氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

文字の大きさ
132 / 806
本編

79

しおりを挟む
 エドワルドは、笑顔のジーンに質問を投げ掛ける。


「かっ……のじょ達は、リラ……嬢とも、面識があるのですか?」


 思わず彼等と言いそうになるが、何とか堪えて訂正する。ジーンが態々彼女達と言ったのだから、エヴァンス家の方針に従う事にしたのだ。

 ジーンは一先ず、隣の部屋へと移動をしながら、エドワルドの問いに答える。


「他の者達とは面識はないが、マッドだけはエヴァンス家の庭師をしているダンと言う男の幼馴染みだ。二人共、元々は傭兵で、ダンはエヴァンス家に居着いてから庭師に転職してるが、その腕は今も劣らず、護衛や警備もしているぞ。そのダンが昔、街中で偶然再会した時、護衛対象のリラもいたから、時々リラとも仲良く話しているぞ。ただし、エヴァンス家に来る時は、ちゃんとした男の格好だし、マッドの本業は今も傭兵だから、ああいった格好や口調をする事は殆ど無い。まぁ、この家でのみと言った所だ。王都にいた事は聞いていたから、害虫駆除に一役買わないかと言ったら嬉々として飛び付いて来た。あのドレスは前に働いてくれた当時の、エヴァンス家からの報酬だ」


 エヴァンス家の使用人達は平民が多い。とは言え、元傭兵が庭師とは。


「因みにリラは、あのドレスのデザインや色等を、侍女達と共に選んでいたぞ。マッドは可愛い物好きだが、傭兵と言う役割上、嘗められないよう身に付けられないとぼやいていたから、エヴァンス家で泊まり込む時に着れば良いと言って侍女達と共に作ったらしい。リラは、心が女性なら、エヴァンス家では女性として扱えば良いのよと、平然と言っていたぞ。それ以来、マッドはリラに一目置き、エヴァンス家によく来るようになった」


 まさかのリラの関与にエドワルドは驚くが、リラの天然っぷりを知れば納得も出来る。そもそもリラは、害虫駆除には一切関わっていない。ドレスを作ったのも厚意からだろう。


「昔から、リラは面白い者達を拾って来るからな。レベッカもそうだけど、ダンもリラが拾って来たし」

「……拾って来た?」

「レベッカの時は、リラが乗る馬車の前に、餓死寸前のレベッカが飛び出して来たから、エヴァンス邸で面倒を見ると言っていたんだ。ダンの時も似た感じだな?ダンの場合は、リラが領地でならず者に絡まれてる所を助けたはいいけど、空腹で倒れて、それをリラが連れ帰ったって感じだったか?まぁ、ダンが居なくても、切り抜ける腕を持つ者が護衛には居たそうだが、ダンの腕はその上をいっていたからな」


 ダンは他国の人間だったが、腕はすこぶる良いし、特に悪さをした経歴も無い。

 暫くは傭兵として雇っていたが、リラと共に庭の手入れをしていて嵌まったようだ。

 リラが、ダンはお庭に興味があるのと言っていたので、高齢の庭師が後を継がせる為の人手が欲しいと言っていた事を思い出し、ダンに、それ程庭に興味があるのなら、庭師としても働いてみないかと持ち掛け今に至る。
しおりを挟む
感想 2,443

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

イケメンエリートは愛妻の下僕になりたがる(イケメンエリートシリーズ第四弾)

便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC” 謎多き噂の飛び交う外資系一流企業 日本内外のイケメンエリートが 集まる男のみの会社 そのイケメンエリート軍団のキャップ的存在 唯一の既婚者、中山トオルの意外なお話 中山加恋(20歳) 二十歳でトオルの妻になる 何不自由ない新婚生活だが若さゆえ好奇心旺盛 中山トオル(32歳) 17歳の加恋に一目ぼれ 加恋の二十歳の誕生日に強引に結婚する 加恋を愛し過ぎるあまりたまに壊れる 会社では群を抜くほどの超エリートが、 愛してやまない加恋ちゃんに 振り回されたり落ち込まされたり… そんなイケメンエリートの ちょっと切なくて笑えるお話

彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中

桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。 やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。 「助けなんていらないわよ?」 は? しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。 「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。 彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。

【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる

奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。 だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。 「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」  どう尋ねる兄の真意は……

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

兄様達の愛が止まりません!

恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。 そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。 屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。 やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。 無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。 叔父の家には二人の兄がいた。 そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…

処理中です...