7 / 8
本編
6 妖精界の入り口と妖精の王
しおりを挟む
三人の妖精達は人に化けて、各々お菓子やお菓子作りの道具、材料等を入手する為に、認識阻害の魔法を掛けた馬車を店に横付けし、リリシアーナを馬車の中で待たせたまま、二人が店で買い物し、一人はリリシアーナと一緒に待機する。
大量に買い過ぎるとさすがに目立つので、その分多くの店を回る。
大きな街だし、認識阻害も有るので、店によっては二度三度と入っても、同一の客だと認識されないだろう。
そうして荷馬車の中をお菓子や材料、道具等で埋めていき、道中の食べ物と飲み物を買って街を出て、妖精界の入り口へと向かう。
妖精の王は、妖精界でリリシアーナが来るのを待っていた。
妖精の王や女王は基本、妖精界から出ない。
自身との波長が合い、相性がとても良い者が世界に産み落とされた時に祝福を与えに行く時か、妖精界に属する愛し子の付き添いをする時ぐらいだ。
因みに妖精界は魔素が溢れていて、本来飲食は必要としない。
人間でも、空腹や脱水状態になる事は無く、嗜好として口にする程度。
そして、本や暇潰しになる物や道具の無い妖精界で長い年月を過ごすとなると、人間によっては堪えられない苦痛になる者も居る。
それ故に、人間界に戻る愛し子もいるが、大概の愛し子は人間界に戻っても、馴染む事が出来ない。
妖精界と人間界の時間の流れが違う為、知り合いや家族は既に亡くなられているか、居ても別人のような年月の変わり様に、受け入れ難くなるからだ。
それを理解している妖精の王や女王は、妖精界に足を運んだ愛し子に付き添い、人間界に足を運ぶ事もある。
妖精の王や女王は、愛し子に祝福を与えた時に愛し子との繋がりが出来、どれ程遠く離れていようと、愛し子からの感情を読み取る事が出来るからだ。
それ故、妖精の王や女王にとって、愛し子の幸せが何よりで、住む場所が人間界でも妖精界でも大差無い。
だからこそ、リリシアーナの心配は杞憂でしか無いのだ。
愛し子のリリシアーナが、一時、妖精を拒んでいたのは知っている。
だが、リリシアーナを祝福した妖精の王からすれば、それは些細な事でしか無い。
仮に、父親がリリシアーナの言葉を信じ、フィオナを安らかに眠らせ、リリシアーナが家督を継ぎ、妖精達と距離を置いたまま一生を終えたとしても、構わなかった。
リリシアーナを祝福した妖精の王にとって、リリシアーナが幸せに生きる事が、最大の喜びなのだ。
そんなリリシアーナに絶望を与え捨てた者達に、手を差し伸べる気は更々無いが、妖精達との共存共生を選ばせた事には褒めてやりたい。
「ああ、我が愛しき娘。ここに君を傷付ける者は居ない。ここで存分に心の傷を癒すが良い。私が君を甘やかし、その命が尽きるまで、君を愛し、慈しみ続けよう。だから、そう不安がる事は無い。私がずっと護り続けてみせるから。だから、早くおいで。私がずっと傍に居るから」
大量に買い過ぎるとさすがに目立つので、その分多くの店を回る。
大きな街だし、認識阻害も有るので、店によっては二度三度と入っても、同一の客だと認識されないだろう。
そうして荷馬車の中をお菓子や材料、道具等で埋めていき、道中の食べ物と飲み物を買って街を出て、妖精界の入り口へと向かう。
妖精の王は、妖精界でリリシアーナが来るのを待っていた。
妖精の王や女王は基本、妖精界から出ない。
自身との波長が合い、相性がとても良い者が世界に産み落とされた時に祝福を与えに行く時か、妖精界に属する愛し子の付き添いをする時ぐらいだ。
因みに妖精界は魔素が溢れていて、本来飲食は必要としない。
人間でも、空腹や脱水状態になる事は無く、嗜好として口にする程度。
そして、本や暇潰しになる物や道具の無い妖精界で長い年月を過ごすとなると、人間によっては堪えられない苦痛になる者も居る。
それ故に、人間界に戻る愛し子もいるが、大概の愛し子は人間界に戻っても、馴染む事が出来ない。
妖精界と人間界の時間の流れが違う為、知り合いや家族は既に亡くなられているか、居ても別人のような年月の変わり様に、受け入れ難くなるからだ。
それを理解している妖精の王や女王は、妖精界に足を運んだ愛し子に付き添い、人間界に足を運ぶ事もある。
妖精の王や女王は、愛し子に祝福を与えた時に愛し子との繋がりが出来、どれ程遠く離れていようと、愛し子からの感情を読み取る事が出来るからだ。
それ故、妖精の王や女王にとって、愛し子の幸せが何よりで、住む場所が人間界でも妖精界でも大差無い。
だからこそ、リリシアーナの心配は杞憂でしか無いのだ。
愛し子のリリシアーナが、一時、妖精を拒んでいたのは知っている。
だが、リリシアーナを祝福した妖精の王からすれば、それは些細な事でしか無い。
