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第一章.はじまり
人類アンチ種族神Ⅴ《対決⑦ 救出作戦2》
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この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件とは一切関係がありません。
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神災から35日が経過した。
内閣シェルター内の防衛省会議室。
防衛省の制服組、秘匿兵器開発部門の責任者の大きな声が超高性能防音室の壁面に吸収されていく。
「認められるわけがないでしょう!!!」
「他国からの攻撃に備えた、ロングレンジ・レールガンを10台も東京に集めるのは不可能です!」
怒りの矛先は防衛大臣の大仲である。先日失敗した救出作戦の第2回の準備に
本土防衛用の射程の長いレールガン。もちろん超極秘兵器を10台も投入するというのだ。
他国に存在を知られることすら禁忌とされているものを、公に出す。
しかも10台も出してしまえば、この国の防衛力を世界に宣伝してしまうことになり、国を守るための重要なカードを1枚どころか何枚も失うことになりかねない。
しかし大仲も引かなかった。
「前回の戦いで、通常の誘導型レールガンでは射程距離の問題で、UFBに気付かれた場合にUFBとの接触まで30秒しかなく多くの犠牲がでました。つまり、今、必要なものは、UFBと距離を置いて安全な後方から長い射程で攻撃できる、ロングレンジなレールガンだということです!」
責任者はそれでも納得していない。
「大臣。民意を得て勢いがあるのは存じています。ですが、これは国防用の秘匿兵器です。万が一、マスコミや他国のスパイに撮影でもされれば、辞任じゃすみませんよ!大臣の家族にも不幸があるやもしれません。その覚悟はありますか!」
大仲は即答する。
「ある。だが、だからこそ、偽装工作を依頼している。レールガンではなく、迫撃砲に偽装して出してくれと依頼しているのです。
ロングレンジの迫撃砲なら公開された既存兵器です。問題ないでしょう!」
「ありますよ!東京に10台も集めれば国土防衛網に歪みが生じます。他国に侵略の隙を与えるおつもりか!」
「隙ですか。今、首都である東京がこの状態で隙のない国土防衛網が機能していますか?していませんよ。していたらUFBに東京を焼き尽くされたりしていない」
大仲は少しうつ向くと、意を決したように顔を上げて訴えた。
「あまり、こういうことは言いたくなかったのですが、今、多くの人が苦しみ、多数の死者が出ているのは防衛省の失態でしょう!
少しでも助けられる命を、少しでも救う。その為に兵器を出すのを拒むのは、失態に失態を重ねる行為だと私は思います」
防衛省のトップが防衛省の失態を指摘する。これは正論を盾にした禁じ手である。相手が国家でもテロ組織でも、未確認の生物でも国土を守るのが防衛省の仕事。今の東京は国土を守れているとは言えない。
責任者は強く大仲を睨む。しかし、言い返す言葉はない。失態を重ねるなと言われ、その責を問うような圧力をかけられれば
彼に残された発言は一つ「YES」だけなのだ。
◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆
同日、国会
大仲は連日のように野党から救出作戦失敗の責任を追及されていた。
中心は舞岡議員だ。1日でも早く私有シェルターに取り残された人々を救出に行くように執拗に攻め立てている。
「大仲大臣。あなたは人の心があるんですか?だってそうでしょう。もう一か月も私有シェルターの人々は怪物に怯え、食糧や燃料の残量に怯え疲弊しきっていますよ。なぜ救出しないのですか?」
大仲が答えようとすると、遮って舞岡議員は発言を続ける。
「私には分かります、大仲大臣は、神奈川、千葉、埼玉方面の3シェルターに避難した一般の人々が助かればよい。大勢の安全のためには少数の犠牲はどうでもいい。そういうことでしょう」
そういうと、自分に正義があるといわんばかりに、質疑の書類をバンと叩いた。
その音に呼応するように、帝都復権党の議員がヤジを入れる。
「それじゃあ独裁者じゃないか!」
「命は数字じゃないんだぞ!」
「全員助けるのが仕事だろう!」
