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~デ・フォン領域~
リウリクに兄さんと付けない理由
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「……珍しく、兄さんと付けないんだな?」
僕がリウリクを呼び捨てにしている事を疑問に思ったのだろうレノ兄が聞いてくる。
「ああ、うん。白衣着てる人達には付けないようにしてるんだ。錬金術師の場合は、一人前は本名、半人前は師に付けられた渾名って慣例があって、半人前は師が付きっきりで教えるのと、複数の弟子がいる場合、上は兄姉が付くけど、半人前の時だけで、独立すれば本名呼び捨て、もしくは様付けなんだよね?」
実の弟妹だといいけど、名前に兄姉の敬称は一人前以下の扱いになるらしい。
一応、最後のほうはリウリクに確認を入れる。
「……だから、何でお前はそんな事知ってやがる……」
「錬金術師の専門書とか、手引き書とかに載ってたから」
「ねぇよ、そんな本!」
「あるよ。古代書の本に」
僕の実家にあるからね。オリジナルも写本も。
写本は代々字の練習に、先代の写本を手習いにしたり、晩年、家での暮らしをする赤の血族が、暇潰しに写本の少ない本を中心に写本して増やしたりとするからだ。
「ねぇっつうの!もし現存するなら見せてみろ!」
ん~……。オリジナルは持って来れないからなぁ。家の写本も、家まで往復するのは時間が掛かるし、僕が写しを書くかラファス兄が書くかだけど……。
「写しで良いなら手に入るけど、僕の記憶だと完全版とは言い難いし、ラファス兄に交渉するならリウリクがそれに対する対価を出さなきゃ無理だよ?」
僕が頼めば書いてくれるだろうけど、やっぱ僕達にもメリットがないとなぁ。
「誰だ、ラファス兄って……?」
「僕の実兄。でも、リウリクが略名で呼んじゃ駄目だよ。ラルファンスって呼ばなきゃ」
「待て……。ラルファンス?……いや、まさかな?」
「そこのラファールの兄は赤のラルファンスだ。だが、ラルファンスは名を呼ばれる事を嫌うぞ」
レノ兄がリウリクに釘をさす。
僕達にとって名は神聖な物だから、知らない人にはあんまり呼ばれたくないんだよね~。
「?!!!」
あ、リウリク固まった。うん、まぁ、そうなるかな?
「ラファス兄、一度読んだ本は一言一句間違えずに暗記してるから。記憶内では誤字脱字も暗記してるけど、写しにする時はちゃんと改訂してくれるよ。でも、ラファス兄の知識を貰うには、それ相応の知識交換が基本だから。交渉するなら僕が間に立ってあげるけど、ラファス兄はいつデ・マームに来るかは未定なんだよね」
「……?赤の……なんだよな?お前の兄貴は。べらぼうに強いってだけじゃなく、そんなに凄いのか?知識の方も……?」
「両方とも、僕なんか足元にも及ばないよ。知識については全大陸の書物をかき集めても勝てるかどうか?」
「……兄弟でデタラメ物件かよ……」
「デタラメ……まぁ、デタラメに近いな」
えっ?!レノ兄までそんな事言うの?!
「だが、レア度は古代技術の最盛期作品の中でも最高級品。使い方を間違えなければ良いだけの話だ」
「……間違えたらどうなるよ」
「勿論、武器の取り扱いと同じく、怪我だけで済むかは相手次第だな。まぁ犯罪に手を染めたり、喧嘩を売るような事をしなければ大体は大丈夫だと思うが?」
まぁ、僕の場合、子供の癖にとか、団員じゃない癖にとかって言われると、事実だから言い返そうとかやり返そうとは思わないけど、ラファス兄の悪口とか言われたりすると、僕にすら勝てない癖に、何言ってんの?ってなるんだよね。
「ラファールにはラルファンスの、ラルファンスにはラファールの悪口や嘲りといった負の感情は見せない方が身の為だとは言えるがな」
「あー……肝に命じとく……」
「敵にさえ回さなければ、これ程使い勝手の良い奴はいない。上手く付き合う事だな」
まぁ、否定はしない。知識で言えば全般的だし、薬学や戦闘は実践もしてるし、資産もあるし、権力や社会的地位はないけど、その分自由だし、ツテはいくらでもあるからね。
「そういやぁ白衣着てる人達っつったよな?医学関連者もか?」
「ああ、医学関連の人達の場合、師に複数の弟子が当たり前で、弟子同士の結束が強いんだよ。で、家族同然だから、独立した後も兄姉を付けたままだし、医者のお兄さんお姉さんって言い方なら問題ないけど、名前に付けるとあまりいい気はしないみたいだからね」
「……それも医学関連の専門書や手引き書辺りか?」
「そうだよ。家に古代書の、各専門分野のがあるんだ。でも、年代物だから外には持ち出せないけどね」
「……今度、お前の家に連れて行け」
「それ、アル兄……アーヴェル=デフォルト様にも言われた。けど、それ程親しくもないのに連れては行けないなぁ。特部の兄さん達すら未だに招待してないもん」
まぁ、特部の兄さん達は、忙しすぎて時間が取れないってのが一番の理由だけど。
