氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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後日談

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「ダン……兄?」

「よぉ。久し振りだな、サリー」

「あ~、ごめんねぇ~!あたし、ダン兄の事、あんま覚えて無いんだよぉ~。でもでも、格好良いお兄ちゃんがいたってのは覚えてるし、マッドちゃんや他の兄ちゃんとかから、色々聞いてるから!」

「チビッ子だったんだから、殆ど覚えてねぇのが普通だろ。ウチの嬢ちゃんは別格だがなぁ」

(ウチの……嬢ちゃん?)


 サリサが首を傾げ、聞こうとするが、双子達の声が割り込む。


「「ダン、妹本物?浮気違う?」」

「ああ。マッドにゃ弟二人と妹二人がいて、こいつぁ下の妹だ。浮気相手じゃねぇよ」

「「ならいい。ルッグス悲しまない!浮気ダメ!絶対!!」」


 双子達はビシッとマッドに指を差して言い切る。


「しないから!あたしはライちゃん一筋だからぁ!!」


 そんなマッドの叫びをサラッと無視し、サリサに聞くダン。


「んで?サリーは一人か?」

「あっ、と~、一人じゃなくて、三人で来たんだけど、他の二人は宿屋に居るよ~。一応マッドちゃんを呼びに来たの。ムッサイ男が二人もいるよりか、あたし一人のが警戒され難いかな~って」

「女だろうが一般人だろうが一人だろうが、油断するような馬鹿な護衛はこの家にはいねぇよ。そんな奴が居たら、俺が一から鍛え直してやらぁ。ちょっとここで待ってろ。先に執事に話を通してくる」


 ダンはそう言うと、双子達を先に促し玄関に向かったのだが、実は既にサイナスからの報告で、不審者が門に居ると聴いていたので、双子達が先に向かったのだ。

 それなのにマッドがその不審者を連れて親しそうにし、ライラよりも距離が近く、親密な雰囲気に双子達がマッドの浮気かと勘違いしたようだ。

 マッドは男女問わず、気に入った相手なら平気で好意的な言葉を口にする。

 その為双子達はマッドの言葉を信用しない。

 マッド以外の男女には必ず距離を取るライラは、逆に、双子達の信用を得るのに時間は掛からなかったのだ。

(サリーが他の二人を連れて来なくて良かった良かった。マッドの弟だろうが、未婚者を公爵様がリラ嬢ちゃんに近付ける気はねぇだろうし、下手すりゃあ見惚れる弟達を闇討ちしようと企みそうだからなぁ)

 リラを見惚れない初対面は居ない。

 特にエドワルドと結婚してからは、益々美貌に磨きが掛かり、子供を産んだ後も、エドワルドからの溺愛は止まる事を知らない状態なのだ。

 顔を合わせて無くともエドワルドが居ない時に、同じ敷地内に知らない男が居ると言うだけで、抹殺対象にし兼ねない程に、エドワルドはリラに執着しているのだから。

(一応裏は取るとして、取り敢えず公爵様が戻るまでは会わせねぇ方が良いだろうなぁ。リラ嬢ちゃんが弟達に興味持って公爵様に嬉々として話そうもんなら、サリーが抹殺対象になり兼ねんからなぁ)

 ダンは空恐ろしい事を平然と思いながら、サイナスの居る屋敷内へと向かうのだった。
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