仮に、父親がリリシアーナの言葉を信じ、フィオナを安らかに眠らせ、リリシアーナが家督を継ぎ、妖精達と距離を置いたまま一生を終えたとしても、構わなかった。
リリシアーナを祝福した妖精の王にとって、リリシアーナが幸せに生きる事が、最大の喜びなのだ。
そんなリリシアーナに絶望を与え捨てた者達に、手を差し伸べる気は更々無いが、妖精達との共存共生を選ばせた事には褒めてやりたい。
「ああ、我が愛しき娘。ここに君を傷付ける者は居ない。ここで存分に心の傷を癒すが良い。私が君を甘やかし、その命が尽きるまで、君を愛し、慈しみ続けよう。だから、そう不安がる事は無い。私がずっと護り続けてみせるから。だから、早くおいで。私がずっと傍に居るから」
53
あなたにおすすめの小説
異世界追放《完結》
アーエル
ファンタジー
召喚された少女は世界の役に立つ。
この世界に残すことで自分たちの役に立つ。
だったら元の世界に戻れないようにすればいい。
神が邪魔をしようと本人が望まなかろうと。
操ってしまえば良い。
……そんな世界がありました。
他社でも公開
もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
旅の道連れ、さようなら【短編】
キョウキョウ
ファンタジー
突然、パーティーからの除名処分を言い渡された。しかし俺には、その言葉がよく理解できなかった。
いつの間に、俺はパーティーの一員に加えられていたのか。
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
婚約破棄が聞こえません
あんど もあ
ファンタジー
私は、真実の愛に目覚めた王子に王立学園の卒業パーティーで婚約破棄を宣言されたらしいです。
私には聞こえないのですが。
王子が目の前にいる? どこに?
どうやら私には王子が見えなくなったみたいです。
※「承石灰」は架空の物質です。実在の消石灰は目に入ると危険ですのでマネしないでね!
悪役令嬢ですが、二度目は無能で通します……なので執事は黙っててください
放浪人
恋愛
社交界で“悪女”と呼ばれ、無実の罪で断罪された公爵令嬢リディア。
処刑の刃が落ちた瞬間、彼女は断罪される半年前の朝に時を遡っていた。
「二度目も殺されるなんて御免だわ。私は、何もできない無能な令嬢になって生き延びる!」
有能さが仇になったと悟ったリディアは、プライドも実績も捨てて「無能」を装い、北の辺境・白夜領へ引きこもる計画を立てる。
これで平和なスローライフが送れる……はずだった。
けれど、幼い頃から仕える専属執事・レージだけは誤魔化せない。
彼はリディアの嘘を最初から見抜いているくせに、涼しい顔で「無能な主人」を完璧に演じさせてくれないのだ。
「黙っててと言いましたよね?」
「ええ。ですから黙って、あなたが快適に過ごせるよう裏ですべて処理しておきました」
過保護すぎる執事に管理され、逃げ道を塞がれながらも、リディアは持ち前の正義感で領地の危機を次々と救ってしまう。
隠したいのに、有能さがダダ漏れ。
そうこうするうちに王都からは聖女と王太子の魔の手が迫り――?
「守られるだけはもう終わり。……レージ、私に力を貸しなさい」
これは、一度死んだ令嬢が「言葉」と「誇り」を取り戻し、過保護な執事の手を振りほどいて、対等なパートナーとして共に幸せを掴み取るまでの物語。
辺境追放された「植物魔導師」の領地開拓 ~枯れ果てた死の大地は、俺の魔力で聖域(楽園)へと変貌する~
リーフレット
ファンタジー
「植物魔法? ああ、農作業にしか使えないあの地味な魔法か」
帝国騎士団の専属魔導師だったアルトは、無能な二世皇太子レオンによって、一方的に追放を言い渡された。
アルトがどれほど魔導植物を駆使し、帝国の食糧難を裏から支えていたかを知らぬまま、彼は「戦闘に役立たない役立たず」という烙印を押されたのだ。
帝国を出て行き着いた先は、魔物が跋扈し、草一本生えないと言われる最果ての荒野。
死を待つだけの地。しかし、アルトは絶望するどころか、晴れやかな顔で笑っていた。
「やっと、気兼ねなく『植物』を愛でられる。……よし、ここを世界一の庭(楽園)にしよう」
「お前を愛することはない」と言われたお飾りの妻ですが、何か?
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することはない!」「そんな事を言うために女性の寝室に押し入ったのですか? もう寝るつもりで化粧を落として髪をほどいて寝着に着替えてるのに! 最っ低!」
仕事大好き女が「お飾りの妻最高!」と恋愛感情無しで結婚したらこうなるよね、というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる