妖精の愛し子と死霊使い ~真実が見えていたのは一人の令嬢だけだった~

カザハナ

文字の大きさ
1 / 8
プロローグ

二人の娘

しおりを挟む
 彼女は幼い頃から、人には見えないモノが見えた。

 それは、妖精と呼ばれるモノ。

 彼女の瞳はオッドアイで、宝石のような瞳。

 宝石を好む妖精達が、気に入るだろう事は間違いない。

 それに気付いた母親は、母方に代々受け継がれていた、妖精が嫌うと言われている腕輪を常に身に付けさせ、たっぷりの愛情を注ぎ、物心が付く頃、彼女に度々言い聞かせる。


「彼等と喋っては駄目。仲良くなるのも駄目よ。彼等は気に入った人間を、自分達の世界に拐ってしまうの。リリィが拐われたら二度と、母さまと会えなくなるのよ。貴女はそれでも良いの?」

「いやぁ!母さまと一緒がいい!」

「母さまもよ、可愛い娘、リリシアーナ。お願いだから、この腕輪を、肌身離さず持っていて。これは彼等の嫌う物で出来てるの。これを持っていれば、彼等が近付く事は出来ないわ。お願いリリィ、彼等と仲良くしないで。彼等と一緒に行かないで」


 苦しそうな、悲しそうな顔の母を見て、母を悲しませてはいけないと、幼いリリシアーナは必死で頷く。

 彼等も悲しそうな顔を見せているが、幼いリリシアーナにとっては、他の人には見えない小さなお友達よりも、いつも愛情たっぷりと、可愛がってくれる母の方が大事だった。

 だから、リリシアーナは母との約束を守り、彼等との交流を絶ったのだった。

 それから数年後、リリシアーナの大好きな母は、妹のフィオナを産んで直ぐに亡くなった。

 元々、身体が丈夫とは言えない母親は、一人産めただけでも奇跡に近いと言われていた程で、二人目の命と引き換えに亡くなったようなものだ。

 父親は、母を亡くした娘達を、分け隔て無く育てたつもりだった。

 ただ、母親を知らない病弱なフィオナを、構ってやる事が多く、甘やかさなかったとは言い難いが、父親からすれば、どちらも自分の血を引く可愛い娘で、リリシアーナを蔑ろにしたつもりは無かった。

 侍女の数がリリシアーナよりもフィオナの方が多いのだって、フィオナが病弱だからで、それ以外の理由は無い。

 服も装飾品も、同じように買い与えたし、食事に関して言えば、フィオナは病人食と呼ばれるような物ばかりなので、父親と同じ食事のリリシアーナの方が美味しい物を食べている。

 姉妹の仲は良いとは言えないが、悪いとも言えなかった。

 リリシアーナは自由に家の中を行き来していたが、フィオナは殆ど部屋から出ず、会う事自体少なかったからだ。

 しかし、いつからか、リリシアーナはフィオナを拒絶した。


「お父様、あのは死んでいます。動いているけれど、喋っているけれど、あの妹からは死臭の臭いがします。フィオナは間違いなく死人です」


 と。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界追放《完結》

アーエル
ファンタジー
召喚された少女は世界の役に立つ。 この世界に残すことで自分たちの役に立つ。 だったら元の世界に戻れないようにすればいい。 神が邪魔をしようと本人が望まなかろうと。 操ってしまえば良い。 ……そんな世界がありました。 他社でも公開

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

ちゃんと忠告をしましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。  アゼット様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ? ※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。

旅の道連れ、さようなら【短編】

キョウキョウ
ファンタジー
突然、パーティーからの除名処分を言い渡された。しかし俺には、その言葉がよく理解できなかった。 いつの間に、俺はパーティーの一員に加えられていたのか。

悪役令嬢ですが、二度目は無能で通します……なので執事は黙っててください

放浪人
恋愛
社交界で“悪女”と呼ばれ、無実の罪で断罪された公爵令嬢リディア。 処刑の刃が落ちた瞬間、彼女は断罪される半年前の朝に時を遡っていた。 「二度目も殺されるなんて御免だわ。私は、何もできない無能な令嬢になって生き延びる!」 有能さが仇になったと悟ったリディアは、プライドも実績も捨てて「無能」を装い、北の辺境・白夜領へ引きこもる計画を立てる。 これで平和なスローライフが送れる……はずだった。 けれど、幼い頃から仕える専属執事・レージだけは誤魔化せない。 彼はリディアの嘘を最初から見抜いているくせに、涼しい顔で「無能な主人」を完璧に演じさせてくれないのだ。 「黙っててと言いましたよね?」 「ええ。ですから黙って、あなたが快適に過ごせるよう裏ですべて処理しておきました」 過保護すぎる執事に管理され、逃げ道を塞がれながらも、リディアは持ち前の正義感で領地の危機を次々と救ってしまう。 隠したいのに、有能さがダダ漏れ。 そうこうするうちに王都からは聖女と王太子の魔の手が迫り――? 「守られるだけはもう終わり。……レージ、私に力を貸しなさい」 これは、一度死んだ令嬢が「言葉」と「誇り」を取り戻し、過保護な執事の手を振りほどいて、対等なパートナーとして共に幸せを掴み取るまでの物語。

真実の愛を見つけたとおっしゃるので

あんど もあ
ファンタジー
貴族学院のお昼休みに突然始まった婚約破棄劇。 「真実の愛を見つけた」と言う婚約者にレイチェルは反撃する。

「お前を愛することはない」と言われたお飾りの妻ですが、何か?

あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することはない!」「そんな事を言うために女性の寝室に押し入ったのですか? もう寝るつもりで化粧を落として髪をほどいて寝着に着替えてるのに! 最っ低!」 仕事大好き女が「お飾りの妻最高!」と恋愛感情無しで結婚したらこうなるよね、というお話。

どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」 「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」  私は思わずそう言った。  だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。  ***  私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。  お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。  だから父からも煙たがられているのは自覚があった。  しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。  「必ず仕返ししてやろう」って。  そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。

処理中です...