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変な男の人たち
金持ち その2
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聡さんと聡さんの友人、そして久美子と私の4人で、聡さんのおごりのフレンチを頂いた。
ゲロ酸っぱいみたいなよく分からない味の料理が、でかい皿にちょびっと乗っている。
料理はもっぱら丸美屋のお世話になっている貧乏舌の私には(丸美屋さんごめん)、それが旨いのか不味いのかよく分からない。
ブサイク聡さんの唯一のいい所は
金持ちだからか喋り方、所作に余裕があることだ。
年齢の割に落ち着いた雰囲気がある。
フレンチも食べ慣れているのがすぐに分かった。
その後、某ホテルの最上階でカクテルを頂いたのだが
もう、このコースなら女が喜ぶ、というマニュアル通りの展開。テレビや雑誌の見過ぎではないだろうか。
喜んでいたのは久美子だけだった。
別れ際、聡さんに呼ばれた。
「再会できた記念に」
というセリフとともに手渡してくれたのは、小さなプリザーブドフラワーと、ティファニーの箱。
ティファニーが高いことくらい私は知っている。
「ご馳走してもらっただけで充分です、貰えません」
と、私は断った。
しかし、聡さんは言った。
「いいよ、これくらい。たいした額じゃないし」
俺は金持ちだ。ははははは!
そんな聡さんの高笑いが聞こえてきそうな口ぶりだった。
貰ってしまうと色々と断りづらい。
だから欲しくはなかった。
渋々それを貰って帰ったのだが
その後、聡さんからの猛攻が止まらなくなった。
ほぼ毎日電話が来た。
聡さんは2人で会いたがり、会う場所は高級レストラン、高級焼肉店、船上パーティ、ゴルフ、高級ホテルのバーと、女が喜ぶであろうラグジュアリーな所を指定してきた。
ブサイクと一緒なら、どんな場所であろうと嫌だ。
あの手この手で必死に断り、鬱陶しいので最終的に電話を無視した。
しかし、うっかり電話に出てしまい(当時はナンバーディスプレイなどなかった)、無視されているとさすがに気付いていたであろう聡さんは、若干不機嫌な声だった。
聡さんは少々キレ気味に
「何が欲しいの?買うし!」
と、直球で言ってきたので驚いた。
何もねだってないのにな~
と、思いつつ、いや別に、私は何もいりません、と答えた。
「じゃ、ヴィトンは?欲しい?」
と、ブランド指定。だから誰が欲しいと言ったのだ!と内心イラッと思いながらも
「本当に、何もいりません」
とやんわり断った。
すると
「じゃ、サプライズするから!」
と畳み掛けるように聡さんは言った。
言っちゃったらサプライズじゃないだろう、と思ったが、聡さんはこれでもか!これでもか!と攻めてくる。
ちなみにサプライズは好きではない。
ついでに言うと、フラッシュモブ、あれなんか地獄だ。
しかし、窮地に追い込まれた聡さん。
フラッシュモブみたいなキ○ガイ沙汰もやりかねない。
「じゃ!どうして欲しいの!」
と、聡さんは電話の向こうで怒り狂ったが
なんで私が怒られるんだ?
と、私の方も狼狽した。
しかし、どんなに高級品や高級店をチラつかせても上手くいかない、とブチギレるあたり
今まで簡単にそれで女が引っかかっていたのであろう。
それじゃ海外旅行は?どこに行きたい?どこでも連れてってあげるから。
ウォーターベッド欲しい?
車は?俺が乗ってないので良ければあげるよ。
マンション欲しくない?
と、後戻りできない状況になってきた聡さんの口から出るわ出るわで、聞いてるこっちも「・・そんなに金持ってんのか・・」と逆に恐ろしくなった。
そして遂に
「後悔しても知らないよ!」
という捨て台詞を吐いて、聡さんは電話を切った。
落ち着いた大人の聡さんはそこにはいなかった。
切羽詰まった状況になると人間、こういう風になるのだな、と思い知らされた気がした。
しかし、これだけの金持ちなら、どこかの金好きのバカな女がいずれ引っかかるだろう。
そう思ったのであまり罪悪感はなかった。
聡さんはそれを最後に電話をして来なくなったが、聡さんに貰ったティファニーのネックレスが10万円だと後に知り、申し訳ないのでそれはしばらく使わせてもらった。
しかし二度会っただけで、こんなにも私に金を使おうとするなんて、一体私のどこが良かったのだろうか?聡さんのドストライクに私はたまたま入ってしまったのだろうか?
そして未だにこんな金持ちには出会っていない。
しかし後悔はまったくしていない。
ゲロ酸っぱいみたいなよく分からない味の料理が、でかい皿にちょびっと乗っている。
料理はもっぱら丸美屋のお世話になっている貧乏舌の私には(丸美屋さんごめん)、それが旨いのか不味いのかよく分からない。
ブサイク聡さんの唯一のいい所は
金持ちだからか喋り方、所作に余裕があることだ。
年齢の割に落ち着いた雰囲気がある。
フレンチも食べ慣れているのがすぐに分かった。
その後、某ホテルの最上階でカクテルを頂いたのだが
もう、このコースなら女が喜ぶ、というマニュアル通りの展開。テレビや雑誌の見過ぎではないだろうか。
喜んでいたのは久美子だけだった。
別れ際、聡さんに呼ばれた。
「再会できた記念に」
というセリフとともに手渡してくれたのは、小さなプリザーブドフラワーと、ティファニーの箱。
ティファニーが高いことくらい私は知っている。
「ご馳走してもらっただけで充分です、貰えません」
と、私は断った。
しかし、聡さんは言った。
「いいよ、これくらい。たいした額じゃないし」
俺は金持ちだ。ははははは!
そんな聡さんの高笑いが聞こえてきそうな口ぶりだった。
貰ってしまうと色々と断りづらい。
だから欲しくはなかった。
渋々それを貰って帰ったのだが
その後、聡さんからの猛攻が止まらなくなった。
ほぼ毎日電話が来た。
聡さんは2人で会いたがり、会う場所は高級レストラン、高級焼肉店、船上パーティ、ゴルフ、高級ホテルのバーと、女が喜ぶであろうラグジュアリーな所を指定してきた。
ブサイクと一緒なら、どんな場所であろうと嫌だ。
あの手この手で必死に断り、鬱陶しいので最終的に電話を無視した。
しかし、うっかり電話に出てしまい(当時はナンバーディスプレイなどなかった)、無視されているとさすがに気付いていたであろう聡さんは、若干不機嫌な声だった。
聡さんは少々キレ気味に
「何が欲しいの?買うし!」
と、直球で言ってきたので驚いた。
何もねだってないのにな~
と、思いつつ、いや別に、私は何もいりません、と答えた。
「じゃ、ヴィトンは?欲しい?」
と、ブランド指定。だから誰が欲しいと言ったのだ!と内心イラッと思いながらも
「本当に、何もいりません」
とやんわり断った。
すると
「じゃ、サプライズするから!」
と畳み掛けるように聡さんは言った。
言っちゃったらサプライズじゃないだろう、と思ったが、聡さんはこれでもか!これでもか!と攻めてくる。
ちなみにサプライズは好きではない。
ついでに言うと、フラッシュモブ、あれなんか地獄だ。
しかし、窮地に追い込まれた聡さん。
フラッシュモブみたいなキ○ガイ沙汰もやりかねない。
「じゃ!どうして欲しいの!」
と、聡さんは電話の向こうで怒り狂ったが
なんで私が怒られるんだ?
と、私の方も狼狽した。
しかし、どんなに高級品や高級店をチラつかせても上手くいかない、とブチギレるあたり
今まで簡単にそれで女が引っかかっていたのであろう。
それじゃ海外旅行は?どこに行きたい?どこでも連れてってあげるから。
ウォーターベッド欲しい?
車は?俺が乗ってないので良ければあげるよ。
マンション欲しくない?
と、後戻りできない状況になってきた聡さんの口から出るわ出るわで、聞いてるこっちも「・・そんなに金持ってんのか・・」と逆に恐ろしくなった。
そして遂に
「後悔しても知らないよ!」
という捨て台詞を吐いて、聡さんは電話を切った。
落ち着いた大人の聡さんはそこにはいなかった。
切羽詰まった状況になると人間、こういう風になるのだな、と思い知らされた気がした。
しかし、これだけの金持ちなら、どこかの金好きのバカな女がいずれ引っかかるだろう。
そう思ったのであまり罪悪感はなかった。
聡さんはそれを最後に電話をして来なくなったが、聡さんに貰ったティファニーのネックレスが10万円だと後に知り、申し訳ないのでそれはしばらく使わせてもらった。
しかし二度会っただけで、こんなにも私に金を使おうとするなんて、一体私のどこが良かったのだろうか?聡さんのドストライクに私はたまたま入ってしまったのだろうか?
そして未だにこんな金持ちには出会っていない。
しかし後悔はまったくしていない。
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