氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

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「女を守る兵士達も、一応気絶させて動けないようにし、部屋に転がしたまま来ましたが、後から連れて来ましょうか?」


 ディーランの兵士の言葉に、アレクシスが少し考えて頷き言葉を発する。


「そうだな。兵士達にもこの愚王達の制裁や処刑を見せ付け、どうなったかの詳しい詳細を、国民に話して聞かせる役割として担って貰おう。それはそうと、全員を気絶させたのか?」


 アレクシスの視線の先には、気絶させられた愚王の娘であろう女達が、拘束されたまま転がっている。


「物凄く煩かったので、仕方無く。一応猿轡を噛ませましたが、取らないほうが良いですよ?自意識過剰と言うか、阿呆な発言を連発してて、顔は綺麗でも地獄を見ろと言いたくなってくる程、周囲を蔑み口汚く罵ってきます」

「そうか、ご苦労だったな。この馬鹿女達にも存分に地獄を味わって貰う。そうすれば、己の立場も理解するか、しなかった所で問題は無い。全裸で城下に吊るしてやるも良し、そのご自慢の顔の一部を焼いても良し。神で無い事を、とことん証明してやれば良い」


 彼女達は、自分達と同等、もしくは自分よりも目立つ娘達を、目の前で男達に犯させたり、顔が気に入らないと傷を負わせたりしていたとジルギリスに教えて貰った為、アレクシスに女性だからと、手加減を加える気は無い。


「ああ、本妻と妾は、この城内の増築された後宮にいますよ。城の裏手で、この愚王の寝所と、裏庭の入り口から入れますが、この愚王、自分の息子に妾を貸し与えてますよ。お手付きは皆その後宮に閉じ込め、気分次第でその日の相手を決めていますから。後、自分の好みに育った何人かの娘も味見して、その後宮に入れてるようです。親子揃って獣街道まっしぐらなので、そっちは燃やした方が速いですかね?」


 子供は七歳になるかならないかで、後宮から出されるそうですが、と言うジルギリスの報告に、アレクシスはこの国の者達の感覚にゾッとする。思った以上の腐れ具合だ。


「今は幼い子供はいないそうですよ?この愚王にあまりにも多く子供がいたので、子供が煩いから、避妊しろと言い出して、避妊薬を毎日全員に飲ませてるそうです。だから、屑王子達にも子供はいませんよ。まぁ、庶子の捕虜君は、あの後宮自体を利用してないようだけど」


 捕虜にされていた男は、自嘲した笑みを見せ、生い立ちを少し口にする。


「……幼少時に母が、王子達に犯されてる姿を見た事がありますからね。その後母は自害しましたよ。あそこの女を見ると、吐き気がします。元々母は、他に婚約者がいて、その者の前で王に犯された挙げ句、目の前で婚約者を殺されたそうですから。だから、母の口癖は『王には逆らうな。息子だろうと殺される』でしたよ」


 この国の愚王の子供で、他よりもマシな部類に入ったのは、こういった事情があったからに他ならない。
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