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~デ・フォン領域~
幻のと言われるファーグ商会は古くからの知り合いです♪
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次の日から、約束通り僕は聖騎士団本部に毎日顔を出す。無償ではなく日雇いという形で。
最初は仕事として来てる訳じゃないし、特部の兄さん達の貴重な時間を使わせて貰ってるから、仕事になる依頼の時だけでいいよって言ったんだけど、僕がいるだけで仕事が捗るし、訓練にも身が入り、モチベーションが上がる。良い事ずくめだから取っておけって。
評価してくれるのは嬉しいけど、大袈裟じゃないかなぁ?(何せ皆僕より遥か上の実力者だし)と思わなくもないけど、くれるって言うんだから貰っとこう。仕事として通ってるなら、あの兄さんも文句は言えない。
因みに行きのお迎えは、何故か僕と喋った事のある仲の良い知り合いの聖騎士団団員達による、日替わりローテーションになっていた。何がどうしてこうなった……。
「僕の送り迎え……何でこんな大事になってるのさ?」
「ああ、それ。図書棟のスーヴェンさんが他の団員達に声掛けて、ラルの送り迎えを自分達もしたいって言い出したんだよ。ボク達からすれば、ラルとの時間が削られるから嫌だったんだけど、私服の団員なんて特部以外にいないから、送りはともかくも迎えは怪しまれる確率が高まりますよって。それにまた、ラルを目の敵にする団員が出てくる可能性もあるって言われたらねぇ……。前の二の舞は本っ当勘弁してもらいたいし」
……前の僕が本部へ行かなかった時に何があったよ?いや、多少は聞いてるけど、あれ以降、僕を見る団員達の目が明らかにおかしいからね?まぁ大した問題じゃないけど。
「聖騎士団員が子供のお迎えって事自体、あの子供何者だよ?!ってなるんだけどなぁ。まぁ、利用しようと嗅ぎ回った段階で即目を付けられるけどね」
「アーヴェルには確実にマークされるからなぁ。害意の有無に関わらず」
「僕の知り合いの商人にも目を付けられるよ。商売人なら確実にアウトだね」
「ああ、ファーグ商会。昔からの知り合いと言っていたが、よくあんな幻とまで言われる商会と知り合いになれたな」
レン兄は感心するように言う。
「表向きは普通の商会だし、幻でも何でもないけどね」
「いや、あそこの逸話は凄いぞ。全大陸中の有りとあらゆる物の入手経路を持ち、顧客のニーズに応えるが、彼等との接触は顧客を通じ、彼等に認められた者しか客と見なされない。しかも、ファーグ商会にとって害ある客を紹介しようものなら、紹介者も顧客リストから消えるって制約付きだろ?あそことの縁は王族ですら欲しがると聞くぞ」
「そう言うウィオラル達も王族だよね。でも、それ程の商人がいるって凄いよね」
「まぁ、特部の兄さん達なら僕が紹介しても大丈夫だと思うよ。因みにルト兄は紹介済み♪」
ルト兄ことルクト=フェザー様は南大陸の砂漠出身者。中性的な声と顔立ちの美人な兄さんで、盗賊王と呼ばれる義賊だ。因みに聖騎士団に引き込んだのはラファス兄で、魔狼と呼ばれるリックル魔物を連れている。僕はその魔狼、ルウェックとも仲良しだけどね♪
「そういえばあの時、ルクトと手を組み聖騎士団の古狸を追い落としていたらしいな。古狸に至っては自業自得だが」
「ああ、俺とトゥーサーが不在時で、よりによってラファスに喧嘩を売り、ラルを人質にしようとしたお粗末過ぎる阿呆な古狸か。ラルはその時にルクトと初めて会ったと言っていたな?」
ウィル兄の確認に頷く僕。
「うん。その時にファーグ商会と引き合わせたんだよ。指示はラファス兄だけど、あそこは個人情報も扱ってるから」
「……商人だよね?個人情報まで扱ってるの?」
「ウィル兄が言ったじゃん。顧客のニーズに応えるって。あそこは商品だけじゃなく、情報や人員の斡旋まで幅広く扱ってるよ。まぁただし、情報は相手を選ぶし、人身売買とか犯罪になる物は取り扱ってない。それを要求する顧客は徹底的に調べられるよ」
例えば、僕やラファス兄を調べろと依頼があったとしても、ファーグ商会が出すのは東の魔物キラーだって事ぐらいしか出さないし、先ず依頼してきた相手が一体何の為に依頼してきたのかを徹底的に調べ尽くしてから出すし、場合によっては僕やラファス兄に報告がくるという具合だ。
勿論、僕達があいつを調べてって依頼すれば、相手の生まれや環境から近況まで徹底的に調べ尽くしてその情報の全てを相手に気付かれずに報告してくるだろう。
因みにファーグ家は、僕やラファス兄が精霊人である事も、ラファス兄が“赤のラルファンス”である事も勿論知ってる。そもそもファーグ家とは商会を立ち上げた初期の、千年以上前からの先祖同士の知り合いだ。当主以外に英雄王の末裔とまでは知られてないが、赤い容姿の精霊人はファーグ家の大恩人であり、多大なる協力関係者として知られ、古い付き合いがあるのだ。
その為、僕達からの紹介は、優先順位が頗る高い。それ程までに僕達の関係は良好なのだ。
「因みに商会内の人達の絆は物凄く強いから、殆どの人は引き抜きに応じないし、仕事中毒の向上心持ちばっかだから、目を付けられると大変なんだよね」
「……大変で済む話じゃないよね?」
「ラルの基準をそこら辺の王族や領主と一緒にすんな。あのラファスが兄なんだ、規格外を普通と思い込んでるラルの基準が普通な訳ねぇだろ」
レン兄の言葉に納得するトゥー兄。
……特部の面々自体が規格外なのに、何か納得いかないよね。
最初は仕事として来てる訳じゃないし、特部の兄さん達の貴重な時間を使わせて貰ってるから、仕事になる依頼の時だけでいいよって言ったんだけど、僕がいるだけで仕事が捗るし、訓練にも身が入り、モチベーションが上がる。良い事ずくめだから取っておけって。
評価してくれるのは嬉しいけど、大袈裟じゃないかなぁ?(何せ皆僕より遥か上の実力者だし)と思わなくもないけど、くれるって言うんだから貰っとこう。仕事として通ってるなら、あの兄さんも文句は言えない。
因みに行きのお迎えは、何故か僕と喋った事のある仲の良い知り合いの聖騎士団団員達による、日替わりローテーションになっていた。何がどうしてこうなった……。
「僕の送り迎え……何でこんな大事になってるのさ?」
「ああ、それ。図書棟のスーヴェンさんが他の団員達に声掛けて、ラルの送り迎えを自分達もしたいって言い出したんだよ。ボク達からすれば、ラルとの時間が削られるから嫌だったんだけど、私服の団員なんて特部以外にいないから、送りはともかくも迎えは怪しまれる確率が高まりますよって。それにまた、ラルを目の敵にする団員が出てくる可能性もあるって言われたらねぇ……。前の二の舞は本っ当勘弁してもらいたいし」
……前の僕が本部へ行かなかった時に何があったよ?いや、多少は聞いてるけど、あれ以降、僕を見る団員達の目が明らかにおかしいからね?まぁ大した問題じゃないけど。
「聖騎士団員が子供のお迎えって事自体、あの子供何者だよ?!ってなるんだけどなぁ。まぁ、利用しようと嗅ぎ回った段階で即目を付けられるけどね」
「アーヴェルには確実にマークされるからなぁ。害意の有無に関わらず」
「僕の知り合いの商人にも目を付けられるよ。商売人なら確実にアウトだね」
「ああ、ファーグ商会。昔からの知り合いと言っていたが、よくあんな幻とまで言われる商会と知り合いになれたな」
レン兄は感心するように言う。
「表向きは普通の商会だし、幻でも何でもないけどね」
「いや、あそこの逸話は凄いぞ。全大陸中の有りとあらゆる物の入手経路を持ち、顧客のニーズに応えるが、彼等との接触は顧客を通じ、彼等に認められた者しか客と見なされない。しかも、ファーグ商会にとって害ある客を紹介しようものなら、紹介者も顧客リストから消えるって制約付きだろ?あそことの縁は王族ですら欲しがると聞くぞ」
「そう言うウィオラル達も王族だよね。でも、それ程の商人がいるって凄いよね」
「まぁ、特部の兄さん達なら僕が紹介しても大丈夫だと思うよ。因みにルト兄は紹介済み♪」
ルト兄ことルクト=フェザー様は南大陸の砂漠出身者。中性的な声と顔立ちの美人な兄さんで、盗賊王と呼ばれる義賊だ。因みに聖騎士団に引き込んだのはラファス兄で、魔狼と呼ばれるリックル魔物を連れている。僕はその魔狼、ルウェックとも仲良しだけどね♪
「そういえばあの時、ルクトと手を組み聖騎士団の古狸を追い落としていたらしいな。古狸に至っては自業自得だが」
「ああ、俺とトゥーサーが不在時で、よりによってラファスに喧嘩を売り、ラルを人質にしようとしたお粗末過ぎる阿呆な古狸か。ラルはその時にルクトと初めて会ったと言っていたな?」
ウィル兄の確認に頷く僕。
「うん。その時にファーグ商会と引き合わせたんだよ。指示はラファス兄だけど、あそこは個人情報も扱ってるから」
「……商人だよね?個人情報まで扱ってるの?」
「ウィル兄が言ったじゃん。顧客のニーズに応えるって。あそこは商品だけじゃなく、情報や人員の斡旋まで幅広く扱ってるよ。まぁただし、情報は相手を選ぶし、人身売買とか犯罪になる物は取り扱ってない。それを要求する顧客は徹底的に調べられるよ」
例えば、僕やラファス兄を調べろと依頼があったとしても、ファーグ商会が出すのは東の魔物キラーだって事ぐらいしか出さないし、先ず依頼してきた相手が一体何の為に依頼してきたのかを徹底的に調べ尽くしてから出すし、場合によっては僕やラファス兄に報告がくるという具合だ。
勿論、僕達があいつを調べてって依頼すれば、相手の生まれや環境から近況まで徹底的に調べ尽くしてその情報の全てを相手に気付かれずに報告してくるだろう。
因みにファーグ家は、僕やラファス兄が精霊人である事も、ラファス兄が“赤のラルファンス”である事も勿論知ってる。そもそもファーグ家とは商会を立ち上げた初期の、千年以上前からの先祖同士の知り合いだ。当主以外に英雄王の末裔とまでは知られてないが、赤い容姿の精霊人はファーグ家の大恩人であり、多大なる協力関係者として知られ、古い付き合いがあるのだ。
その為、僕達からの紹介は、優先順位が頗る高い。それ程までに僕達の関係は良好なのだ。
「因みに商会内の人達の絆は物凄く強いから、殆どの人は引き抜きに応じないし、仕事中毒の向上心持ちばっかだから、目を付けられると大変なんだよね」
「……大変で済む話じゃないよね?」
「ラルの基準をそこら辺の王族や領主と一緒にすんな。あのラファスが兄なんだ、規格外を普通と思い込んでるラルの基準が普通な訳ねぇだろ」
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