英雄王の末裔 ~青のラファール~

カザハナ

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~デ・フォン領域~

聖騎士団に行く前に、使用人としての箔を付けに行きましょう!

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 まぁ、話が逸れていったけど、ジオーヌが起動したあの後、ジオーヌのプロフィールを、その場で作り込んでいった。
 リウリクは凄腕の錬金術師なので、ガッツリお金を稼いでる。ただ、錬金術師って研究を盗まれないように、人を雇う事って殆どないんだよね~。信頼のある人を雇うと言っても、出所がなぁ。……あ、信頼のある人員斡旋。

「ねぇ、聖騎士団に行く前に、ジオーヌの箔を付けよう。基本の身の回りの世話って事は、使用人として雇ってるって誤魔化す事も出来るようにしたって事だよね?なら、今の時代のそういった知識や教える事が出来る人に頼むついでに箔も付けて貰おう!」

 まぁ、そうなったら聖騎士団に行くのはジオーヌの箔付け出来てからになるけどね。

「待て、誰に頼む気だ!」
「専門分野の人」
「だから、どう説明する気だ?!しかも箔付けるって、普通の相手じゃねぇだろ!」

 まぁ、普通の人だと無理だからなぁ。

「ジオーヌの正体言っても大丈夫な人だよ。僕ん家と代々付き合いがあるから、多少の事で驚かないし。あそこの信頼度は高いから、協力して貰った方が、情報も漏れ難いよ」
「だから、あそこってどこだ?!」

 そんな心配しなくても大丈夫なのになぁ。

「ファーグ商会」
「ファーグ、商会、だと?!待て待て待て!!ちょっと待て!何でそんな大物ってか、幻とまで言われる商会の名が出てくる?!信頼度は限りなく高いが、接触その物が、砂漠から一粒の砂金を見付ける様な物だと言われる難易度だぞ?!」
「だから、ファーグ家とは商会立ち上げた頃から先祖代々協力関係があるって聞いてる。だから、僕ん家は割りと融通を利かせて貰ってるんだよ」
「あまり深く気にしない方が良いですよ。ラファスは全大陸の大物と、聖騎士団に関係なく交流を持っていますし、ラルもラファスにあちこち連れて行って貰ってますから」

 アル兄が説明してくれたお陰でリウリクが静かになった。顔が引き吊ってるけど問題ないよね。

「よし、今から行こう。アル兄は姿変えてね。まぁ、そう言ってもファーグ家の人の前では解いて貰うけど」
「ええ、それは勿論です」

 因みに、僕やラファス兄が人を連れて来てもそのまま通れるけど、他の人の場合は真実の泉の水、真実薬を振り掛けられるし、取引する時も同様だったりする。身代わりを立ててとか、成り代わりとかを入れない為だけど、本来ファーグ商会とコンタクトを取る事自体難しいからね。



 アル兄とリウリクと、ジオーヌを連れて、デ・マームにあるファーグ商会へとやって来る。
 僕が来た場所は見掛けだけだと普通の商会だし、置いてる商品もデ・トルト内ではよく見掛ける物ばかりしか置いてないから、手広くしてるようには見えない。
 リウリクは、本当にここが?と疑問に思ってる事だろう。でも、表向きは名前も違う、普通の商会なんだよね~。表向きの名は色々あるし、場所も一ヵ所とは限らないけど。

「イグじいちゃんかイファおじさんいる?会いたいんだけど会えるかな?」
「失礼ですが、どなたの事ーー」
「お二人共いらっしゃいますよ。お久しぶりですラファール様」

 他にお客さんがいなかったので、奥にいる店員に直接聞くけど、訝しげに僕を見るからどうしようかなと思っていたら、よく知る人が声を掛けてくれた。
 ファキーヤさんだ♪様付けしてるけど、普段はさん付けだから、この店員に知らしめる為って事だろう。

「えっ?えっ?ファキーヤ様?!」
「久しぶり~ファキーヤさん。ちょっと相談があるんだけど、行ってもいい?」
「ええ、どうぞ。私が案内します。今は食事中ですが、ラファール様なら問題ありませんよ。その前に、少しだけ失礼します。そこの貴方、この子の顔は覚えていなさい。とても大切な客人であると同時に、イルグ様とイーファ様の個人的なお付き合いのある家の子ですよ。失礼が有ってはいけません」

 ファキーヤさんのその言葉で、僕が名指しした二人が誰なのか、気付いたようだ。

「もっ、申し訳ありませんでした!」
「店の者が大変失礼を致しました。お連れの方様も、どうぞ御一緒に」

 ファキーヤさんは、若いながらもファーグ商会の凄腕幹部で、イグじいちゃんのお付き兼片腕だ。イグじいちゃんは先代のファーグ家当主だけど、今も現役で働いてる。
 ファキーヤさんに連れられて、奥へと進み、一つの扉の前で、ファキーヤさんがノックする。

「お食事中に失礼します。ラファールさんがお連れ様と御一緒にいらっしゃっていますが、御通ししても宜しいですか?」
「構わん、通しなさい」

 中からの返事が聴こえ、ファキーヤさんが扉を開ける。

「久しぶり~♪食事中にごめんね、イグじいちゃん、イファおじさん」
「ああ、気にするな。儂等は食事が取れる時に取るだけだ」
「こっちこそ済まんな、久々なのにこんな所で」
「僕はどこでも大丈夫だよ。それより、相談があって来たんだけど」
「言ってみろ」
「どうしたんだい?」

 僕は、ここにいるアル兄、リウリク、ジオーヌを紹介し、これまでの事を包み隠さず話す。ファーグ家のこの二人に隠していた所で、後々バレるだろうしね。ファーグ家の情報網を甘く見てはいけないのさ。

「なるほどな」
「それでファーグ商会ウチに」
「だって僕が連れ歩いてるとは言え、ファーグ商会なら一応身元を調査するでしょ?そうなったらリウリクはともかく、ジオーヌは明らかに不明だもん。過去を遡っても出てこないってなったら人じゃない事がバレるでしょ?」
「……はぁ?!」

 驚いてる所悪いけど、ファーグ商会はあちこちで人の出入りを調査してるし、街や村の人以外はどこから来たのか大概突き止めてるよ。街や村の人でも、ある程度の記録は付けてるんだから。ファーグ商会は、いつ、誰が、どんな情報を欲しがろうと、その全てに応えられるよう常日頃から鍛えてるのと、デ・マームではあの、合成体キメラ事件を把握出来てなかったから、特に厳しく鍛えてるんだよ。
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