英雄王の末裔 ~青のラファール~

カザハナ

文字の大きさ
87 / 113
~デ・フォン領域~

信用出来なきゃ連行します

しおりを挟む
 ヘグルスが6以上の魔石なら持ってるし、譲渡する事は可能だけど、先ずはリウリクがその人形をどう使うか、だね。

「リウリクは、その人形が動くようになれば、どうするつもり?」
「一応助手にする気だ。売る気は無いし、これからの研究の手伝いをさせる。人間はあまり信用出来ないからな」
「まぁ、古代技術を取り入れた人形は高く売れるだろうし、成果を横取りしたり盗んだりする奴が出て来てもおかしくないよね。そもそも人工魔石を作れるってだけでも充分凄い事だし」
「闇のオークションでもさすがに6以上の魔石が出回る事は無い。入手出来たとしても、動ける程度。レシピ通りにはいかねぇな」

 ……レシピ、あるの?!あー、でも、どうだろう?レシピが本物とは限らないし、本物でもレシピ通りに造るのはかなり難しいんだよね。オリジナルだと分量は載ってても技量とかは載ってないし、物によっては本人さえ解れば問題ないからと略して書いてあったり、当人は当然でも他からすれば当然ではない工程も省いたり、字が癖字だったり下手くそ過ぎて解読不能という物もあったりする。
 闇ルートでも、一応は現物を一部だけ見せてもらえるが、製作してみないと、出来るかどうかが分かんないんだよね~。

「……僕も手伝うのは駄目かな?」
「お前が?っつっても、今ん所大した事は出来ねぇぞ?それともお前がヘグルス6以上の場所で、魔石でも取ってくる気か?」

 ジムじいちゃんに分けてあげたとは言え、既にそこそこ持ってるから今更行く意味無いし、アーヤ達を長期間放置する訳にはいかないからね。

「それはちょっと遠慮したいなぁ」
「そもそも公認とは言え、魔物キラーに魔石の判別が出来る訳ねぇしな」

 まぁ、普通の魔物キラーならそうだけど、僕はメカエンジニアでもあるからね。魔石の判別だけでなく、種類判別も出来るよ。素人でも使える純度や判別が可能な計測機器も、作って持ってるぐらいだし。

「着いたぞ。ここが俺の使ってる場所だ」

 リウリクが連れて来た研究室は、あの男が使っていた空間よりは狭いが、研究室としては充分な広さだ。それに、よどみもゆがみもない。ここはちゃんとした用途で使用されてるみたいだ。

「……リウリク、交渉しない?」
「……何と何をだ?」
「僕の持つヘグルス6以上の魔石と、僕及び、聖騎士団特殊部隊の団員一名の付き添いを許可した上での研究製作する事。誓って言うけど、研究を横取りする気も盗む気も無いから。それを承諾してくれるなら、7でも8でも、全大陸中最高級のイファデラ産魔石でも出すよ。どうする?闇ルートでも出回る事が無いと言っても良いランクの魔石を、気兼ね無く使用出来るチャンスは今だけかもね」
「……何でそんな魔石もんお前が持ってんだ?それに、特殊部隊って……」
「僕がここにいるのは特部の隊長からの依頼だし、僕、東の魔物キラーでメカエンジニアでもあるんだよね~♪因みにメカエンジニアの師はドワーフで、混合魔石と呼ばれる魔石合成も可能だよ。僕としては人工魔石の製造や、人形使いマリオネットの人形がどの様にして造られるのか興味深いから協力してみたいだけなんだけど、特部の兄さん達を巻き込むのは、特部絡みの研究を横取りしたり盗んだりしようとする馬鹿はさすがに少ないかなって。あっ、因みに僕は特部でも聖騎士団員でもないからね。単に僕の実兄が特部だってだけだから」
「……なんだ……その、デタラメ物件は……」
「ええ~、それって僕の事だよね。酷いなデタラメって。お得物件だと思うんだけど?」
「新手の詐欺か、国家機密部類のレベルだろ……。お前の言動、存在自体がおかしい上に、ドワーフを師に持つメカエンジニアだぁ?東の魔物キラーってだけでも有り得ねぇってのに、メカエンジニアと両立だぁ?しかもあの、聖騎士団特殊部隊にコネを持つって、どんだけ盛ってんだ!」
「事実だから仕方ないね。ん~、ここで四の五の言ってても意味無いから、今から特部ん所に行くよ。レノ兄……レヴァーノ=ハイレス様やアーヴェル=デフォルト様に会えれば、さすがに僕の言ってる事が嘘じゃないって解るでしょ?そういう事だから、行くよ、リウリク」

 僕がリウリクの手を掴み、元来た道を連れ戻る。

「いや、待て!本気で言ってんのか?お前」
「当たり前じゃん。嘘つき呼ばわりされたくないし。特部の後ろ楯が有れば、リウリクはこそこそする必要もなくなるよ。リウリク程の腕なら特部も協力関係結ぼうと思うだろうからね」

 僕はリウリクを連れて、地下から聖騎士団買い取りの家へと入る。と、そこにいた知り合いの団員が僕達に気付く。

「ラファール、何か収穫……って、お前、それっっ!」
「うん。彼が噂の幽霊さん。害意はないし、連行してくよ♪」
「連行って……」
「腕の良い錬金術師だから、特部の兄さん達と面会させるの。僕の言葉だけじゃ信用出来ないみたいだからね」
「ああ、まぁ、普通はそうだろうな……」
「って事で、連れてくから。一応他にもいたら困るから、監視は続けてね」
「ああ、分かってる。ラルも一応気を付けろよ」
「うん。ありがとー!」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-

ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。 断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。 彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。 通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。 お惣菜お安いですよ?いかがです? 物語はまったり、のんびりと進みます。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

処理中です...