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後日談

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 モーラは子供の頃からサイナスが好きだった。

 と言っても、最初は兄としてでは有ったが。

 モーラは一人で遊ぶ事が多く、虫だの蛇だの平気で掴まえる子だったので、大人しくお人形遊びなんて出来ずに、エヴァンス家の裏の森のような場所に、よく赴いていた。

 そしてそんな時は、必ずと言っても良い程、サイナスが付いて来てくれた。

 モーラからしたら、男の子は、モーラの髪を引っ張ったり、あっち行けと突き飛ばしたり、良い印象は全く無かった為、最初の頃は、きっとこの子もそうするだろうと警戒していた程だったので、時折サイナスを撒いていたのだ。

 しかし、そんなある日、モーラはサイナスを撒いて、森の奥深くまで歩き、迷っている事にも気付かずに、ズンズンと奥深くまで進んで行き、段々と日が傾き始めて来たので、そろそろエヴァンス家へと帰ろうとした時に、後ろを振り返り、漸く気付いた。自分が、どっちから来たのか分からなくなる程、奥深い場所まで来た事に。

 慣れ親しんだ森が、急にモーラへと襲い掛かるような心境だ。

 モーラは瞳を潤ませて周囲を見回すが、目印となる物も無く、どう行けば良いのか全く分からない。


「帰る……エヴァンス家……帰るぅ~……。やぁあぁ~っ!モーラ、帰るぅ~!!」


 モーラが大きな声で泣き叫び続け、暫くすると、少し離れた場所に有る茂みがガサガサと鳴り、モーラは怯えた。


「モーラ、いたぁ!」


 そこに現れたのはサイナスだった。


「……サイ、ナスぅ?」


 ボロボロと泣きながら、歪む視界にサイナスを写し、泣きながらもサイナスに向かって走り出す。


「ぅわぁ~~~ん!!」

「ちょっ、モーラ、危ない、転けるよ?!」


 大急ぎでモーラに駆け寄り、モーラを抱き止めてくれるサイナスに、モーラは心底安堵した。


「この辺は、僕でも迷いそうになるんだから、勝手に一人で来ちゃ駄目だよ?今度からは必ず僕も誘う事。いいね?分かった?」

「ごめんなさぁい~っ!」


 えぐえぐと泣くモーラの頭を優しく撫でて、モーラが落ち着くのを待つサイナス。

 高が二才、されど二才。子供の二才差は、かなり大きい。


「よしよし、じゃあ帰ろうか」


 ヒックヒックとしゃくりながらも、不安そうにサイナスを見上げる。


「サイナス、道、分かる?」

「うん、大丈夫。任せて」


 ニッコリと笑顔で請け負うサイナスは頼もしかった。

 それからモーラはサイナスと手を繋ぎ、日が暮れる前に、何とかエヴァンス家に着き、無事にエヴァンス家へと辿り着いたのだった。

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