氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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後日談

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 社交シーズンが始まり、夜会に参加していたジーンに声が掛かる。


「お久し振りですわ、ジーン様。そう言えば、妹君と仲が良い、なんて噂が出回っていましたわよ?とんだ迷惑ですわね?ジーン様」


 リラの結婚式に参加せず、たまたま噂を耳にしたジーンの自称婚約者候補の取り巻きの一人である、肉食系美女が、ジーンを見付けて近寄って来たのだ。


「確かに迷惑だな(お前達の勘違いには)」


 ジーンは密かに心の中で付け加えてるのだが、女性はその意図に全く気付いていない。


「公爵様も、あんな毒華のどこが良かったのかしら。高嶺の華なんて、他にちゃんとしたのがいると言うのに」


 まるで、自分と言う高嶺の華に気付きもしないだなんて、見る目が無い、と言いたげに喋っているが、リラの本質を知るジーンにしてみれば、お前こそが毒華だと思っているのだが、それすら気付く様子も無い。


「でも、わたくしにはジーン様がいるので、全然問題有りませんわ。寧ろ邪魔者が居なくなって良かったではありませんか」

「問題無い……か。邪魔者は寧ろ、貴女自身なのに?」

「……え?」

「男は女性と違い、知り合った相手と幾度か会話をすれば、名前呼びをされる事に抵抗は無いし、相手がそれを望むので有れば、名前で呼ばないなんて、相手に恥を掻かせるだけになるので、一応は合わせていましたが、迷惑なのは貴女の方ですよ。私の可愛い妹を、赤の他人の貴女に貶される謂れは無い。そもそも、私は自身の口から、一度たりとも妹と仲が悪いだなんて言った事は有りませんが?」

「はぁ?!」

「私は、私の妹を一度でも貶した女性と結婚する気は無いし、エドワルド殿にも報告するつもりだ。自分が言う分は構わない。リラの良い所も悪い所も知る家族だからな。だが、家族ですら無い者に、口を出される筋合いは無い。男女かかわらず、エヴァンス家とクルルフォーン家に目を付けられて、何事も無く過ごせるなんて思わない事だな」


 ジーンはそう言って茫然自失状態の女性の元を去っていく。

 周囲で聴いていた者達の顔は青ざめ、引き吊っていたのは言うまでも無い。

 それを遠目に見ていた、ジルギリスを知る年配組は思った。

(令嬢の場合は違う意味で想定外だったが、あれ・・の息子が優男な訳が有るか!!彼奴等ならやる!何かを!!巻き添えを食らいたくなければ、絶対にあの女には近付くな!!)

 そうして彼女は、他の貴族達にとことん避けられ、今後結婚は勿論、恋人を持つ事も、愛人になる事も出来ず、行き遅れただけで無く、生涯誰とも添い遂げる事すら出来ずに年だけ取って暮らしたらしい。
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