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本編
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「平地はそれ程多く無いから、休むとなるとこの辺の川の側になるだろう」
そこは過去に何度も水害が起きた場所だ。
「では、人工河川の入り口を塞げば、確実に被害を被りますわね。塞ぐなら、ここと、ここと、ここかしら。それと、ここを少し掘り下げ溝を作れば、こちら側にも水が流れて、退路を断てますし、今の時期は雨が多い地方なので、村人の安全を考慮して、こちら側には行かないように、ローズウッド公爵様にお願いして頂きましょう。この河川の水量が増した所で、今のディーラン国に被害は出ませんもの。被害が出るのは、ドレファン国内の下流に当たる水捌けの悪い地域ですが、大昔から何の対策もしていなかった上に、ディーランに襲撃をさせる国政が悪いのです」
きっぱり言い切るリラに賛同する使用人達。
「森の中に作られた人工河川ですから、周囲の木を中心に土嚢で塞げば、材料を持ち運ぶ手間も体力も減らせて時間の節約にもなりますわ。今回塞いだ木と土嚢は撤去しますが、次に同じ事をするようなら、次は塞いだままにすれば良いのです。大昔はこの水害地域に村が有ったので、被害が幾度も出ていましたが、今は村の位置を安全な場所に移動しているので問題ありませんし、向こうが対策を取るとなると、莫大な資金が必要ですから。こちらは塞ごうと塞ぐまいと、被害は出ないのですから、お父様にお願いして、手札に加えて貰えば良いのです」
先程と同じ少し低い声で、エマに簡略した地図を描かせる。
グラントが写し出した、古い歴史書や資料の写しも付けて、バルトに見せられる地図を渡す為だ。
「エヴァンス家の影の軍師を本気で怒らせるなんて、ドレファン国は少しも思わなかっただろうな。リラは自分の為に怒る事は殆ど無いけど、自分の大切な人達を苦しめる相手には容赦しないから。私が不機嫌だったのもあるけど、王族であるエドワルド殿に自分相手に頭を下げさせたと言う要因もあるね。まぁ、どうでもいい王族なら、ここまで怒る事は無かったかも知れないけど、エドワルド殿は特別だから」
ジーンがエドワルドの横で、エドワルドに聴こえる音量で呟く。
ジーンがそう言うのだから、本当なのだろうなと思うエドワルドは、自分の為にあそこまでリラが怒ってくれている事が嬉しい。
(リラがここまでしてくれるのなら、世の中に、逆らってはいけない相手がいると言う事を、ドレファン国の脳無し共の頭に、徹底的に刻み込む必要があるな。私のリラの楽しみを奪ったのだから、それ相応の代償を支払って貰わなければ。ディーラン国が、どんな国なのか、どんな者がいるのかを思い知らせ、逆らうぐらいなら死んだ方がマシだと思える程の恐怖体験をさせてやる……)
そこは過去に何度も水害が起きた場所だ。
「では、人工河川の入り口を塞げば、確実に被害を被りますわね。塞ぐなら、ここと、ここと、ここかしら。それと、ここを少し掘り下げ溝を作れば、こちら側にも水が流れて、退路を断てますし、今の時期は雨が多い地方なので、村人の安全を考慮して、こちら側には行かないように、ローズウッド公爵様にお願いして頂きましょう。この河川の水量が増した所で、今のディーラン国に被害は出ませんもの。被害が出るのは、ドレファン国内の下流に当たる水捌けの悪い地域ですが、大昔から何の対策もしていなかった上に、ディーランに襲撃をさせる国政が悪いのです」
きっぱり言い切るリラに賛同する使用人達。
「森の中に作られた人工河川ですから、周囲の木を中心に土嚢で塞げば、材料を持ち運ぶ手間も体力も減らせて時間の節約にもなりますわ。今回塞いだ木と土嚢は撤去しますが、次に同じ事をするようなら、次は塞いだままにすれば良いのです。大昔はこの水害地域に村が有ったので、被害が幾度も出ていましたが、今は村の位置を安全な場所に移動しているので問題ありませんし、向こうが対策を取るとなると、莫大な資金が必要ですから。こちらは塞ごうと塞ぐまいと、被害は出ないのですから、お父様にお願いして、手札に加えて貰えば良いのです」
先程と同じ少し低い声で、エマに簡略した地図を描かせる。
グラントが写し出した、古い歴史書や資料の写しも付けて、バルトに見せられる地図を渡す為だ。
「エヴァンス家の影の軍師を本気で怒らせるなんて、ドレファン国は少しも思わなかっただろうな。リラは自分の為に怒る事は殆ど無いけど、自分の大切な人達を苦しめる相手には容赦しないから。私が不機嫌だったのもあるけど、王族であるエドワルド殿に自分相手に頭を下げさせたと言う要因もあるね。まぁ、どうでもいい王族なら、ここまで怒る事は無かったかも知れないけど、エドワルド殿は特別だから」
ジーンがエドワルドの横で、エドワルドに聴こえる音量で呟く。
ジーンがそう言うのだから、本当なのだろうなと思うエドワルドは、自分の為にあそこまでリラが怒ってくれている事が嬉しい。
(リラがここまでしてくれるのなら、世の中に、逆らってはいけない相手がいると言う事を、ドレファン国の脳無し共の頭に、徹底的に刻み込む必要があるな。私のリラの楽しみを奪ったのだから、それ相応の代償を支払って貰わなければ。ディーラン国が、どんな国なのか、どんな者がいるのかを思い知らせ、逆らうぐらいなら死んだ方がマシだと思える程の恐怖体験をさせてやる……)
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