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変な男の人たち
41才独身
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30代後半になった。
もはや自分が何者か分かった今、男の人と積極的に知り合うということはまったくしていなかったし、この年になれば男の人も寄っては来ない。これはむしろちょうど良かった。
幸い趣味がたくさんあったので、さほど退屈もしていなかった。
しかし、この年齢になり、新たな問題が浮上した。
それは「30代独身ならば結婚を焦っているだろう」と勝手に解釈されることだ。
前述したが、結婚をする気はない。
ところがお節介なおばさんが見合い話を持ってきたり、若い子や同年代の子が合コンに誘ったりしてくる。
厄介なのはいずれも「男が欲しいから嬉しいだろう?」「自分は今、人の為にいい事をしている!」と嬉々としていることだ。これはもう親切の押し売り以外の何者でもない。
そして一番厄介なのが、結婚を焦っている独身の中年のおっさんに言い寄られることだ。彼らは彼女が欲しい、結婚がしたい、というだけで、相手は誰でもいい。さらに、彼らは婚期を逃した年齢の女ならば簡単に落ちると思い込んでいる。
その中でも一番手こずったのが
40代の独身の男。
今思い出してもはらわたが煮えくりかえる。
小林は中途採用で私のいるホテルに入社してきた。
41才独身。
180センチの長身で、小綺麗な見た目。
しかし、なぜかジャイアンを思わせる風情。
本人は紳士を気取っているが、オラオラが抜けていない、そんな感じだ。
入社したばかりなので、私を含め数人が小林に付いて業務を色々教えた。その中の会話で、彼が独身であることを知った。だから「私も独身なんですよ」と話の流れでそう言った。
それから小林の態度は急変した。
勤務中、やたら話しかけてくる。
その回数が異常だった。
元々構われるのが好きではないので、非常に鬱陶しかった。
話しかけてくる内容はすべて仕事のことだったが、他の人にきけば済むことをいちいち私にききに来る。
「忙しいんだから他の人にきけよ!」と言いたいところを、新人だから、という理由で我慢していた。
ある日、私の携帯に知らない番号から着信があった。
知らない番号なので出なかった。
すると翌日「昨日電話したの、僕なんですよ」と、小林に言われた。
「何かあった時のために連絡取れるようにしようと思って。僕の番号、登録しておいて下さいね」
と言われたのだ。
何かあった時って何の時だ?
万が一、何かあったら私が小林にいそいそと電話するとでも思ったのだろうか?たいした自信だ。
小林の電話番号が私の携帯に記憶されてしまった。それが妙に不快だった。
そして気付いた。
私は結婚したくてたまらない小林の標的となってしまったのではないかと。
30代で結婚焦ってそうだし彼氏もいなそう。これはイケる!
そう小林は思ったのではないかと。
そして、小林の猛攻は始まった。
もはや自分が何者か分かった今、男の人と積極的に知り合うということはまったくしていなかったし、この年になれば男の人も寄っては来ない。これはむしろちょうど良かった。
幸い趣味がたくさんあったので、さほど退屈もしていなかった。
しかし、この年齢になり、新たな問題が浮上した。
それは「30代独身ならば結婚を焦っているだろう」と勝手に解釈されることだ。
前述したが、結婚をする気はない。
ところがお節介なおばさんが見合い話を持ってきたり、若い子や同年代の子が合コンに誘ったりしてくる。
厄介なのはいずれも「男が欲しいから嬉しいだろう?」「自分は今、人の為にいい事をしている!」と嬉々としていることだ。これはもう親切の押し売り以外の何者でもない。
そして一番厄介なのが、結婚を焦っている独身の中年のおっさんに言い寄られることだ。彼らは彼女が欲しい、結婚がしたい、というだけで、相手は誰でもいい。さらに、彼らは婚期を逃した年齢の女ならば簡単に落ちると思い込んでいる。
その中でも一番手こずったのが
40代の独身の男。
今思い出してもはらわたが煮えくりかえる。
小林は中途採用で私のいるホテルに入社してきた。
41才独身。
180センチの長身で、小綺麗な見た目。
しかし、なぜかジャイアンを思わせる風情。
本人は紳士を気取っているが、オラオラが抜けていない、そんな感じだ。
入社したばかりなので、私を含め数人が小林に付いて業務を色々教えた。その中の会話で、彼が独身であることを知った。だから「私も独身なんですよ」と話の流れでそう言った。
それから小林の態度は急変した。
勤務中、やたら話しかけてくる。
その回数が異常だった。
元々構われるのが好きではないので、非常に鬱陶しかった。
話しかけてくる内容はすべて仕事のことだったが、他の人にきけば済むことをいちいち私にききに来る。
「忙しいんだから他の人にきけよ!」と言いたいところを、新人だから、という理由で我慢していた。
ある日、私の携帯に知らない番号から着信があった。
知らない番号なので出なかった。
すると翌日「昨日電話したの、僕なんですよ」と、小林に言われた。
「何かあった時のために連絡取れるようにしようと思って。僕の番号、登録しておいて下さいね」
と言われたのだ。
何かあった時って何の時だ?
万が一、何かあったら私が小林にいそいそと電話するとでも思ったのだろうか?たいした自信だ。
小林の電話番号が私の携帯に記憶されてしまった。それが妙に不快だった。
そして気付いた。
私は結婚したくてたまらない小林の標的となってしまったのではないかと。
30代で結婚焦ってそうだし彼氏もいなそう。これはイケる!
そう小林は思ったのではないかと。
そして、小林の猛攻は始まった。
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