424 / 806
後日談
15
しおりを挟む
サイナスが深い溜め息を吐き、ランドールはビクッと震える。
「続けるんだな?執事職。言っとくが、今からやり直ししても、お前が執事として使えるようになるのは二十年、三十年先、それ以上になるかも知れないぞ。それでも良いんだな?」
サイナスの念押しに、ランドールは心底安堵して、サイナスの問いに力強く頷く。
「はっ、はい!!」
「……取り敢えず、時間が限られてるから、このまま体験学習は続けるとしても、事務職だと思ってたなら、意味すら取り違えてるだろうから、父さんや他の執事達にも話して、教育の見直しからだな」
「……父さん?」
「ここの執事長をやってるんだよ。執事が複数いる場合も一番上が必要だからな。お前も会ってるぞ。最初に来た時、エドワルド様と話してた執事がいただろ。あれが僕の父だ」
「えっ?!あの、年配の方ですか?!」
「お前……見た目で判断するなよ?今も現役で、この領地の全てを把握してる人だからな?出入り商人の名前や人数、物流の流れや物価の動向、領内各地の役人に報告書を作成させて、王都の物価と比較して、そこに輸送費足して、大幅なぼったくり商人だった場合は、二度と領地で物が売買出来ないように、領主の名前を使ってでも指図するぞ」
「当然でしょう。そんな悪い虫を領内で飼い、肥やすなんて、馬鹿のする事です。領主にとって害でしかない害虫なんて物は、餌を与えなければ良いのですから。そんな事より、何をしているのですか?既にダンス講師が待機していると言うのに、中々動こうとしないなんて、時間の無駄です」
いつの間にか近寄って来ていたキーツに指摘され、即座に謝るサイナス。
父と言えど、この気配の消され方は心臓に悪い。
「申し訳有りません。想定外の事態が発覚しまして、それに付いて、キーツさんにも相談をとさせて頂きたく……」
「では、移動しながら聞きましょう。マッド様とお友達の方々も一緒に、ダンスレッスンをお受けしませんか?折角綺麗なドレスを纏っておられるのに勿体無いですからね。手の空いている者に声を掛けました所、数人が協力してくれるとの事なので、どうぞ、ご遠慮無く」
キーツの申し出に、マッド達は大いに喜ぶ。
そして、レッスンの部屋となる場所に移動しながら、サイナスはランドールの勘違いを報告した。
「……解りました。先ずは、ここでしか体験出来ない体験学習を平行しながら、子供でも解る執事の仕事や役割が書かれた、子供向けの本から揃えて読ませましょう。サイナス、良い機会です。後継を育てるつもりで初歩の初歩から教えて差し上げなさい。ただし、年が年ですから、エヴァンス家の執事では無く、一般の、公爵家に仕える執事としての教育です。執事として、出来ますね?」
キーツはさらっと言い切り、サイナスはやっぱりそこからかと少しげんなりした。
「……はい」
「声が小さい、やり直し」
「はい。勿論です」
「遅かれ早かれ、いつかは見習いから育てるのですから、その練習相手と思いなさい。……貴方はエヴァンス家の執事と認められているのですから、相手が投げ出さない限り、出来ますよ」
「……当然です」
サイナスは、キーツの言葉に口元を綻ばせた。
「続けるんだな?執事職。言っとくが、今からやり直ししても、お前が執事として使えるようになるのは二十年、三十年先、それ以上になるかも知れないぞ。それでも良いんだな?」
サイナスの念押しに、ランドールは心底安堵して、サイナスの問いに力強く頷く。
「はっ、はい!!」
「……取り敢えず、時間が限られてるから、このまま体験学習は続けるとしても、事務職だと思ってたなら、意味すら取り違えてるだろうから、父さんや他の執事達にも話して、教育の見直しからだな」
「……父さん?」
「ここの執事長をやってるんだよ。執事が複数いる場合も一番上が必要だからな。お前も会ってるぞ。最初に来た時、エドワルド様と話してた執事がいただろ。あれが僕の父だ」
「えっ?!あの、年配の方ですか?!」
「お前……見た目で判断するなよ?今も現役で、この領地の全てを把握してる人だからな?出入り商人の名前や人数、物流の流れや物価の動向、領内各地の役人に報告書を作成させて、王都の物価と比較して、そこに輸送費足して、大幅なぼったくり商人だった場合は、二度と領地で物が売買出来ないように、領主の名前を使ってでも指図するぞ」
「当然でしょう。そんな悪い虫を領内で飼い、肥やすなんて、馬鹿のする事です。領主にとって害でしかない害虫なんて物は、餌を与えなければ良いのですから。そんな事より、何をしているのですか?既にダンス講師が待機していると言うのに、中々動こうとしないなんて、時間の無駄です」
いつの間にか近寄って来ていたキーツに指摘され、即座に謝るサイナス。
父と言えど、この気配の消され方は心臓に悪い。
「申し訳有りません。想定外の事態が発覚しまして、それに付いて、キーツさんにも相談をとさせて頂きたく……」
「では、移動しながら聞きましょう。マッド様とお友達の方々も一緒に、ダンスレッスンをお受けしませんか?折角綺麗なドレスを纏っておられるのに勿体無いですからね。手の空いている者に声を掛けました所、数人が協力してくれるとの事なので、どうぞ、ご遠慮無く」
キーツの申し出に、マッド達は大いに喜ぶ。
そして、レッスンの部屋となる場所に移動しながら、サイナスはランドールの勘違いを報告した。
「……解りました。先ずは、ここでしか体験出来ない体験学習を平行しながら、子供でも解る執事の仕事や役割が書かれた、子供向けの本から揃えて読ませましょう。サイナス、良い機会です。後継を育てるつもりで初歩の初歩から教えて差し上げなさい。ただし、年が年ですから、エヴァンス家の執事では無く、一般の、公爵家に仕える執事としての教育です。執事として、出来ますね?」
キーツはさらっと言い切り、サイナスはやっぱりそこからかと少しげんなりした。
「……はい」
「声が小さい、やり直し」
「はい。勿論です」
「遅かれ早かれ、いつかは見習いから育てるのですから、その練習相手と思いなさい。……貴方はエヴァンス家の執事と認められているのですから、相手が投げ出さない限り、出来ますよ」
「……当然です」
サイナスは、キーツの言葉に口元を綻ばせた。
12
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる