氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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後日談

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 レッグスの言葉に、聞き耳を立てて聴いていた周囲の者達が、聞いた事の有る家名に、アシュリーをまじまじと見やる。

 そこには確かに見知った顔だが、以前とは比べ物にならない程綺麗に着飾り、隣にいるジーンに見劣りする事の無い美麗な姿で立つアシュリーを認識し、顔見知りは心底驚く。

 他の者達からすれば、アシュリーは地味なイメージしか無く、普通よりか可愛いかな?と言う程度の認識しか無かったのだ。

 それが今ではどうだろう。

 ここに集まる令嬢の誰よりも美しく、綺麗だが、年相応の可愛さも持ち合わせたドレスとメイクで、可憐さと清廉さを引き出し、地味と言う印象を覆している。

 ドレスもメイクも過剰装飾はされていない分、媚びを売る女と言う印象は欠片も無い。

 誠実な女性を好む男の理想像、目をギラ付かせて男達を上から下まで値踏みする女性をいとう男にとっての理想像、その理想像が、想像以上に美麗な姿で体現されたのが、アシュリーだと言っても過言では無い程に、ジーンの隣に立つアシュリーが輝いて見えたのだ。

 それはもう、ポカーンとした馬鹿面を晒している事すら忘れる程に。

 そしてその中で、一番の馬鹿面を晒しているのは、アシュリーの元婚約者で有り、サラの現婚約者でも有るマディソンと、アシュリーの家族だったゴート親子だろう。


「あっ……アシュリー?あれが?」


 そう呟く間抜け面のマディソンと、その隣で馬鹿面を晒している親子を視界に入れながら、ジーンは誰にも悟られぬように心の中で毒吐いた。

(ああ。あれが彼女の元婚約者と馬鹿父、そして義妹の小賢こざかしい雌狐か。既に婚約者では無い他人の婚約者を呼び捨てにするとは、余程地獄を味わいたいらしい)

 マディソン達はジーンの顔を知らないだろうが、ジーンはマディソンとアシュリーの父親の顔は知っていた。

 勿論、貴族名鑑と、使用人達が資料として送って来た肖像画で。

 ただ、義妹の肖像画は無かったし、見たいとも思わなかった。

 万が一そんな物を、使用人達が資料として送って来たとしても、確認後直ぐに燃やしていただろうが、態々前以て知らずとも、ジーンを見れば寄って来るだろうと、ジーンも資料を送っていた使用人達も確信していたからだ。

 あの義妹は、アシュリーの物を何でも欲しがる。

 しかも、アシュリーの元婚約者よりも、ジーンの方が全てを上回っているのだ。

 今までの事を考えても、あの義妹が、ジーンを欲しがらない訳は無い。

 ならば、そんな下らない道理が全く通じないと言う世界が有る事を、その小賢しい頭脳にたっぷりと教え込んでやれば良い。

(エヴァンス家や、エヴァンス家の花嫁に手を出そうとする事の意味を、その身を持って知るがいい)

 ジーンは何食わぬ顔でレッグスとの挨拶を打ち切り、周囲に見せ付けるよう、甘い笑顔をアシュリーに向けた。
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