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セリー

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恋愛厨への素朴な疑問

センチメンタル恋愛厨

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別れてすぐ、川村先輩から手紙もらった。
そこには

「俺のこと、真から好きになってほしかった」

と書いてあった。

真?

ま?

もしかして「芯」って言いたかったの?

そう気付いた瞬間、爆笑してしまった。

センチメンタルな手紙に誤字。
これはもう笑うしかない。
誤字がなかったとしても「芯から好きになる」とはどういうことなのか?川村先輩の「芯」とは一体何なのか?

この中学生男子は恋愛沙汰に夢中になりすぎて国語もろくに理解していないのだ。

そして
「お前には幸せになってほしい」
とも書いてあった。

お前呼ばわりは大目に見るとして

当時、彼氏彼女の名前の後に〇〇命!と書き
本気と書いてマジと読む
などヤンキー文化が大流行りしていた。
金八先生第二期の時代である。

川村先輩及び、周囲はそれに感化されていたので、いわゆるセンチメンタル硬派みたいな半ヤンキーで溢れていたのである。

川村先輩の手紙からもその半ヤンキー臭がプンプンしていたのである。

そもそも、会わなかった腹いせに別の女と遊んでおいて、「幸せになってほしい」とは片腹が痛い。

そして最悪なことに

私は真由先輩とすれ違いざま、こんな言葉を浴びせられたのだ。

「本気で恋しろよ!!」

こちらも負けずとセンチメンタル半ヤンキー、「今私、いい事言った!」「一石投じた!」と自分の言ったことにうっとりしていたが、こちらはお腹いっぱい、うんざりである。どうやらドラマか何かの見過ぎだろう。

川村先輩、真由先輩の三年生が卒業するまで、私は非常に居心地が悪かった。向こうがビンビンにこちらを意識していたからである。

私の見える所で自転車の二人乗り、私のいる学年の廊下で二人でいちゃついていたりと、散々見せつけられた。
悔しいだろう?羨ましいだろう?とでも言いたかったのだろうが、こちらは「分かったからいい加減にしてくれ・・・」と幼稚な二人の言動に呆れていた。

川村先輩、真由先輩が卒業して半年経った頃だろうか。
二人は別々の高校に進学し、その後別れて、二人とも新しい相手と付き合っていると聞かされた。

まあそんなもんだろう。
最初から勉強そっちのけで恋愛にどっぷりはまるのが好きな人たちなのだ。

新しい彼女には真から好きになってもらったのだろうか?

どうでもいいけど。





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