英雄王の末裔 ~赤のラファルクスと厭われ王子~

カザハナ

文字の大きさ
10 / 10
再会の行方

再会

しおりを挟む
「……そんな……」

(精霊の……魔法?)
 普通の人間には、全く分からない大規模で強い結界がある。これは、精霊の血を継ぐ精霊人だからこそ分かる結界。精霊人でもある程度高位でなければ気付けない結界が。
 ――通れない?ここまで来て?諦める?ラファルクスあの人を?それとも、彼女が来るまで待てというのか?何ディフェル(※何日)も?何ウィテル(※何ヶ月)も?――

「5ティファル(※5年)も待ったんだ、今更待てるかっ!!」

 怒りのままに結界へと足を踏み入れた、その時。
 首から掛けていた赤い石が強烈な光を放ち、襟元から飛び出し結界に突撃するかのように紐を伸ばした状態で引っ張られ、赤い石はそのまま宙に留まる。

「うわっ?!」

 強烈な光に目を閉じれば、少しだけ光が弱まり、辺りを見回す事が出来るようになり、気付く。
 精霊の結界内だが精霊の魔法が発動してない事に。この赤い石が通行証の役割をしている事に。
 そして、目の前にある道が、ラファルクスへと続く道なのだと。
 ――見える。道が……あの人へと続く道が!!――



 私の視線を少し下げた先に、赤い石が先導するかのように、宙に漂い浮いている。
 ――この先に、彼女がいる。唯一私の心を占める女性ひと――
 数ゼティルム(※数時間)ひたすら彼女を想い、歩き続けていると、突如、石が右の方向へと向きを変える。
(森……?)
 石の向く方へと歩みを進めると、広大な草原に出会でくわした。
(草原がある……。見渡す限りの草の海だ……。何でこんな所……)
 色とりどりの草花が咲き誇る中、石が指し示す正面に赤い、忘れもしない鮮やかな赤が視界に入る。

「……ラファルクス……?」

 ぽそっと、何度も何度も心で呼び続け、飽きる事なく口にした名前を、誰に言うでもなく、ただ思わず呟いたその時。
 こちらに背を向けていた赤い人が振り向き声を上げる。

「ナクラル!」

 懐かしい、あの声で。

「来い!」

 その瞬間、私は荷物を放り投げ走り出していた。足を草に取られながらも、ただ、心のおもむくままに。
 そんな私を彼女は受け止め、抱き締めてくれる。あの、懐かしい声で。

「お前はもう、私のものだ」



  これにて一先ず終了です!これ以上書くとR15がR18になりそうなので。(気が向いたら続きを書く……かも?その時はまた宜しくです)
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

「やはり鍛えることは、大切だな」

イチイ アキラ
恋愛
「こんなブスと結婚なんていやだ!」  その日、一つのお見合いがあった。  ヤロール伯爵家の三男、ライアンと。  クラレンス辺境伯家の跡取り娘、リューゼットの。  そして互いに挨拶を交わすその場にて。  ライアンが開幕早々、ぶちかましたのであった。  けれども……――。 「そうか。私も貴様のような生っ白くてか弱そうな、女みたいな顔の屑はごめんだ。気が合うな」

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る

家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。 しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。 仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。 そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。

十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。

あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の伯爵令嬢、スカーレット。 宝石のように澄んだ青い髪をした伯爵令嬢、ルビア。 対極のような二人は姉妹。母親の違う。 お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。 そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。 天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。 生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。 両親の必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。 だが……。運命とは残酷である。 ルビアの元に死神から知らせが届く。 十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。 美しい愛しているルビア。 失いたくない。殺されてなるものか。 それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。 生まれてくる価値のない、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。 これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ 

さら
恋愛
 会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。  ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。  けれど、測定された“能力値”は最低。  「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。  そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。  優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。  彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。  人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。  やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。  不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。

処理中です...