「……チッ。分かった。追い追い親しくなってやらぁ」
「まぁ頑張って?」
スーヴェンさんと一緒に連れて行ってもいいだろうけど、5ティファル(※5年)も先の事だしね。
僕がリウリクを呼び捨てにしている事を疑問に思ったのだろうレノ兄が聞いてくる。
「ああ、うん。白衣着てる人達には付けないようにしてるんだ。錬金術師の場合は、一人前は本名、半人前は師に付けられた渾名って慣例があって、半人前は師が付きっきりで教えるのと、複数の弟子がいる場合、上は兄姉が付くけど、半人前の時だけで、独立すれば本名呼び捨て、もしくは様付けなんだよね?」
実の弟妹だといいけど、名前に兄姉の敬称は一人前以下の扱いになるらしい。
一応、最後のほうはリウリクに確認を入れる。
「……だから、何でお前はそんな事知ってやがる……」
「錬金術師の専門書とか、手引き書とかに載ってたから」
「ねぇよ、そんな本!」
「あるよ。古代書の本に」
僕の実家にあるからね。オリジナルも写本も。
写本は代々字の練習に、先代の写本を手習いにしたり、晩年、家での暮らしをする赤の血族が、暇潰しに写本の少ない本を中心に写本して増やしたりとするからだ。
「ねぇっつうの!もし現存するなら見せてみろ!」
ん~……。オリジナルは持って来れないからなぁ。家の写本も、家まで往復するのは時間が掛かるし、僕が写しを書くかラファス兄が書くかだけど……。
「写しで良いなら手に入るけど、僕の記憶だと完全版とは言い難いし、ラファス兄に交渉するならリウリクがそれに対する対価を出さなきゃ無理だよ?」
僕が頼めば書いてくれるだろうけど、やっぱ僕達にもメリットがないとなぁ。
「誰だ、ラファス兄って……?」
「僕の実兄。でも、リウリクが略名で呼んじゃ駄目だよ。ラルファンスって呼ばなきゃ」
「待て……。ラルファンス?……いや、まさかな?」
「そこのラファールの兄は赤のラルファンスだ。だが、ラルファンスは名を呼ばれる事を嫌うぞ」
レノ兄がリウリクに釘をさす。
僕達にとって名は神聖な物だから、知らない人にはあんまり呼ばれたくないんだよね~。
「?!!!」
あ、リウリク固まった。うん、まぁ、そうなるかな?
「ラファス兄、一度読んだ本は一言一句間違えずに暗記してるから。記憶内では誤字脱字も暗記してるけど、写しにする時はちゃんと改訂してくれるよ。でも、ラファス兄の知識を貰うには、それ相応の知識交換が基本だから。交渉するなら僕が間に立ってあげるけど、ラファス兄はいつデ・マームに来るかは未定なんだよね」
「……?赤の……なんだよな?お前の兄貴は。べらぼうに強いってだけじゃなく、そんなに凄いのか?知識の方も……?」
「両方とも、僕なんか足元にも及ばないよ。知識については全大陸の書物をかき集めても勝てるかどうか?」
「……兄弟でデタラメ物件かよ……」
「デタラメ……まぁ、デタラメに近いな」
えっ?!レノ兄までそんな事言うの?!
「だが、レア度は古代技術の最盛期作品の中でも最高級品。使い方を間違えなければ良いだけの話だ」
「……間違えたらどうなるよ」
「勿論、武器の取り扱いと同じく、怪我だけで済むかは相手次第だな。まぁ犯罪に手を染めたり、喧嘩を売るような事をしなければ大体は大丈夫だと思うが?」
まぁ、僕の場合、子供の癖にとか、団員じゃない癖にとかって言われると、事実だから言い返そうとかやり返そうとは思わないけど、ラファス兄の悪口とか言われたりすると、僕にすら勝てない癖に、何言ってんの?ってなるんだよね。
「ラファールにはラルファンスの、ラルファンスにはラファールの悪口や嘲りといった負の感情は見せない方が身の為だとは言えるがな」
「あー……肝に命じとく……」
「敵にさえ回さなければ、これ程使い勝手の良い奴はいない。上手く付き合う事だな」
まぁ、否定はしない。知識で言えば全般的だし、薬学や戦闘は実践もしてるし、資産もあるし、権力や社会的地位はないけど、その分自由だし、ツテはいくらでもあるからね。
「そういやぁ白衣着てる人達っつったよな?医学関連者もか?」
「ああ、医学関連の人達の場合、師に複数の弟子が当たり前で、弟子同士の結束が強いんだよ。で、家族同然だから、独立した後も兄姉を付けたままだし、医者のお兄さんお姉さんって言い方なら問題ないけど、名前に付けるとあまりいい気はしないみたいだからね」
「……それも医学関連の専門書や手引き書辺りか?」
「そうだよ。家に古代書の、各専門分野のがあるんだ。でも、年代物だから外には持ち出せないけどね」
「……今度、お前の家に連れて行け」
「それ、アル兄……アーヴェル=デフォルト様にも言われた。けど、それ程親しくもないのに連れては行けないなぁ。特部の兄さん達すら未だに招待してないもん」
まぁ、特部の兄さん達は、忙しすぎて時間が取れないってのが一番の理由だけど。
「……チッ。分かった。追い追い親しくなってやらぁ」
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