氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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後日談

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「次は、ダンおじさんとのお稽古!」

「「剣舞と護身術~!」」


 三人で、ダンの居る庭に向かい、朝と夕方の涼しい時間帯に、武芸を習う。

 夜会の真似事は、使用人達の夜会風景を見て学ぶ。

 子供達にも解り易い言葉で喋ったり、サイナスが解り易い言葉に訳し、観劇を見ているような感じで、貴族の習慣、礼儀を学び、挨拶等は、色んなパターンも習う。

 初日は正しい挨拶や礼儀と言った物で、二日目以降は間違い探しの要素を加えて、徐々に難易度を上げると言う物だ。


「……私も、ここから学びたかったです……」


 一緒に参加していたランドールが遠い目をして呟くも、サイナスは、冷たい笑顔で言い返す。


「成人越してるお前相手に、どれだけの時間を掛けさせる気だ?そもそもお前が、職種の勘違いをしてる時点でアウトだろうが。それに、ウチではこれ、侍従や侍女の見習いにも参加させてる部類のもんだぞ。つまり、基本中の基本で、有る程度なら知ってて当然の事なんだが、王宮の教育はどうなってるんだろうねぇ……」

「私は、その……最初から自己流でして……。エドワルド様に仕えたのも、見習いで入って間もない頃に、エドワルド様の相手をする従者が居ないから、年の近いお前が行けと、周りから押し付けられたような物で、そんな私を切る事無く、雇い続けて下さったので、一生仕えようと思った次第です……」

「ああ、お前は後ろ楯が無い平民雇用だっけ。あの先代の王妃、やる事みみっちいなぁ。教養の無い平民付けて、エドワルド様の格を落とす気だったのかも知れないけど、お前が優秀じゃなきゃ、王家の恥になる事すら、当時は判らなかったんだろうねぇ」

「優秀?私が?」

「当然だろうが。あんな魑魅魍魎の中で、エヴァンス家から切られなかったって事は、敵にはならないと思われてるって事だろ。それまでの奴等は、先代の王妃が関与してるか、エドワルド様を平気で裏切れる奴等も居た筈だ。この家は代々、国の中枢に深く関わってる家柄で有ると同時に、王族の育成教育も少しだけ関与してる家だから、王族に相応しくないと思われた時点で、入れ替えられてるよ。その点お前は最低限の事だけはしてたって事だよ」


 最低限、つまり、主人を他者に売ると言う事だが、ランドールはその最低限が何を意味してるのか、今一分かって無いようだ。

(エヴァンス家の裏の顔までは、知らない方が良いかなぁ。まぁ、知られた所で、誰かに喋ったりはしないだろうけど、知らない方が幸せだろうからね)

 勿論、子供達には後々教えられるだろうが、身内にも知られてはいけない場合の想定として、彼を利用すれば良いかとサイナスは考えた。
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