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本編

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 リリーもサロンに顔を出し、バルトに挨拶をする。


「挨拶が遅れてしまい、申し訳有りません。お久し振りですわね、ローズウッド公爵様。ようこそお出で下さいました」

「こちらこそ、約束の無い突然の訪問で、申し訳有りません。相変わらず、お美しいですね。私はこの子達に会いたくて、図々しくもお邪魔をしてしまいましたので、どうぞ、お構い無く」

「有難う御座います、お世辞でも嬉しいですわ。お食事も用意致しますので、それまでは双子達とお話を続けていらっしゃってて下さいませ」

「ああ、いえ、家で妻が待っているので、それには及びません。それよりも、この子達に会う為に、またお邪魔させて頂きたいのですが、宜しいでしょうか?」

「勿論ですわ。今度は奥様も連れていらして下さいな。そうだわ。年越しのパーティーにも双子達を護衛として連れて行くので、是非、王宮でお会いしましょう!」


 リリーの言葉にバルトは驚く。


「護衛、ですか?」


 双子達が武術に精通している事は、まだ喋って無かったからだ。


「これでもエヴァンス家の中では上位に入る腕前をしているのですよ。なので、先のドレファン行きの際に、リラが王宮に一時的にですが、彼と一緒にアナスタシア王妃の護衛に付けていたのです。ただし、表向きにはルネだけと言う事になっていますが、ルナは隠れて王妃様に付きっ切りで護衛をしていました。なので、王妃様もこの二人をご存知です。その為、出来れば連れて来て欲しいと言われていたんですよ」

「彼とは、そこにいる異国の……もしかして、十五年以上前に、噂になっていたダン殿ですか?」


 十五年以上昔の事になるが、エヴァンス家の護衛に、異国の凄腕剣士が居て、近衛団長すらも手玉に取られるような凄腕だと聞いた事がある。


「何ですか、その噂って……」


 思わずダンが突っ込みを入れる。


「ああ、そう言えば当時、近衛団長がしきりに勧誘していたと、話題になっていたからね。最初は平民を理由に断ってたから、平民採用を取り入れてくれって、隊長自ら何度も言いに来てたよ。とは言え、結局ダンは受けなかったけどね。その時の影響で、今も平民採用枠がそこそこ多めに取ってあるんだよ。まぁ、そうは言っても、腕の立つ傭兵が受ける事は、あまり無いみたいだけど」

「そりゃそうですよ。傭兵なんて者は基本、名前ぐらいは書けますが、文字の読める環境下に無い奴が殆どですよ。俺やマッドのいた国は、近所の教会が無償で文字を教えてくれていたので読み書きは出来ましたが、そういう国自体、全体的に見ると少ないですからね。それに、国に仕えろと言われても、ピンと来ない連中が殆どですよ。それに、貴族は傭兵達をならず者と見てる奴が殆どなんですから……」


 ジルギリスの返答に、ダンは呆れた声で返した。
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