氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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後日談

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 こんな見知らぬ異国の男、普通なら、家に置いとく訳が無いと、ダンはそう思っていたのだが。


「じゃあ、じゃあ、かあ様、会って。とお様、いない。にい様、いない……」


 楽しそうな声が、段々小さくなっていき、再びリラがポロポロと涙を流し出したので、ダンはリラを抱え上げてあやし、傍に控えている、シルビアに聞いてみる。


「居ないってのは、どういう事だ?」

「旦那様は王都でのお仕事が有り、若様を王都の学院へと送っている所なので……」


 シルビアが困り顔で答えてくれる。


「あのっ、出来れば、リラお嬢様が言うように、ここに滞在して頂けませんか?」

「そうは言うが、俺ぁ無職状態続きの傭兵だぞ。ここでは職に就けねぇし、早くセイル領に行って、他の国に渡る算段付けとかなきゃ、路銀が尽きるんだ」


 それを聴いていたリラが、顔を上げ、ダンに視線を定めて言い切った。


「ダン、リラ、雇う!そうすれば、ずっと一緒?帰って、くる?」


 間近でウルウルとした瞳で訴えて来るリラは、可愛さが半端無い。


「そうだなぁ、雇われてる間は、ここに帰ってくるぞ」

「じゃあ、雇う!ずっと一緒~♪シルビー、シルビー、かあ様呼んで?ダン、会う、かあ様!ダンいる、ずっとよ♪」


 何故ここまで、リラがダンに懐くのかは、ダン自身分からないが、これ程慕われれば、応えてやりたくなる物だ。

 だが、それは、リラの母親次第だろう。

 母親が駄目だと言えば、この話は無くなり、ダンはセイル領に入ってこの国を去る。

 そう思っていたのに、リラの母親で有るリリーは、ダンをあっさり歓迎した。


「ウチの娘達を助けて頂き、本当に有難う御座いました」


 リリーにまで頭を下げられ、吃驚していると、リラがダンの足にしがみ付き、リリーに告げる。


「かあ様、かあ様!リラね、リラね、ダンと一緒、いるの。ダン、リラ、雇うの!」

「まぁ、リラが?」

「そしたらダン、リラと一緒、居てくれるのよ!」

「まぁ、そうなの?じゃあ、リラと居て貰う為に、雇わなくちゃね♪」

「はぁ?!本気か?奥方!」

「勿論よ?わたくし、リリー=エヴァンスと申します。最近のリラは、夫と息子が家に居ないから、かなり沈んで居たのよ。これからリラを、宜しくお願い致しますわね♪」

「いや、旦那不在中に、見知らぬ男を雇うとか、危ねぇ事だろ!」

「旦那様は、理由を知れば、解って下さいますわ。それに、リラがこんなにも懐くのは、貴方が良い人だからなのよ?元々、人懐っこくは有るけれど、上部うわべを取り繕うだけの人とかが相手だと、わたくしや、シルビアの影に隠れるか、逃げるかするもの。それに、シルビアよりも腕が立つんですって?なら尚更、エヴァンス家としては、見逃せないわ♪」


(何なんだ?この母娘は……。この娘にしてこの母有り、だなぁ……)

 ダンは深く考えない事にした。
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