氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

40

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 馬車は二台、エドワルドとリラ、ジーンとに別れて乗り込む。

 因みにレベッカも、控えとして御者の横に乗り込んでいる。髪や衣装を乱しそうな人がいる為だが、それを口には出さずに、古典的な嫌がらせを万が一して来た場合の対処の為だと言い切った。

 当初、ジーンは不参加を決め込む気でいたのだが、不穏な手紙や贈り物、不躾な輩共が多い様なので、参加する事にした。

 リラは普段夜会でも、肩の出る襟ぐりや胸元の大きく開いた服は選ばない。着るなら、寝間着と言った類いだろう。

 その為、今回のドレスは襟ぐりがいつもより大きく、気になって仕方ない。

 リラがソワソワしてるので、可愛いなと思いながらもエドワルドは声を掛ける。


「リラ嬢、緊張しているのですか?」

「いっ、いえ、緊張と言うよりも、その、ふっ、普段このようなドレスを選ぶ事が無かったので、気恥ずかしいと言うか、何と言うか……」


(……何の修行だろう、この状況は。普段は慎ましやかなドレスで、露出度が低いのは知っているが、そんな彼女が私の為にと着飾って、こんなに綺麗で可憐な姿を大勢の他人ひとの前に晒さなければならないのに、その本人は初心うぶで可愛過ぎる言葉を口にする。他の女は計算なのが透けて見える為に白けるだけだろうが、彼女の場合これが素だ。それに、喩えこれが計算だったとしても、彼女なら良いと思える自分がいるだなんて……)

 リラが可愛過ぎて、エドワルドは早々に王宮を辞退し、連れ帰る算段を考えるが、何とかその思いを断ち切らせる。

 害でしかない連中に、リラを傷付ける隙を与えない為だ。先ずはリラとの仲を裂こうとする輩を全員どんな手を使ってでも黙らせる事。既にやらかしてる連中は、ジーンの協力により、頭の中へと叩き込んである。

(私の・・リラ嬢を害そうとした事を、必ず後悔させてやる。丁度ジーン殿から、弱味のネタまで提供して頂いたのだ、たっぷりと地獄を見せてやる……)


「そんなに可愛過ぎる姿を、他の男に見せないで下さいね?ジーン殿ですら嫉妬するのに、他の男なんて、目を抉り取らなければ気が済まなくなりますから」


 リラに注ぐ愛情の深さを知らない者は、エドワルドの冗談だろうと思うだろう。しかし、エドワルド本人を見ていたジーンは、エドワルドの本気に気付いた筈だ。

(おっ、大袈裟過ぎます!本当、エドワルド様ってば物好きなんだから!)

 そんなエドワルドの発言に、引く所か頬を染める天然振りを発揮したリラだった。
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