氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

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「もしかして、十五年前の噂の所為で、王宮では俺が他国の貴族だってデマ、未だに健在なのか?」


 ダンの問いに、ジルギリスが答える。


「流浪の王族って渾名を付けられてましたから、多分健在だと思いますよ?」

「ちょっと待て、ジルの旦那!どっから王族になった?!」

「ダンの母君の異名からですよ。流浪の舞姫。しかも、剣姫と呼ばれていたのでしょう?だから、ダンの母親は流浪の姫君だと噂を流しました。嘘は言ってませんよ?ダンの母君が“姫”と呼ばれていたのは事実ですし、それをあの馬鹿貴族共に教えただけです。皆を一ヵ所に集めて、ダンの母親は姫と呼ばれていたようですよと。最初は半信半疑なようでしたが、王宮の窓から偶然、豪華絢爛な国王専用の馬車からマーウとダンが降りて来るのを目撃して、王族の馬車だから王族しか乗れないと勘違いしたのでしょう。ダンに偉そうだった奴等が顔を真っ青にして、ガタガタと震え、二度とダンの前に出てはいけないと、悟ったようでしたね」


 ダンの母親は、流浪の旅芸人。しかも剣舞を得意とする舞姫だった。ダンは母親の剣舞を覚えているが、剣姫の名に相応しい舞姫で、実戦でも応用出来るタイプの舞いが殆どだったのだ。その為、ダンも、その剣舞を叩き込まれている。

 ダンは、そのセンスを母親から継ぎ、傭兵の知識や闘いは父親に学んだ。


「いや、確かにそんな話はしたし、舞姫だってのは嘘じゃねぇが、話盛り過ぎだっつの。舞姫を亡国の王女にすんなや……」


 がっくりと肩を落とすダン達の会話を聞いて、それであんな噂が流れたのかと納得するバルト。


「そもそも、異国の者だからと蔑む方が悪いんですよ。ダンの母君の事は私の父が知る程の有名な方でしたしね。それこそ、王族の求婚に対し、地位や名誉、国を棄て、共に来て他の者と同じような仕事をして下さると言うのなら考えますが、そんな決意も根性も無いような相手に、身を寄せる気は有りませんよ?と、言い切った舞姫だと聞きましたから。ダンは見事に母君の血を継いでますよね」

「こっち方面には来てない筈なのに、よく知ってましたよね、先代も。多分それ、お袋のタイプじゃなかっただけですよ。あの人はガッシリした身体の大きな男がタイプですからね。王族や貴族とかって、華奢過ぎて頼りにならない!とか言ってましたし。俺を見て、父親に似れば良かったのにって、たまに嘆いてましたよ。因みに父は、そんな事言うのはお袋ぐらいだと言ってましたが、あの二人、今はどこにいるのやら」

「ダンは知らないのか?自分の両親の居場所を」


 エドワルドが問うと、ダンが答える。


「ああ、一応連絡は取ってるが、一ヵ所に留まるのが嫌いなタイプだから、二人で世界中を回ってるんだ。それこそ他の共通語領域の国とかもな。もう年なんだから、ディーランに来て俺の世話になっとけよとは言ってるんだがなぁ」


 行動力が半端無い二人だからなぁ~と他人事のように言うダンだった。
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