676 / 805
後日談
十数年越しの再会 1
しおりを挟む
下町からの帰りで、マッドとライラがクルルフォーン邸へと帰ってきた時に、門の前に一人の女が立っていた。
手にはメモのような物を持っている。が、その格好は、傭兵その物だ。
(女傭兵が、貴族のクルルフォーン家に何の用なのかしらぁ?)
そんな事を思っていたら、距離の近くなった相手の女が、マッドの方を振り返る。
(んん~?何か……懐かしい気になった、ような?)
マッドが歩みは止めずに内心首を傾げていると、その瞳が見る見る内にキラキラと輝き出し、両手を広げてマッドに飛び付き歓声を上げた。
「マッドちゃ~ん!会いたかったよぉー!!」
いきなりマッドに飛び付いた女をマッドは何とか引き剥がそうとしたのだが、その動きを止め、マジマジと女の顔を見る。
「ちょっ?!……あんた、サリサ?サリサなの?!」
「マッドちゃんマッドちゃんマッドちゃん~!マッドちゃん会いたかった~!!」
マッドに抱き付いたまま、ぐりぐりと頭をマッドの胸に擦り付ける女。
「あたしもサリサには会いたかったわよぉ~!けど、他の皆はどうしたの?!」
サリサと呼んだ相手にマッドは嬉しそうな笑顔を見せるその様子を見て、ライラは無言で冷たい視線をマッドとサリサと呼ばれた女に向ける。
その視線に気付いたマッドは、慌ててライラに弁解する。
「……ってライちゃん誤解だからぁ~!!!」
「……ライ、ちゃん?」
「僕は席を外した方が良いんですかね?女嫌いのマッドさん?」
ライラが冷たく言い放つ。
「ダメダメダメぇ~!!!誤解だから!本っ当に誤解だからぁ~~~!!!」
マッドは真っ青な顔で、ライラに縋り付こうとするが、サリサがくっ付いたままなので、動けない。
本来のマッドなら引き剥がす事は簡単なのだろうが、サリサと言う女の登場で、そんな事も吹っ飛ぶ程動揺しているのか、ライラの冷たい態度に動揺しているのか、マッド本人にすら分かっていないだろう。
「手紙に書かれてた、マッドちゃんのお婿さん~?!うっわぁ~!こんなに美人さんだったなんて、吃驚~!!」
「サリサ!挨拶!!それと、離れて!」
「はいはぁ~い♪はっじめましてぇ!末の妹のサリサでぇ~っす♪マッドちゃんの他に、兄が二人と姉が一人いますが、今回マッドちゃんに会いに、二人の兄と一緒に来ました!本当は姉も来たがってたんだけど、旦那さんの都合で来れなくなっちゃったから、マッドちゃんに結婚おめでとうと、旦那さんと都合付けて会いに行くから待っとけって言ってたよ~♪」
ライラは、妹なら妹と、それを早く言えと言わんばかりの冷たい視線で、マッドをジトッと見返していた。
手にはメモのような物を持っている。が、その格好は、傭兵その物だ。
(女傭兵が、貴族のクルルフォーン家に何の用なのかしらぁ?)
そんな事を思っていたら、距離の近くなった相手の女が、マッドの方を振り返る。
(んん~?何か……懐かしい気になった、ような?)
マッドが歩みは止めずに内心首を傾げていると、その瞳が見る見る内にキラキラと輝き出し、両手を広げてマッドに飛び付き歓声を上げた。
「マッドちゃ~ん!会いたかったよぉー!!」
いきなりマッドに飛び付いた女をマッドは何とか引き剥がそうとしたのだが、その動きを止め、マジマジと女の顔を見る。
「ちょっ?!……あんた、サリサ?サリサなの?!」
「マッドちゃんマッドちゃんマッドちゃん~!マッドちゃん会いたかった~!!」
マッドに抱き付いたまま、ぐりぐりと頭をマッドの胸に擦り付ける女。
「あたしもサリサには会いたかったわよぉ~!けど、他の皆はどうしたの?!」
サリサと呼んだ相手にマッドは嬉しそうな笑顔を見せるその様子を見て、ライラは無言で冷たい視線をマッドとサリサと呼ばれた女に向ける。
その視線に気付いたマッドは、慌ててライラに弁解する。
「……ってライちゃん誤解だからぁ~!!!」
「……ライ、ちゃん?」
「僕は席を外した方が良いんですかね?女嫌いのマッドさん?」
ライラが冷たく言い放つ。
「ダメダメダメぇ~!!!誤解だから!本っ当に誤解だからぁ~~~!!!」
マッドは真っ青な顔で、ライラに縋り付こうとするが、サリサがくっ付いたままなので、動けない。
本来のマッドなら引き剥がす事は簡単なのだろうが、サリサと言う女の登場で、そんな事も吹っ飛ぶ程動揺しているのか、ライラの冷たい態度に動揺しているのか、マッド本人にすら分かっていないだろう。
「手紙に書かれてた、マッドちゃんのお婿さん~?!うっわぁ~!こんなに美人さんだったなんて、吃驚~!!」
「サリサ!挨拶!!それと、離れて!」
「はいはぁ~い♪はっじめましてぇ!末の妹のサリサでぇ~っす♪マッドちゃんの他に、兄が二人と姉が一人いますが、今回マッドちゃんに会いに、二人の兄と一緒に来ました!本当は姉も来たがってたんだけど、旦那さんの都合で来れなくなっちゃったから、マッドちゃんに結婚おめでとうと、旦那さんと都合付けて会いに行くから待っとけって言ってたよ~♪」
ライラは、妹なら妹と、それを早く言えと言わんばかりの冷たい視線で、マッドをジトッと見返していた。
24
あなたにおすすめの小説
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
黒騎士団の娼婦
イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる