297 / 805
本編
245
しおりを挟む
暫くすると、ローズウッド公爵夫妻が訪ねて来た。
「紹介させて頂きます。私の妻のセシルです」
「初めまして、お初にお目に掛かります。バルト=ローズウッドの妻、セシル=ローズウッドと申します。以後お見知りおきを」
その女性はスラリと背が高く、品の良いシンプルなドレスを着こなした女性で、それがまた、凛とした彼女に似合っていた。
雰囲気も、女性騎士と言った感じなので、バルトの好む女性が奥方のような女性なら、普通の貴族女性に見向きもしないのは当然の事だろう。
「初めまして、エドワルド=クルルフォーンと言います。バルト殿には幼少の頃からお世話になっております」
その場にいる、家位の高い者から順に名乗る事になっているので、先ずはエドワルドから挨拶をしていく。
そして、ジルギリス、リリー、ジーン、リラの順で挨拶をし、バルトはセシルにダンと双子達の名を呼び、妻に紹介する。
「セシル、彼等が話していたダン殿とアイザーク族の子供達、ルナとルネだ」
バルトが楽しそうにセシルに話し掛けているが、セシルは少し呆れ顔を見せていた。
「夫が無理を言ったのでは有りませんか?もしそうならちゃんと言って下さいね?この人、時折暴走してしまう事があるので、はっきり断って頂いても構いませんからね?」
セシルの言葉に、双子達は首を傾げるが、その後直ぐに頷く。
「「ん、大丈夫。嫌、本当、断る」」
「双子達は公爵に会えて、喜んでますから大丈夫ですよ。この二人は嫌なら嫌ってちゃんと言いますから。そうだろ?双子」
双子達は、ダンの言葉にコクコク頷く。
「それなら良いのですが……」
「お話ならば、座ってゆっくりして下さいな」
リリーが二人にソファーを勧め、双子達にも座るように言うと、双子達はソファーを見て浮かない顔だ。
王太子の応接間で、ソファーに沈み掛けた事を思い出しているようだ。そんな事を知らないリリーは首を傾げる。
「ルナ、ルネ、どうかしたの?」
「「食われる、嫌、イス~……」」
怨めしそうに、ソファーを睨む双子達。
ダンが簡潔に説明する。
「あー、前に座ろうとして、ソファーで埋まり掛けたんですよ」
「……お客様に申し出るのは、大変心苦しいのですが、ローズウッド公爵様、宜しければ双子達の背を支えて頂けますか?この前はダンが支えていたのですが、ダンは護衛に専念致しますので」
「ああ、それは良いですね!ルナ、ルネ、こっちにおいで。一緒に座ろう!」
「「座る、一緒~♪」」
そうしてバルトは双子を隣に座らせて、至福の時間を過ごす。
「ローズウッド公爵夫人は、わたくしとお話致しませんか?」
「ええ、有難う御座います。わたくしの事はセシルとお呼び下さい」
「では、わたくしはリリーと。今後とも宜しくお願い致します」
女性は女性で楽しく過ごすようだった。
「紹介させて頂きます。私の妻のセシルです」
「初めまして、お初にお目に掛かります。バルト=ローズウッドの妻、セシル=ローズウッドと申します。以後お見知りおきを」
その女性はスラリと背が高く、品の良いシンプルなドレスを着こなした女性で、それがまた、凛とした彼女に似合っていた。
雰囲気も、女性騎士と言った感じなので、バルトの好む女性が奥方のような女性なら、普通の貴族女性に見向きもしないのは当然の事だろう。
「初めまして、エドワルド=クルルフォーンと言います。バルト殿には幼少の頃からお世話になっております」
その場にいる、家位の高い者から順に名乗る事になっているので、先ずはエドワルドから挨拶をしていく。
そして、ジルギリス、リリー、ジーン、リラの順で挨拶をし、バルトはセシルにダンと双子達の名を呼び、妻に紹介する。
「セシル、彼等が話していたダン殿とアイザーク族の子供達、ルナとルネだ」
バルトが楽しそうにセシルに話し掛けているが、セシルは少し呆れ顔を見せていた。
「夫が無理を言ったのでは有りませんか?もしそうならちゃんと言って下さいね?この人、時折暴走してしまう事があるので、はっきり断って頂いても構いませんからね?」
セシルの言葉に、双子達は首を傾げるが、その後直ぐに頷く。
「「ん、大丈夫。嫌、本当、断る」」
「双子達は公爵に会えて、喜んでますから大丈夫ですよ。この二人は嫌なら嫌ってちゃんと言いますから。そうだろ?双子」
双子達は、ダンの言葉にコクコク頷く。
「それなら良いのですが……」
「お話ならば、座ってゆっくりして下さいな」
リリーが二人にソファーを勧め、双子達にも座るように言うと、双子達はソファーを見て浮かない顔だ。
王太子の応接間で、ソファーに沈み掛けた事を思い出しているようだ。そんな事を知らないリリーは首を傾げる。
「ルナ、ルネ、どうかしたの?」
「「食われる、嫌、イス~……」」
怨めしそうに、ソファーを睨む双子達。
ダンが簡潔に説明する。
「あー、前に座ろうとして、ソファーで埋まり掛けたんですよ」
「……お客様に申し出るのは、大変心苦しいのですが、ローズウッド公爵様、宜しければ双子達の背を支えて頂けますか?この前はダンが支えていたのですが、ダンは護衛に専念致しますので」
「ああ、それは良いですね!ルナ、ルネ、こっちにおいで。一緒に座ろう!」
「「座る、一緒~♪」」
そうしてバルトは双子を隣に座らせて、至福の時間を過ごす。
「ローズウッド公爵夫人は、わたくしとお話致しませんか?」
「ええ、有難う御座います。わたくしの事はセシルとお呼び下さい」
「では、わたくしはリリーと。今後とも宜しくお願い致します」
女性は女性で楽しく過ごすようだった。
50
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる