英雄王の末裔 ~青のラファール~

カザハナ

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~デ・フォン領域~

釘さしと忠告は必要事項です

「くれぐれも言動には気を付けなよ。あんた、気絶しそうだったからもう一回言うけど、このトゥー兄は僕より・・・強いから。あんたじゃ足元にも及ばないから」

 一応、骨折せずに目を覚ました兄さんに、ぼくはしっかり釘をさす。
 因みにトゥー兄はあんたより上で20ファルレだからね。普段年上を敬えとか言う癖に、その年上に喧嘩売るなっての。トゥー兄は童顔だから、どうせ同年代か年下とでも思ってたんだろうけど、あんまり嘗めて掛かると痛い目見るからね。トゥー兄は童顔で嘗められる事が多いから、そういう奴は徹底的にシメるって言ってたから。
 現在、トゥー兄はあの兄さんを威圧中。アーヤやセスに見せる顔と全然違うからね。

「ラファール、あの人怖いんだけど……」

 コソッと僕に囁いてくる兄さん。

「自業自得だよ。よりにもよってトゥー兄に喧嘩売るんだから。ってか、僕の名前を略式で呼んでる人の大半は、僕より強い人だと思った方が良いよ?そうで無くとも僕が認めてる人なんだから、普通の人だと思わないのが一番だと思う」

 アーヤだってセスだって、普通とは呼べないんじゃないかな?アーヤは僕の相棒でもあるけど、セスは精霊達に物凄く好かれてるみたいだから。
 たまに夜中とか、セスのいる部屋に精霊達が集まってるっぽいんだよね。精霊達はセスの眠りを妨げる気はないし、姿も隠してるようだけど。時々僕の方に来て、悪さは絶対しないから、夜だけあの子の近くに居てもいい?って聞きに来るからね。まぁ、セスの本質は名前の通り、神聖なる闇を身に宿す者だから、精霊達が憩いの場と認識するのも無理はない。

「砂漠には、毒を持つ魔物も動物もいるから、充分気を付けなきゃ駄目だけど、毒の部位さえ切り離せばどうって事は無いからね。ただし、砂に隠れる種もいるから、出来るだけボクかラルの近くにいてね」

 トゥー兄の言葉に兄さんが首を傾げる。

「え、何でラファールも?ラファールは確かに強いけど、出身はイファデラ大陸だよね?」
「そんな事は解ってるよ。ラルはお前と違って、一人砂漠で生き抜く知識も経験も持ってるんだ。ラルをお前みたいな脳無しと一緒にするな、この脳無しお馬鹿。そもそも東大陸へは、他の大陸を廻ってから最後に行くべき大陸だ。名だたる冒険者が更に経験を積み重ね、技を極め、パーティーと組んでから行く場所だ。そうは言っても、パーティーをバラされるような行動を取る魔物が多い為、個々の戦闘能力が高くなければ挑めない。そんな場所にお前は一人で大した経験も持たずに行ってるんだ。死なずに帰って来れただけでも奇跡に近い。余程運が良かっただけなのに、図に乗るな」

 威圧感たっぷりにトゥー兄が言う。

「でっ……でも、アキーシィヤやセレヴィスだって旅を……」
「二人は東の出身だし、ラルがいるから大丈夫に決まってるだろ。お前の最大の運の良さはラルに出会えた事だ。それを気付きもせず感謝もなく、何が保護者だよ。ラルの保護者代理を名乗りたければ、ボクを倒してからにしなよ。言っとくけど、ボクより強い連中が、ラルの保護者代理になりたくて仕方ないのに、それでも名乗れないんだ、簡単に名乗れると思うなよ?」

 兄さんがガタガタ震え出すけど、序でに僕も便乗しとこう。

「因みに、アーヤとセスの保護者は僕だから。兄さんには譲らない。もし年齢的にと言われるなら、僕の実兄に頼むから。絶対あんたには名乗らせないから」

 僕がラファス兄を引き合いに出せば、セスが申し訳なさそうな顔をする。

「ラルが保護者なのは構わないけど、お前の兄さんを巻き込んでやるなよ。同じ村ってだけなのに迷惑だろ」
「大丈夫だよ。フォーゼ家は村や村人達を守る存在だから。それにセスは僕の友達だから、言えば必ず了承してくれるよ」
「ちょっ、ちょっと待って!本当にラファールが保護者で良いの?ラファールはセレヴィスと同年代……うひいぃぃぃ!!!」

 トゥー兄の威圧が増した。うん、まぁ、馬鹿としか言い様が無いよな。

「お前、ラルじゃあ不安だって言いたいの?お前より腕も精神も強いラルが?」
「すっ……すみませんでしたぁーーー!!!」
「トゥー兄、あんま怒らないで?」
「ラッ、ラファール!」

 期待の籠ったキラキラな眼差しを向けてくる兄さん。まぁ、話は最後まで聞けよ。

「この兄さんはグール頭以下だから、怒るだけ無駄だよ。多分トゥー兄と別れたら2~3デェフィル(※2~3日)ぐらいで忘れてるから」
「ちょっ、ちょっとラファール?!それってフォローになってないよね?!」

 うん。フォローする気はないからね。

「どんだけ……」

 そりゃあ呆れるよね。僕も現在進行形で呆れまくってるから。
 因みにグールは腐乱死体ゾンビの一種。だってこの兄さん、頭ん中絶対腐ってるよ。
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