氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

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 執務室では狭くなるからと、エドワルドを促し、玄関先から広間へと移動しながら、話を続ける。

 ジーンはリラからその書物の題名と保管場所を聞き出し、使用人達にその場所へとおもむかせ、取りに行かせる。

 多くの物が国立図書館の方に有るようだが、政務官であるジーンの一筆が有れば、閉館後も借りる事が可能だ。クルルフォーン邸にも人を送り、グラントを連れ出して来て貰う。


「皆久し振り!俺を呼ぶって事は、大量の仕事が有るって事だよね?!こっちはいつでも良いよ!ジャンジャン持ってきて下さい!!」


 目を輝かせながら部屋に入ってくるグラント。


「取り敢えず、ここに有る書物から、ローズウッド公爵領のルーデン地方に関する資料を抜き出せ」

「少し待って」


 リラが本を取り、紙を細長く破った上で何かを書き込み、ページを捲り次々に挟んでいく。


「紙を挟んだ場所から紙の指定した場所まで書き出して頂戴」

「了解です!」

「エマはこのページの地図と、この地図、後、ここの地形図をこの大きな紙に描き出して。縮尺率も同じに統一して頂戴」

「了解です~♪」


 エマは、グラント同様、書類整理や書物整理が得意な女性だが、地図や図案を写すのが本業だ。グラントは活字が得意な為、地図や図案だと、スピードが極端に下がるが、エマは短時間で描き出せるのだ。

 エマはディーラン国内の地図や地形図作りに専念し、縮尺率も揃えて作り続けている為、エヴァンス家に居ながらディーラン国内の精巧な地図を作り続けている。

 そして、その地図作りには現地まで足を運び、地図の精度を上げるエマの相棒もいる為、エヴァンス家に有る国内地図は、どの貴族よりも正確で詳細な地図が存在する。下手をすると、その地を治める領主の持つ地図よりも正確で詳細な地図ものが。

 幼少の頃のエマは身体が弱く、身体の丈夫な相棒が喋る場所を地図にしていた事が原点となり、エヴァンス領の地図を作りたいと夢を抱いた二人が、侯爵家の使用人となり、今ではエヴァンス領だけでなく、ディーラン国内の地図までも任される立場にいる。未だに夢は膨らむばかりだ。


「つ~ぎっ次~♪」


 グラントは楽しそうに、リラの指定通りに書き出し続ける。


「出来ました!次は?次は?!」


 目を輝かせながら要求するその姿は、餌か、遊んでとねだる犬にしか見えない。


「取り敢えず、ジェフが作ったクルルフォーン邸の暗号化書面の整理でもしておけ」


 ジーンはご褒美とばかりに、ジェフが送ってきた報告書をグラントに渡した。
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