氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

146

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 翌日から、エドワルドは単身馬でローズウッド公爵領へ、ジーンはアレクシスの元へと行き、ジーンはアレクシスにこれから何をするかを報告し、エヴァンス家で作られた精密な地図を見せる。


「水攻めにして、潜伏中の敵を殲滅か。ならば、兵をもう少し差し向けて、そちらに回すよう手配する。勿論、向こう側には気付かれないように細心の注意を払ってな。国の上部の挿げ替えは、国王を始め今回の事に関する馬鹿貴族共、それと、凶作だと言うのに軽減対策所か税を上げたり搾り取る馬鹿も挿げ替え対象に入れてやれ。見せしめでは有るが、ディーラン国は敵では無く、下の者達の味方だと印象付けてやれば良い。本来他国に介入する事は避けているが、今回は向こうの国が喧嘩を吹っ掛けて来たからな。他の同盟国にはこちらの事情も話して置く。和平条約を交わした我が国に、何の断りも無く領土侵犯をしながら、誤魔化そうとしていたとな。出来れば証拠も欲しいが、その辺はジルギリス殿にも要相談だな」


 証拠が無くても、ドレファン国の今までの行いからして、他の同盟国もディーラン国の主張を嘘だとは思わないだろう。それ程までに評判の悪い国王なのだ。何故そんな王が国の代表になれたかと言うと、単に世継ぎがその男しか居なかった為で、甘言を言う貴族を取り立て、苦言を言う貴族を退けると言う愚王っぷりだ。実は、腐った奴等を切り捨てる為の演技だったと言う類いなら良かったが、周辺国も呆れるぐらいの腐敗っぷりだ。

 とは言え、他国の内情であるから、手を出すと言う訳にもいかなかったのだ。

 こちら側から攻めて、勝ち取ればメリットになると言う特産の物が有れば良いが、そう言った物も大して無く、国土の半分以上が整備も何もされていない不毛の地ばかり。宝石になる鉱石も出るには出るが、ディーラン産や他国と比べると安値を付けられる物。国土を広げるにしても、赤字続きが見込まれる土地。投資する価値が有れば良いが、有れば有るで、他国に狙われる事すら出てくるのだ。

 手を出すには躊躇われる国。

 ディーラン国をこれ以上大きくして、周辺国に脅威を抱かせるようでは困るのだ。

 だが、今回、何を血迷ったのか、選りにも選ってこの時期に、一番怒らせてはいけない者達の怒りを買うタイミングに仕掛けて来たのだ。

 エドワルドがリラを見付ける前で有れば、まだこれ程の怒りを複数から買うこともなかったのに、本当に運の無い国王だ。

 まぁ、自国よりも強い相手に喧嘩を吹っ掛ける事自体が間違いなのだが。


「民衆達が革命でもすれば良いと思っていたが、国王は神だ何だと吹き込まれて育っている国だからなぁ。どうせ国王もそう洗脳されて育って来ただろうから、憐れとは思うが、神なら先ず、自国の領土を栄えさせて見せろと言うのに」

「無理でしょうね。神と言っても、貧乏神や疫病神の一種でしょうから。あれが太陽神とか、何の冗談ですか。偽太陽神でも無理があるでしょうに」


 ジーンは冷ややかな口調で言い切った。
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