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後日談
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美貌の持ち主に本気の殺意を向けられると、なまじ顔が良い分恐ろしい。
しかもジーンはどうすれば相手に効果的なのか、計算した上で怒りを表している。
対象者が自身では無いと言うのに、レオニールやレッグスの精神上は、吹雪の中で冷水を浴びせられた気分にさせられていた。
尤も、ジーンは寒い中でジワジワと凍り付かせ、相手が気付いた時にはもう逃げる事も出来ずに、手遅れになっている状態へと持っていく怒り方をするのだが、普段は温厚だと思わせている為、相手に依っては何がジーンの怒りに触れたのか、解らない時も有るようだ。
だが、今回は明らかに、自分勝手な自己中心的人物で有る、愚かな令嬢達に対してで、その令嬢達の親兄弟は、漸く事態に気付いたのだろう、ジーンの方へと駆け寄って行った。
「「ウチの娘がーー」」
「妹が」
「「「多大なるご迷惑をお掛けして、誠に申し訳有りませんでした!!」」」
親兄弟達は、ジーンの前で深々と頭を下げるが、ジーンに許す気は更々無い。
「ほら!お前も謝るんだ!!」
令嬢達の頭を鷲掴みし、頭を下げさせる父親も居るが、そもそもこんな質の悪い令嬢に育て上げた責任は、当然ながら親に有る。
「謝れば済むとでも思っているのか?常識すら弁えず、散々貶していた相手に掌を返して利用しようと企む、こんな貴族令嬢が貴族社会で役に立つと、本気で思っているのか?」
「いっ、いえ!そのような事はっ!!」
「では聞こうか。何故あのような、愚かな思考の令嬢に育てた?どう考えても、親の監督不行き届きだ。ちゃんと教育をしていれば、ここまで酷くはならなかったのでは?他人を貶める前に自らを顧みて、それで良いのか考えられる思考を育てるべきだろうに」
「ごっ、ごもっともです……」
「高位貴族に偉そうな口を叩いていたが、子は親の鏡。詰まりは親で有るお前達も、私に喧嘩を売りたいと思っているのか」
「めめめめっ、滅相も御座いません!!!」
「レオニール殿、レッグス殿。この家族との付き合いは慎重に考えるべきだな」
「「ええ、そうさせて頂きます。私達はジーン殿を敵に回す気は更々有りませんので」」
ジーンが令嬢達と対立し出した直後に、二人は声を掛けられても直ぐに反応出来る場所へと移動していた。
この地方の侯爵と、他の地方の高位貴族とも顔の広い子爵を敵に回すとどうなるかは、少し考えれば解る事だろう。
親達も自分達の考えが甘かった事に気付くが、娘達がジーンの前でアシュリーに絡もうと接触した時点で、既に手遅れになっていたのだ。
「アシュリー嬢、貴女の前で下らない時間を使ってしまい、申し訳無い。こんな愚か者達は放って置いて、我々は夜会を楽しもう。夜会を楽しむ為に、態々出て来たのだからね。貴女にとっても特別な夜になるよう頑張るから、楽しみにしていて」
周囲が聴けば、アシュリーに何かのサプライズを考えているのだろうと思わせる言葉をジーンが口にし、令嬢達と無関係の者達は、どんなサプライズなのかと気になり、これ程大切に思われてるアシュリーや、そんな風に大切に出来る相手に出会えたジーンが、少し羨ましく思えたのだった。
しかもジーンはどうすれば相手に効果的なのか、計算した上で怒りを表している。
対象者が自身では無いと言うのに、レオニールやレッグスの精神上は、吹雪の中で冷水を浴びせられた気分にさせられていた。
尤も、ジーンは寒い中でジワジワと凍り付かせ、相手が気付いた時にはもう逃げる事も出来ずに、手遅れになっている状態へと持っていく怒り方をするのだが、普段は温厚だと思わせている為、相手に依っては何がジーンの怒りに触れたのか、解らない時も有るようだ。
だが、今回は明らかに、自分勝手な自己中心的人物で有る、愚かな令嬢達に対してで、その令嬢達の親兄弟は、漸く事態に気付いたのだろう、ジーンの方へと駆け寄って行った。
「「ウチの娘がーー」」
「妹が」
「「「多大なるご迷惑をお掛けして、誠に申し訳有りませんでした!!」」」
親兄弟達は、ジーンの前で深々と頭を下げるが、ジーンに許す気は更々無い。
「ほら!お前も謝るんだ!!」
令嬢達の頭を鷲掴みし、頭を下げさせる父親も居るが、そもそもこんな質の悪い令嬢に育て上げた責任は、当然ながら親に有る。
「謝れば済むとでも思っているのか?常識すら弁えず、散々貶していた相手に掌を返して利用しようと企む、こんな貴族令嬢が貴族社会で役に立つと、本気で思っているのか?」
「いっ、いえ!そのような事はっ!!」
「では聞こうか。何故あのような、愚かな思考の令嬢に育てた?どう考えても、親の監督不行き届きだ。ちゃんと教育をしていれば、ここまで酷くはならなかったのでは?他人を貶める前に自らを顧みて、それで良いのか考えられる思考を育てるべきだろうに」
「ごっ、ごもっともです……」
「高位貴族に偉そうな口を叩いていたが、子は親の鏡。詰まりは親で有るお前達も、私に喧嘩を売りたいと思っているのか」
「めめめめっ、滅相も御座いません!!!」
「レオニール殿、レッグス殿。この家族との付き合いは慎重に考えるべきだな」
「「ええ、そうさせて頂きます。私達はジーン殿を敵に回す気は更々有りませんので」」
ジーンが令嬢達と対立し出した直後に、二人は声を掛けられても直ぐに反応出来る場所へと移動していた。
この地方の侯爵と、他の地方の高位貴族とも顔の広い子爵を敵に回すとどうなるかは、少し考えれば解る事だろう。
親達も自分達の考えが甘かった事に気付くが、娘達がジーンの前でアシュリーに絡もうと接触した時点で、既に手遅れになっていたのだ。
「アシュリー嬢、貴女の前で下らない時間を使ってしまい、申し訳無い。こんな愚か者達は放って置いて、我々は夜会を楽しもう。夜会を楽しむ為に、態々出て来たのだからね。貴女にとっても特別な夜になるよう頑張るから、楽しみにしていて」
周囲が聴けば、アシュリーに何かのサプライズを考えているのだろうと思わせる言葉をジーンが口にし、令嬢達と無関係の者達は、どんなサプライズなのかと気になり、これ程大切に思われてるアシュリーや、そんな風に大切に出来る相手に出会えたジーンが、少し羨ましく思えたのだった。
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