氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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後日談

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 前回同様、王都を出発する前に、クルルフォーン邸に挨拶をしてから出発する。

 勿論今回も、リラが手作りのお弁当とお菓子を差し入れしてくれた。

 アシュリーとの馬車の旅は、のんびりとした日程で、前回は素通りしていた街にも立ち寄り、護衛付きにはなるものの、ジーンと散策や買い物といったデートをする。

 アシュリーにとっては見る物の殆どが、珍しい物ばかりだ。

 保護された時も前回の時も、時間に追われて街中を見回る事は出来ず、どんな店が有るのか、名物は何かも知らないし、景色も覚えていない。

 そもそも心配事や不安も有ったので、それ所では無かったのだ。

 今はジーンと結婚し、ジーンに甘やかされて、こんなに幸せで良いのだろうかと思ってしまうぐらいに幸せだ。

 本当ならアシュリーは、リラとエドワルドが結婚した頃にはマディソンと結婚していた筈だった。

 ただ、アシュリーの義母が結婚式前に亡くなった事で喪に入り、結婚式が一年後に延期となってしまったのだ。

 それまでは義母がサラを諌める事も有ったが、その母親が亡くなり、サラを止める者が居なくなった事で、本格的にマディソンを騙し、誘惑。

 そしてマディソンを味方に引き入れ、ゴート家の乗っ取りを実行した。

 結果、アシュリーが家を出て、エヴァンス家に保護され今に至る。

 義母は、父の愛人では有るものの、父が入り婿だと知っていた。

 アシュリーに対する態度は、後ろめたい、申し訳無いと言った態度だった。

 アシュリーは知らなかった事だが、あの父親はゴート領の平民だった義母と遊びで付き合い始め、アシュリーの実母と婚約、結婚するも事実を言わず、彼女がサラを身籠った時に妻子が居る事や、貴族で有る事を言い、彼女が知った時にはもう既にダミアンを愛し、子供まで出来ていた状況で、家を買い与えられた時に薄々貴族だろうとは予想出来たものの、敬愛する領主家の入り婿だとは知らずに愛してしまっていたのだ。

 ダミアンが領主家の入り婿と知ったのは、ダミアンに妻子が居て、貴族だと聞いた後。

 彼に妻子が居るのに、子を産んでも良いのかと悩み、サラを堕胎しようかと迷っていた時だった。

 ある日、領主の家紋入りの馬車が家の前に止まり、領主の家紋入りの手紙を渡されたのだ。

 それはアシュリーの実母からの手紙で、そこにはこう書かれていた。『貴女の子供に罪は無い。わたくしの夫の子を、殺す事は赦さない』と。

 彼女にとってサラは、自身の罪の証で有り、アシュリーの実母の慈悲に依って生かされた生命いのち

 アシュリーは彼女にとって、敬愛する領主の血筋の娘で有り、自身の罪深さを思い知らされる存在。

 元は平民。だけど、名前も知らない貴族の娘にされて、気付けばゴート家の後妻として入る羽目になっていた。

 彼女はあのダミアンの被害者で有り、共犯者。そして、身勝手な貴族の犠牲者だった。

 そんな彼女の死によって、アシュリーの伴侶がマディソンから高位貴族のジーンになるなんて、誰も予想すらしていなかった事だろう。
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