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後日談

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 それから数日が経ち、マッドはまたクルルフォーン邸に向かう。

 勿論いつものお茶会だ。

(あれから一週間が経ってるけど、ライちゃんの身辺調査は済んだのかしら?)

 貴族には、優先順位と言う物が有るので、もしかしたらまだかも知れないと思いつつ、玄関で出迎えてくれたサイナスに聞いてみる。


「ライちゃんの調査は進んでるぅ?あたしとしては、早めに連れて来てあげたいんだけどぉ……」

「ええ、マッドさんが来るまでにと、調査を済ませましたよ。マッドさんの仕事場にいる方は、間違いなくライラ=ムスター子爵令嬢です。まぁ、爵位返上してるので、元ムスター子爵令嬢の、と言った方が正しいですけどね。次回以降に、お越し頂いて構いません。ただし、中身が男性だと言うのなら、主人が居る時にして欲しいとの事です」

「まぁ、あの公爵様なら、そう言うわよねぇ。一応挨拶しなきゃだしぃ、公爵様の休みも教えて頂戴♪」


 そう言ってマッドはエドワルドの休みを聞き出し、一番近い日付を予定として選ぶ。

 そうしてドレスに着替えて、いつものように、アナスタシアを交えてお茶会を楽しみ、帰路に着く。


「ライちゃん、今度あたしと一緒にダンちゃん所に行ってみないぃ?」


 マッドの唐突な話題に、ライラは驚く。


「ボクが、一緒に?あのダンさんの所に?」

「そうよぉ♪あたし、ライちゃんを紹介したかったのぉ♪一応公爵家の使用人になってるから、公爵の許可を貰わなきゃならないんだけど、それもお墨付きだから♪あたしが一緒にいる事と、公爵様が在宅の時なら構わないそうよぉ♪」


 ライラは少し考える。

 きっと自分が断っても、マッドは一人でダンに会いに行くだろう。

 そう思うと胸の中がムカムカして、落ち着かない。

 ダンと言う人物に会えば、その原因が分かるかも知れないし、今のままでは日々、イライラが募るだけで、どうにもならないと思ったライラは、マッドの提案に頷いた。


「行きます」


 そうしてライラは、数日後の昼過ぎに、マッドと共にクルルフォーン邸に到着した。

(うわぁ……、何て大きな屋敷……。マッドさん、毎回こんな所に来てるのか?)

 ライラは屋敷のあまりの大きさに、腰が引ける。

 ライラが住んでた家は、その一角ぐらいの大きさでしかなかっただろう。いや、もしかすると、その一部程度だろうか?

 何せ、ライラのいる位置からでは、建物の奥行きが、全然見えないからだ。

(さっ……さすが公爵家……。規模が違う。こんな所に嫁いで来るのも大変だろうけど、それに付いてくる使用人はどんな気持ちなんだろう?でも、マッドさんは全然動じてないし、慣れ、なのかな……?)

 ライラはダンに会う前に、気持ちを砕かれた気分に陥った。
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