氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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後日談

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 リラとエドワルドが控え室に向かい、それに続いてエヴァンス家の者達が控え室へと向かう。

 この結婚式は王族の結婚式で、公務だから、喪中や病床の身で無い限り、爵位有る者達は参加する義務が有る。

 この義務を放棄する事は、当然不穏分子、謀反人や国賊と捉えられてもおかしくは無いのだ。

 伴侶や子息令嬢、婚約者は義務と言った強制力は無く、彼等を参列させる事は問題無いが、デビュー前の子供はマナーの点で連れて来る事は許されない。

 王族と公爵、他国の大使は一度各々の控え室に入り、他の貴族達は身分が低い者達から順に、参列席に向かい、全員が席に着席した後に声が掛かる。

 そして、他国の大使や公爵、王族が席に着いて式が始まる、と言うのが慣例なのだが、今回は少々事情が違った。

 そう。国王陛下と大司祭に依る怒りの断罪処遇の報告会と、説教と言う名の警告だ。

 そして今回、話題作りや好奇心、リラの悪評に惑わされた令息令嬢達が、リラを内心で嘲笑う為に、自ら進んで参加した事で、リラの本質と、王家の激怒っぷりを目の当たりにする事になる。

 そんな物怒りの報告会が有るとは知らないレオンは、アナスタシアがリラの控え室に向かうと聞き、自身も行きたいと言うのだが、それはアレクシスに却下された。


「レオン、お前には、王太子としての責務が有る。この後の報告会に参加して貰わなければならないからな。ジェフ、済まないがアナをエドワルド達の元へと案内し、ジーン殿を連れて来て欲しい」


 因みに、アレクシスがジェフを呼び捨てにしているのは、再会時にジェフから言われた為だ。

 ジェフはエヴァンス家の家名を名乗っては居るが、建前上で有り、本来姓は無い。

 エヴァンス家の血を引いては居るが、エヴァンス領の平民だから呼び捨てで結構です、と言い切られたのだ。

 それでもアレクシスは、こちらの都合で呼び出したのだからと反論をしようとした所、ジェフに、『王族に敬称を付けられるなんて真っ平です。媚びを売られているようで気色悪い』と、不敬罪と取られ兼ねない発言で、暗にエヴァンス家の役割を仄めかされ、呼び捨てで呼ぶ事になった、と言う経緯が有る。

 その為、アレクシスはジェフを呼び捨てにするが、ジェフ相手には命令と言うよりは、頼み事をする言葉を使う事が多く、周囲の者達は、二人は元々こういった間柄の学友関係だったのだろうと思い込んでしまったが、害の無い思い込みなので、ジェフは否定も肯定もせず、聞かれても、『それは今、仕事に関係の有る事ですか?』と、冷たい微笑みを浮かべたのだった。

 ジェフはアナスタシアをリラ達の控え室へと送り、リラとエドワルドに結婚の祝いの言葉を贈り、ジーンと共に王族の控え室に戻って報告会へと向かう。

 報告会は、アレクシス不在の王宮でアナスタシアを穢そうとし、捕縛された馬鹿者達の末路や、リラを貶めようと色々画策し、捕縛された者達の末路、詳細な計画内容と共に、捕まった実行犯の実名が公表され、教会の決定に依り、親族は家名や財産の継続、子孫の貴族籍の継承等を永久に奪われる事を知った。


「王の伴侶や婚約者、挙げ句、王太子に冤罪と言う罪を犯させようとしたのだ。当然だろう。本来で有れば生温い処置だ。だが、王族の婚姻と言うこの目出度い日に、血生臭い話は避けたい故の恩情だ。不服が有るなら後日申し立てろ。国民に公表の上、一家全員処刑してやる」


 アレクシスの本気の怒りを全身で感じ取った親族達は、当然ながら、後日に不服の申し立てをする者は一人も居なかった。
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