その時、大仲が手を挙げて議長から発言権を得る。
「先ほどですが、次の救出部隊の組成を行いました。詳しい内容は国防上の観点で申し上げられませんが、投入する戦力は小国なら殲滅できる程度です。
人数も前回の少数精鋭ではなく、1連隊となります。これで必ずや取り残された人々を救出できるでしょう」
この発言に場内が大きくざわついた。
自衛隊の小隊規模の行動であれば、それは救出作戦として容認される通常の活動の範囲である。
しかし、連隊規模となると、通常の活動ではなく内戦である。自国の中で敵性勢力と戦争をするという意思表明なのだ。
大仲はたたみかけた
「兵器も、前回の機動性重視の機動部隊ではなく、各地からロングレンジ・迫撃砲を移送します。射程20㎞です。埼玉から東京23区すべてが射程に入ります」
この発言に与党も驚きを隠せない。
「馬鹿な。射程20㎞の迫撃砲?そんなものはもう短距離弾道ミサイルじゃないか」
「迫撃砲とは、そんなに射程がでるのか?」
「命中精度は大丈夫なのか?」
そこへ、あの秘匿兵器開発部門の責任者が登壇する。
「その点は私からご説明します。この兵器は25式滑空迫撃砲と言います。通常の迫撃砲との違いは弾丸に姿勢制御翼が搭載されていることで、これにより自由落下ではなく、あらかじめ狙ったポイントへ自立的に滑空して着弾します」
この答弁はあらかじめ大仲と握っていた嘘である。さすがに20㎞も飛翔する迫撃砲はない。本来のロングレンジ迫撃砲の射程はせいぜい10㎞前後だ。
しかし、舞岡を黙らせるのには十分な材料だった。
「火力が高いこの兵器は、かなり大型の兵器になります。移送に3日。準備に2日。作戦実行は6日後が最短です」
舞岡がすかさず、手を挙げて発言を試みるが、これを大仲が遮る。
「遅い。2日で移送。1日で準備。作戦は4日後に行う」
これも計画通りの発言だ。
そもそも、自走式のロングレンジ・レールガンは半日で埼玉に集められる。しかし、偽装に時間がかかる。これが2日。これを見越して作戦は4日後が最短だと
秘匿兵器開発部門の責任者と話がついているのだ。
こうして、2回目の救出作戦の計画は始まったのだった。
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神災から35日が経過した。
内閣シェルター内の防衛省会議室。
防衛省の制服組、秘匿兵器開発部門の責任者の大きな声が超高性能防音室の壁面に吸収されていく。
「認められるわけがないでしょう!!!」
「他国からの攻撃に備えた、ロングレンジ・レールガンを10台も東京に集めるのは不可能です!」
怒りの矛先は防衛大臣の大仲である。先日失敗した救出作戦の第2回の準備に
本土防衛用の射程の長いレールガン。もちろん超極秘兵器を10台も投入するというのだ。
他国に存在を知られることすら禁忌とされているものを、公に出す。
しかも10台も出してしまえば、この国の防衛力を世界に宣伝してしまうことになり、国を守るための重要なカードを1枚どころか何枚も失うことになりかねない。
しかし大仲も引かなかった。
「前回の戦いで、通常の誘導型レールガンでは射程距離の問題で、UFBに気付かれた場合にUFBとの接触まで30秒しかなく多くの犠牲がでました。つまり、今、必要なものは、UFBと距離を置いて安全な後方から長い射程で攻撃できる、ロングレンジなレールガンだということです!」
責任者はそれでも納得していない。
「大臣。民意を得て勢いがあるのは存じています。ですが、これは国防用の秘匿兵器です。万が一、マスコミや他国のスパイに撮影でもされれば、辞任じゃすみませんよ!大臣の家族にも不幸があるやもしれません。その覚悟はありますか!」
大仲は即答する。
「ある。だが、だからこそ、偽装工作を依頼している。レールガンではなく、迫撃砲に偽装して出してくれと依頼しているのです。
ロングレンジの迫撃砲なら公開された既存兵器です。問題ないでしょう!」
「ありますよ!東京に10台も集めれば国土防衛網に歪みが生じます。他国に侵略の隙を与えるおつもりか!」
「隙ですか。今、首都である東京がこの状態で隙のない国土防衛網が機能していますか?していませんよ。していたらUFBに東京を焼き尽くされたりしていない」
大仲は少しうつ向くと、意を決したように顔を上げて訴えた。
「あまり、こういうことは言いたくなかったのですが、今、多くの人が苦しみ、多数の死者が出ているのは防衛省の失態でしょう!
少しでも助けられる命を、少しでも救う。その為に兵器を出すのを拒むのは、失態に失態を重ねる行為だと私は思います」
防衛省のトップが防衛省の失態を指摘する。これは正論を盾にした禁じ手である。相手が国家でもテロ組織でも、未確認の生物でも国土を守るのが防衛省の仕事。今の東京は国土を守れているとは言えない。
責任者は強く大仲を睨む。しかし、言い返す言葉はない。失態を重ねるなと言われ、その責を問うような圧力をかけられれば
彼に残された発言は一つ「YES」だけなのだ。
◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆
同日、国会
大仲は連日のように野党から救出作戦失敗の責任を追及されていた。
中心は舞岡議員だ。1日でも早く私有シェルターに取り残された人々を救出に行くように執拗に攻め立てている。
「大仲大臣。あなたは人の心があるんですか?だってそうでしょう。もう一か月も私有シェルターの人々は怪物に怯え、食糧や燃料の残量に怯え疲弊しきっていますよ。なぜ救出しないのですか?」
大仲が答えようとすると、遮って舞岡議員は発言を続ける。
「私には分かります、大仲大臣は、神奈川、千葉、埼玉方面の3シェルターに避難した一般の人々が助かればよい。大勢の安全のためには少数の犠牲はどうでもいい。そういうことでしょう」
そういうと、自分に正義があるといわんばかりに、質疑の書類をバンと叩いた。
その音に呼応するように、帝都復権党の議員がヤジを入れる。
「それじゃあ独裁者じゃないか!」
「命は数字じゃないんだぞ!」
「全員助けるのが仕事だろう!」
その時、大仲が手を挙げて議長から発言権を得る。
「先ほどですが、次の救出部隊の組成を行いました。詳しい内容は国防上の観点で申し上げられませんが、投入する戦力は小国なら殲滅できる程度です。
人数も前回の少数精鋭ではなく、1連隊となります。これで必ずや取り残された人々を救出できるでしょう」
この発言に場内が大きくざわついた。
自衛隊の小隊規模の行動であれば、それは救出作戦として容認される通常の活動の範囲である。
しかし、連隊規模となると、通常の活動ではなく内戦である。自国の中で敵性勢力と戦争をするという意思表明なのだ。
大仲はたたみかけた
「兵器も、前回の機動性重視の機動部隊ではなく、各地からロングレンジ・迫撃砲を移送します。射程20㎞です。埼玉から東京23区すべてが射程に入ります」
この発言に与党も驚きを隠せない。
「馬鹿な。射程20㎞の迫撃砲?そんなものはもう短距離弾道ミサイルじゃないか」
「迫撃砲とは、そんなに射程がでるのか?」
「命中精度は大丈夫なのか?」
そこへ、あの秘匿兵器開発部門の責任者が登壇する。
「その点は私からご説明します。この兵器は25式滑空迫撃砲と言います。通常の迫撃砲との違いは弾丸に姿勢制御翼が搭載されていることで、これにより自由落下ではなく、あらかじめ狙ったポイントへ自立的に滑空して着弾します」
この答弁はあらかじめ大仲と握っていた嘘である。さすがに20㎞も飛翔する迫撃砲はない。本来のロングレンジ迫撃砲の射程はせいぜい10㎞前後だ。
しかし、舞岡を黙らせるのには十分な材料だった。
「火力が高いこの兵器は、かなり大型の兵器になります。移送に3日。準備に2日。作戦実行は6日後が最短です」
舞岡がすかさず、手を挙げて発言を試みるが、これを大仲が遮る。
「遅い。2日で移送。1日で準備。作戦は4日後に行う」
これも計画通りの発言だ。
そもそも、自走式のロングレンジ・レールガンは半日で埼玉に集められる。しかし、偽装に時間がかかる。これが2日。これを見越して作戦は4日後が最短だと
秘匿兵器開発部門の責任者と話がついているのだ。
こうして、2回目の救出作戦の計画は始まったのだった。
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