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後日談
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エリオールの目の前に、初めて見る大人の男性が二人。
エリオールは日常的に、この王宮を出入りしている自国の人間は、ほぼ全て、どこの誰かを把握してると言ってもいい。
そうでなければこの国で、王族として生き残る事は難しい。
そしてこの王宮に居ると言う事は、国王に認められた相手、他国の王族や大使、外交官になるだろう。
そして今、この王宮に滞在する外国籍の人間で、顔を確認していないのは、件の外交官しか当て嵌まらないのだ。
ここは中庭。遠目ながらも人目は有る。
他の王位継承者と手を組んでいたとしても、こうして顔を合わせると言う事は、今直ぐどうこうされる事は無いだろうと、エリオールは二人を見上げる。
その男性の内の一人は、何故か肩に人を一人担いでいた。
顔は見えないが、服装からして自国の貴族。
それを何故他国の者が担ぎ上げているのかと疑問に思ったら、担ぎ上げていた男は担いでいた男をドサリとエリオールの前の地面に置いた。
置かれた男の顔を確認すれば、その男はエリオールの腹違いの妹に取り巻く一族の一人だった。
(この男も信じているのね。妹の嘘と虚言に。騙されているとも知らずに、ご苦労な事だわ)
エリオールは可愛い容姿をしているが、正論武装の毒舌で、相手の本質を見極めるのに対し、二つ下の腹違いの妹は、その可愛い容姿を利用して、無邪気を装い、王位には興味が無いと言いながら、周囲を操り、虎視眈々とその座を狙っている。
自身は王位に興味は無いが、周囲が期待しているので仕方無く、といった体でだ。
幼いながらもその演技力に、どれだけの人間が騙されているのかと思うと、気が滅入るし、その本性を嫌と言う程思い知るエリオールが、近付きたくないと思うのは当然の事だと言えよう。
エリオールがそんな事を思い返していると、二人の大人が会話をし出した。
「相変わらず物騒な国ですね。この時期は特にと聞いてはいましたが、白昼堂々他人の命を狙うとは。しかも武器は吹き針だなんて、陰険ですよね」
男を担いでいた男の隣にいた青み掛かった銀髪の外交官らしき者が溜め息混じりに声を出せば、男を担いでいたもう一人の男も隣の男に問い掛けていた。
「我々を狙って来たのか?」
「いえ、我々では有りません。彼女を狙ったのでしょう。ただ、私達が背後を取り、話し掛けてしまったので、反射的にこちらに吹いただけでしょう。勿論、私達がどこの誰かも知らないで。理解していたなら、攻撃は絶対にしなかったと思いますよ?」
そんな会話を交わした後に、青み掛かった銀髪の外交官らしき男、ジルギリスがエリオールへと向き直り、身を屈めて視線を合わせる。
「初めまして、エリオール姫。私はディーラン王国の外交官で、ジルギリス=エヴァンスと言います。こちらは私の護衛を務めるマーウ。この男が物陰に隠れてこそこそと怪しい動きをしていたので、一応声を掛けたら、こちらに針を飛ばしてきたので、反撃はさせて頂きました。死んではいないので、どうぞご安心を」
にっこりと微笑むジルギリスに、エリオールの頭の中で、都市伝説のような逸話が頭を過ったのだった。
エリオールは日常的に、この王宮を出入りしている自国の人間は、ほぼ全て、どこの誰かを把握してると言ってもいい。
そうでなければこの国で、王族として生き残る事は難しい。
そしてこの王宮に居ると言う事は、国王に認められた相手、他国の王族や大使、外交官になるだろう。
そして今、この王宮に滞在する外国籍の人間で、顔を確認していないのは、件の外交官しか当て嵌まらないのだ。
ここは中庭。遠目ながらも人目は有る。
他の王位継承者と手を組んでいたとしても、こうして顔を合わせると言う事は、今直ぐどうこうされる事は無いだろうと、エリオールは二人を見上げる。
その男性の内の一人は、何故か肩に人を一人担いでいた。
顔は見えないが、服装からして自国の貴族。
それを何故他国の者が担ぎ上げているのかと疑問に思ったら、担ぎ上げていた男は担いでいた男をドサリとエリオールの前の地面に置いた。
置かれた男の顔を確認すれば、その男はエリオールの腹違いの妹に取り巻く一族の一人だった。
(この男も信じているのね。妹の嘘と虚言に。騙されているとも知らずに、ご苦労な事だわ)
エリオールは可愛い容姿をしているが、正論武装の毒舌で、相手の本質を見極めるのに対し、二つ下の腹違いの妹は、その可愛い容姿を利用して、無邪気を装い、王位には興味が無いと言いながら、周囲を操り、虎視眈々とその座を狙っている。
自身は王位に興味は無いが、周囲が期待しているので仕方無く、といった体でだ。
幼いながらもその演技力に、どれだけの人間が騙されているのかと思うと、気が滅入るし、その本性を嫌と言う程思い知るエリオールが、近付きたくないと思うのは当然の事だと言えよう。
エリオールがそんな事を思い返していると、二人の大人が会話をし出した。
「相変わらず物騒な国ですね。この時期は特にと聞いてはいましたが、白昼堂々他人の命を狙うとは。しかも武器は吹き針だなんて、陰険ですよね」
男を担いでいた男の隣にいた青み掛かった銀髪の外交官らしき者が溜め息混じりに声を出せば、男を担いでいたもう一人の男も隣の男に問い掛けていた。
「我々を狙って来たのか?」
「いえ、我々では有りません。彼女を狙ったのでしょう。ただ、私達が背後を取り、話し掛けてしまったので、反射的にこちらに吹いただけでしょう。勿論、私達がどこの誰かも知らないで。理解していたなら、攻撃は絶対にしなかったと思いますよ?」
そんな会話を交わした後に、青み掛かった銀髪の外交官らしき男、ジルギリスがエリオールへと向き直り、身を屈めて視線を合わせる。
「初めまして、エリオール姫。私はディーラン王国の外交官で、ジルギリス=エヴァンスと言います。こちらは私の護衛を務めるマーウ。この男が物陰に隠れてこそこそと怪しい動きをしていたので、一応声を掛けたら、こちらに針を飛ばしてきたので、反撃はさせて頂きました。死んではいないので、どうぞご安心を」
にっこりと微笑むジルギリスに、エリオールの頭の中で、都市伝説のような逸話が頭を過ったのだった。
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