爆ドローンが衝突することで容易に誘爆した。

「装甲車トラップ成功!」

現場の士気も上がっている。

「これで終わりよ!自爆ドローン全方位から突撃!!TNTのダメージでもう速くは動けないはずよ!」

一斉にベルガンに向かって急降下するドローン群。

ーー勝った。

そう思った、その時。

「自爆ドローン命中!!いや、何だあれは?」

仲原が想定外の出来事にすぐに気づく。

「白い球体が、UFBの王を覆っています。まるで卵の殻のようです。自爆ドローンの爆風でも破壊不能。こちらの残機も減ってきました!」

仲原は指示を出す

「大丈夫!奥の手ってことでしょ!ここまで使わなかったということは、何か弱点があるのよ!ありったけの自爆ドローンで押し切って!」


次々とサーチのシールドに自爆ドローンが衝突する。

「駄目です!残機10%!ダメージ確認できず!」

「隊長!ロングレンジレールガンを再度使います!」

「座標を送れ!レールガンで焼き払う!」

通信兵が急いでドローン部隊から回収した座標情報をロングレンジレールガンに送る。

ーー先頭車両が残っていれば、自動でロックオンできたのに!

焦る仲原に無線が入る。

「UFBが上昇しています。現在は高度150」

「そんな!翼は確実に痛めたはず。回復した?」

「逃がさないで!残りのドローン全機攻撃!」

「UFBは離れていきます!どんどん加速中。近距離用の自爆ドローンでは爆薬が重すぎて追いつけません!」

仲原はそれでも引かない!

「戦車部隊、対地対空車両前進!移動射撃!撃ち落とせ!」

そこへ足立が割って入る

「足立だ!全軍追撃中止!」

「なぜですか!あと少しですよ!」

「あの状態から上昇した上に、あの速度で飛行している。想定を超えた状態だ。深追いは厳禁だぞ!落ち着け!」

そういうと、すぐに内閣の防衛省司令部に無線を取る

「大仲大臣。足立です。不測の事態が発生し、王を取り逃がしました。しかし、周辺のUFBは全滅。再度私有シェルターの救出を再開可能な状況です。ご判断を」

大仲からの返答は早かった。
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