氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

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「エドワルド殿なら解るだろうけど、そんな家柄だから、王族との縁談は極力持ち込ませないようにしていたんだよ。まさか、あんな風に元王子のエドワルド殿が、縁談を持って来るとは思って無かったからね」

「ずっと、絶対にリラ嬢を手に入れる為に、どうすれば確実に縁談を成立させるか考えていましたが、上位貴族であり、陛下の臣下であるなら、絶対に誰も断れない方法、王命にするしか無かったのですよ。他の方法だと、ジーン殿に断られる可能性が少しでも有ったので避けました。エヴァンス家に、こういう役割があったとは知りませんでしたが、他の方法だと断られる可能性が高かったと言う事なので、王命にして良かったと心底思いましたよ」


 まぁ、そうまでしてリラを手に入れたかったみたいなので、例外として許されたのだ。もし、これが利用する為とかで有れば、エドワルドは暗殺されていたかも知れない。このリラ大好きな兄の手で。


「ううっ、嬉しいです。エドワルド様」


 真っ赤な顔をエドワルドに擦り付けるリラは、猫がスリスリと寄り付いてる様な感じに思えて堪らない。

(猫好きと言う訳では無いが、この猫なら是非持ち帰りたい!!)


「リラが可愛過ぎるのは知ってるけど、持ち帰っちゃ駄目だからね?」


 悶えてるエドワルドを見て、取り敢えずジーンは突っ込んでおく。エドワルドがリラを持ち帰らないように。


「それとさっきも言ったように、夕食までの時間の間に、リラはエヴァンス家がブラックリストに入れてる人物を、上位から順に、エドワルド殿に教えて差し上げなさい。名前だけより顔も分かれば覚え易いからね」

「分かりましたわ兄様。エドワルド様、我が家の図書室に少しだけ寄らせて下さい。貴族名鑑は全てそこに保管されているのです」


 リラはエドワルドを連れて図書室へと向かう事にした。

 その図書室は、エドワルドにとって、興味深い本で埋め尽くされていた。

(凄いな、ここは。王立図書館には無く、それでも読みたかった本が、多数ある。王立図書館では、その貴重さ故に、閲覧制限が掛かる類いの物ばかりだ)

 リラが本を熱心に眺めるエドワルドを見て、エドワルドに声を掛ける。


「貸し出しは出来ませんが、エドワルド様なら直ぐに許可が出ますよ。ここは、父様か兄様が許可を出した者ならば出入り自由ですから。……でも、本ばかりで無く、少しはわたくしの方も構って下さいね?」


 リラはそう言うが、エドワルドがリラを放置し続ける事は無いだろう。

(本よりも興味を涌かせる対象だと言う事を、未だにリラは理解していないのだな。まぁ、その内気付く事になるだろう)


「私は本よりも、リラの方が魅力的ですから。ここに来る時は、当然リラも、一緒にいてくれますよね?」


 エドワルドがそう言うと、リラは嬉しそうに笑った。
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