323 / 805
本編
271
しおりを挟む
結局、マッド以外の他のお姉様達は、所属先の傭兵団の都合で、二人だけエヴァンス領に行く事が決まった。
「残念だけど、仕方ないわねぇ。けど、居残り組はこの家の警備を続行して良いそうよぉ♪他の仕事が入ったら、そっち優先で受けても良いって若様からのお達しよ!その代わり、ここでの出来事は、他言無用でお願いねぇ♥」
「勿論です、マッドの姐さん!!」
「どんな拷問を受けたって絶対に吐きません!!」
「バラしてなるものですか!」
「良かった♥そうだわ!口止め料として若様が、人数分の化粧品一式をくれたの!あたし達のような者は、買いに行き辛いだろうからだそうよぉ♪ほらぁ、女子会の時に、自分用のが欲しいって言ってたでしょ?どうやらリラちゃんが若様に言ってくれたようなのよぅ。口止め料って言ってるけど、多分口実ね。あたし達がバラすなんて、これっぽっちも思ってないし、バラされた所で逆手に取るでしょうから痛くも痒くもないわよ、きっと。若様らしいけど、あんた達は、絶対あの若様達を、敵に回さない事ね。普段は気前の良い若様達だけど、怒らせると大変なんだから」
マッドの忠告に、全員コクコク頷く。
他の皆も、本能的に気付いているのだ。あの手の人種は絶対に敵に回してはいけない事を。
「じゃあ、一緒に来る二人はちゃんと準備をしときなさいよ?あたし達は護衛として付いて行くんだからね」
こうして着々と準備は進められ、エヴァンス領へと向かう日が迫って来る。
大体エヴァンス領へは片道十日を予定している。
距離的に見れば、ローズウッド領よりもエヴァンス領の方が距離は近く、平坦な道ばかりだが、貴族女性が二人もいるのだ。
馬車の揺れが少ない速度と適度な休憩を挟むとなると、そのぐらいの日数が掛かる距離なのだ。
そして、貴族女性と言う事で、嵩張るドレス等の荷物も増える。
その為、エヴァンス家だけでも荷馬車が二台、人が乗る馬車が二台の、計四台で行く事になるが、令嬢や夫人によっては、一人で数台の荷馬車を出す者も居るのだから、少ない方なのだ。
「リラは侯爵領から王都に戻る時、本宅に置いてある物も、運んで来なければいけないわね。宝物も持っていくのでしょう?」
「はい。宝物は全部持っていきますわ!……でも、エドワルド様は邪魔だと言わずにいて下されば良いのですが……」
「大丈夫だよ。そんな事を言うようなら、僕が説教してあげるから」
「大丈夫だって。あんな広い屋敷だぞ?んな事言ったら部屋に閉じ籠ってやりゃあ良い」
「ふふっ、そんな事で撤回して下さるかしら?」
確実に撤回する。その場にいた全員が、心の中で呟いた。
「残念だけど、仕方ないわねぇ。けど、居残り組はこの家の警備を続行して良いそうよぉ♪他の仕事が入ったら、そっち優先で受けても良いって若様からのお達しよ!その代わり、ここでの出来事は、他言無用でお願いねぇ♥」
「勿論です、マッドの姐さん!!」
「どんな拷問を受けたって絶対に吐きません!!」
「バラしてなるものですか!」
「良かった♥そうだわ!口止め料として若様が、人数分の化粧品一式をくれたの!あたし達のような者は、買いに行き辛いだろうからだそうよぉ♪ほらぁ、女子会の時に、自分用のが欲しいって言ってたでしょ?どうやらリラちゃんが若様に言ってくれたようなのよぅ。口止め料って言ってるけど、多分口実ね。あたし達がバラすなんて、これっぽっちも思ってないし、バラされた所で逆手に取るでしょうから痛くも痒くもないわよ、きっと。若様らしいけど、あんた達は、絶対あの若様達を、敵に回さない事ね。普段は気前の良い若様達だけど、怒らせると大変なんだから」
マッドの忠告に、全員コクコク頷く。
他の皆も、本能的に気付いているのだ。あの手の人種は絶対に敵に回してはいけない事を。
「じゃあ、一緒に来る二人はちゃんと準備をしときなさいよ?あたし達は護衛として付いて行くんだからね」
こうして着々と準備は進められ、エヴァンス領へと向かう日が迫って来る。
大体エヴァンス領へは片道十日を予定している。
距離的に見れば、ローズウッド領よりもエヴァンス領の方が距離は近く、平坦な道ばかりだが、貴族女性が二人もいるのだ。
馬車の揺れが少ない速度と適度な休憩を挟むとなると、そのぐらいの日数が掛かる距離なのだ。
そして、貴族女性と言う事で、嵩張るドレス等の荷物も増える。
その為、エヴァンス家だけでも荷馬車が二台、人が乗る馬車が二台の、計四台で行く事になるが、令嬢や夫人によっては、一人で数台の荷馬車を出す者も居るのだから、少ない方なのだ。
「リラは侯爵領から王都に戻る時、本宅に置いてある物も、運んで来なければいけないわね。宝物も持っていくのでしょう?」
「はい。宝物は全部持っていきますわ!……でも、エドワルド様は邪魔だと言わずにいて下されば良いのですが……」
「大丈夫だよ。そんな事を言うようなら、僕が説教してあげるから」
「大丈夫だって。あんな広い屋敷だぞ?んな事言ったら部屋に閉じ籠ってやりゃあ良い」
「ふふっ、そんな事で撤回して下さるかしら?」
確実に撤回する。その場にいた全員が、心の中で呟いた。
63
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
黒騎士団の娼婦
イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
王宮に薬を届けに行ったなら
佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。
カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。
この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。
慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。
弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。
「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」
驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。
「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」
※ベリーズカフェにも掲載中です。そちらではラナの設定が変わっています。(貴族→庶民)それにより、内容も少し変更しておりますのであわせてお楽しみください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる