氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

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 リラはその日も通常通り過ごしていると、部屋に訪問者が現れる。


「リラちゃ~ん、いるぅ?」


 ノックと共に聴こえるその声に、聞き覚えのあるリラは、直ぐに扉へと向かう。


「マッド!いらっしゃいませ!」

「こんにちはリラちゃん♪久し振りねぇ~、会いたかったわぁ♪」


 一応、今来たと言う様子を装って、本業である傭兵の出で立ちでリラに会うマッド達。ただし、他の者達は、扉の影に隠れて見えない。


「わたくしも会いたかったですわ。さぁ、入って下さいな」

「ん~、他にもいるんだけど、入れても良いかしらぁ?」


 マッドの言葉に首を傾げるリラ。今までマッドは一人でしか来なかったからだ。


「マッドのお友達なの?」

「ええ。あたしと一緒で中身が女のお友達なのよぅ♪実は若様が、暫くエヴァンス邸で皆を雇ってくれるそうなの♪それでね、それでね!報酬にぃ、ドレスも作ってくれる約束なのよぉ♪だから、リラちゃんもぉ、あたし達のドレスの色やデザインを考えてくれないかなぁ~ってぇ♪」

「勿論よ!マッドがいるなら誰も文句は言わないでしょうし、他の方も入れて大丈夫よ。レベッカ、クレアと、他の侍女達にも声を掛けて来てくれるかしら?前に次も参加すると言っていたから」

「はい、リラお嬢様。マッドさん、少しの間、リラお嬢様を宜しくお願いします」

「勿論よぉ♪任せなさい!」


 マッドがレベッカにウインクを送り、レベッカが会釈をして、その場を離れる。

 レベッカには、昨夜の出来事は知らされていたので、まだ部屋に入っていない他の傭兵達に、小声でお礼を述べる。


「皆様、有難う御座いました。どうぞ、ゆっくりしていって下さい」


 傭兵達はこの屋敷に来て驚くばかりだ。

 何せ、今までならば傭兵と言う生業なりわい柄、恐がられこそすれ、本性を晒そう物なら脱兎の如く逃げられ、絶対にお礼等言われる事は無かったからだ。それが、この屋敷では普通に対応してくれるだけで無く、着る事等絶対に出来ないと諦めていたドレスを支給し、女性扱い、更には罪人だからと、ゴツゴツしてない可愛い好みの男達を好きにしても良いと言われた。

((((マッドねえさんさすがです!))))

 彼女達は今後、マッドとこの家の依頼は、何を置いても絶対受ける!と、心に固く誓った。

 そしてリラは相変わらず、コミュ障を発動させながらも、それを全く気にしない彼女達と、楽しく接するのであった。
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