氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

56

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 リラ達は会場内に戻るが、途中邪魔が入る事も無く、陛下を見付けてそのまま近寄る。

 陛下も目立つ二人に気付き、周りに断りを入れて、エドワルドと合流する。


「エドワルド、自分が何をしたのか理解しわかっているのだろうな?」

「勿論です陛下。私は誰に何と言われようと、リラ嬢以外の方に手を出す気はありませんから。それよりも、もうおいとまをさせて頂いても宜しいでしょうか?さすがにトラブルの連続で、少々疲れました。リラ嬢も送らなければならないし、これ以上、トラブルが多発するのは嫌ですから」
[訳=勿論わざとですから承知していますよ兄上。誰に何と言われようと私はリラ嬢以外に興味は湧きませんので。それよりも、退出させて頂いても宜しいでしょうか?さすがに兄上もこれ以上、騒ぎを増やしたくは無いでしょう?私もこれからリラ嬢とのお楽しみがあるのでこれ以上疲れたくありません]


 エドワルドの言葉の端々に、リラに対する欲情を感じ取るアレクシス。リラに対する罪悪感が増すばかりだが、エドワルドにこれ以上暴走されるよりはと感情を切り捨てる。


「分かった。下がって良いぞ。お披露目は充分に済んだ。エヴァンス侯爵令嬢、これから先、エドワルドの事を宜しく頼む」

「勿体無いお言葉感謝します」
[訳=わたくしで宜しいのであれば、これ程嬉しいお言葉はありません!!有難う御座います陛下!]


 無表情で言うリラに、後ろめたい気持ちに陥るが、それでもエドワルドの為、国の為と、エドワルドの挨拶を受け取る。


「それでは陛下、私達はこれで」


 エドワルドがリラの腰に手を回し、連れ去る後ろ姿を見送るアレクシス。

(済まん、エヴァンス侯爵令嬢。私では手に負えん。この先、エドワルドを呉々くれぐれも頼む!)

 アレクシスの思い等知るよしも無く、リラとエドワルドはそのまま休憩室に立ち寄り、レベッカを連れてクルルフォーン家の馬車停めへと辿り着き、エドワルドはリラを先に乗せ、御者とレベッカに、時間を掛けてゆっくりと、回り道をしながらエヴァンス侯爵家に向かえと言い、到着しても扉に近付かない事、どうしても用がある時のみ、扉の取っ手を動かし中に知らせる事を約束させる。

(これで暫く邪魔は入らない。さぁ、あの可愛過ぎる生き物を、じっくり味わってみようか)

 エドワルドはリラのいる馬車へと乗り込み、後ろ手で、扉が開かないように、馬車内に置いていた杖をい棒替わりにして、扉を固定しカーテンを閉めた。
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