英雄王の末裔 ~青のラファール~

カザハナ

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~デ・フォン領域~

僕は特部にとってマスコット的存在だそうです。

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「リウリクを護る手段は、一つでも多い方が良いでしょ?それをジオーヌにも覚えて貰えば良い。リウリクの技術を欲しがる馬鹿は結構多いと思うよ。ジオーヌ、どうする?聖騎士団本部で護衛スキルを高めるなら、その間アル兄が所属する凄腕の兄さん達がリウリクとジオーヌの相手をするけど。ジオーヌが決めても良いよ?この先リウリクを護る手段を一つでも多く吸収するか、そのまま助手スキルだけ上げるか」
「私は、リウリク様の相棒。リウリク様を護るのも私の務めです。今の腕が通用しなくては意味がありません。ラファール様の提案を受けたいです」

 ジオーヌがリウリクに訴える。

「俺も多少は身を守る術を持ってはいるんだがなぁ。……分かった、提案を受ける。その代わり、傷が出来たりしたら報告は怠るな。無理も禁物だ。パーツを作る事は出来ても、お前が壊れたら元も子もない。忘れんな、お前は俺の相棒で家族だ。お前自身も大事にしろ」

 こういった人形は、心臓部にある人工魔石を壊されたら終わりだからね。ジオーヌ用の薄くて伸縮性のある丈夫な簡易鎧も製作してみようっと♪その内僕用の物も作るんだ~♪

「ジオーヌ、僕に様は付けなくて良いよ。ジオーヌは生まれたばかりだけど、見た目は成人を過ぎた大人だから、子供の僕に様付けすると、他の人が不思議がるから。それとリウリク、ジオーヌに人に聞かれても大丈夫な建前を作り込んだ方が良いよ。年齢、出身、職業とか、リウリクとはどれだけの付き合いかとか。特部の兄さんとも口裏合わせて貰えばバレ難いと思うよ」
「お前、嘘吐かねぇんだろ。どうやって口裏合わす気だ?」

 リウリクが皮肉ってくるけど問題ない。

「僕の場合、リウリクが言ってたよとか、特部の兄さん達が言ってたよって語尾に付けるから、嘘にならないよ?断言しなければいいし、肝心の所を言わなきゃ良いだけだから」

 本当なのか?って聞かれても、さぁ?ってとぼけるのも手だしね。

「……確信犯かよ」

 リウリクが呆れた声を出す。
 そんなの当然の事だよ。精霊人だからね。精霊は言質を取られてはならない。契約する時、不利になるからね。でも完全な嘘は吐かない。真実を視る目を持ってる為か、断言する嘘を言い続けると、その精霊の存在が揺らぐと言われているからだ。
 精霊人の場合、人間の血が混ざっているから多少の嘘は吐く事が出来る。何せ、人間は嘘を吐く生き物だから。
 とはいえ、僕達は精霊の姿も取る事が出来る為、嘘を吐き続けると、人間の血が濃くなり、視る力が薄まるらしい。本当かどうかは分からないけど、試す気は無いからね。

「では、今からプロフィールを粗方作り、聖騎士団本部に来るのは明日からにしましょう。明日の朝、私達が迎えに来ます。それと、本部に来る時は基本、ラルの同行がある時です。ラルが居れば大方顔パスで入れますから、絡まれる事も少ないと思いますしね。その辺の対処はラルがしてくれるでしょう」
「聖騎士団本部を顔パス……お前、明らかにおかしいだろ……」
「そんな事言われてもなぁ。単に特部の兄さん達に可愛がられてるだけだよ」
「ラルは特部のマスコット的存在ですからね」
「マスコット?!これがそんな可愛い物か?!」
「可愛いし、面白いですよ。普通の子供と違い、我々と対等に話すだけでなく、我々以上の知識を持ち、手合わせだろうと油断すれば、我々から勝ちを取ろうとする。ラファスが色々教え込んでいるだけあって、潜入捜査だろうと何だろうと役立ちますし、我々の言葉はきちんと聞いてくれますよ」
「……我々の言葉は?」
「ラファス?」
「ああ、ジオーヌ、ラファス兄はラルファンスで覚えて。僕の実兄だよ。ただし、本人の許可を取らない限り、名前で呼ばない方がいいからね。後、特部の兄さん達は尊敬してるからね。どうでもいい奴や尊敬出来ないような奴の言う事を、何で聞かなきゃなんないのさ。僕より何かが秀でてるなら未だしも、そういう人は滅多にいないからね」
「えらく上から目線だな」
「事実だからね。僕は強い人が好き♪その中でもラファス兄は別格だよ!」
「全大陸一の腕を持つアーヴェル=デフォルトよりもか?」
「ああ、それ、私が12の時ラファスに塗り替えられたまま、一度も勝った事がありませんので、ラファスの方が格段に上ですよ。あの人は一般人に知られると面倒だから、態々訂正するなと言っていますが」

 その時のラファス兄は誕生日がまだだったから、13ファルレだったけどね。
 因みに僕とラファス兄の差は7才で、アル兄と僕では5才差なんだけど、僕は誕生日がまだだから、ラファス兄は今18才で、僕は10才、アル兄は16才だよ♪
 この世界での人間基準は1才~5才までが幼児、5才~15才までが子供、15才~20才までが青年、20才から大人って認識かな。種族によって違うけど、精霊人の年の取り方は20才ぐらいまでは人間とあまり変わらないからね。
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