氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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本編

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 アナスタシアの言葉を聞き取った他の貴族達、特にリラを陥れようとしていた者達は慌てふためく。

 王命を軽んじる者は、喩え知らなかったと言えど、国賊だと断言されたのだから。

 アレクシスとアナスタシアが、リラ以外のメンバーにも一人一人声を掛けてから、列の一番前に行き、次々と挨拶を受けていく。

 中には先程のリラとの会話を聞いてくる者も居たが、それに付いてもアナスタシアはきっちりと答えていく。

 その間リラは、突き刺さる視線を背に、エドワルドの隣に座ると、エドワルドがリラの肩を抱き寄せ囁く。


「私達は仲睦まじい姿を見せ付けてやれば良い。義姉上が言うように、王命はリラを守る為の武器だ。リラに手を出そうとする輩は、男だろうと女だろうと、王家を敵に回す事になる。これで少しは静かになれば良いのだが、念には念をいれておいた方が良いからね。リラは決して私の傍を離れてはいけないよ。手を出せないと分かっていても、寄り付こうとする虫は多いからね」


 美しい華を手折るだけでなく、言葉巧みに自身の都合の良いように騙す者とているのだ。リラのような純真無垢と言えるような者は特に引っ掛かる可能性もある。

 まぁ、エドワルドはリラを一人で他の者と接触させる気は全く無いし、リラもその辺はエヴァンス家の娘として自覚は有るので、態々接触する事は無いだろうが、どんな小さな可能性だろうと、見過ごす気は無い。

 それはジーンも同じだろうが、大々的に表向きで動くのはエドワルドの役割だ。

 ジーンもこの場に居るが、本意では無いと見せ掛けている為、一番離れた場所で、座る事無く立っている。

 悪足掻きとして、ジーンを仲間に引き込もうと思う馬鹿がいるかも知れないが、リラを溺愛しているジーンが裏切る事は皆無なので、寧ろ好都合と言う物だ。

 ジーンがリラを溺愛していると他の貴族が知れば、どんな顔をするのやら。

 そうして一年が終わる鐘の音が鳴り響き、新たな年を迎える。


「新しい一年の始まりだ!さぁ、各々朝まで楽しんでくれ!!今年も宜しく頼むぞ!」


 アレクシスの言葉に歓声が上がり、各々周囲にいるもの達と、新年の挨拶を交わし合う。

 勿論、リラやエドワルドも同様に。

 そうして挨拶の終えたアレクシスが、アナスタシアを連れてエドワルドのいる場所へとやってくる。


「エドワルド、今年も宜しく頼むぞ」

「私の方こそ宜しくお願いします」

「リラ様、これからも宜しくお願い致しますね」

「シアお義姉様。こちらこそ、宜しくお願い致します」


 無表情で応対しているものの、リラが喜んでいる事を、王家の面々は気付いていた。


「さぁリラ様、これからはプライベートな時間ですわ♪一緒にお部屋で過ごしましょう!エドワルド様はお部屋の案内を頼みますわ♪」


 アナスタシアはリラの腕を取り、エドワルドに案内を頼んだ。
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