109 / 113
~デ・フォン領域~
専門家の忠告無視ると、大変危険な目に合いますよ?
しおりを挟む
中央大陸にある東の砂漠は、デ・フォン領域とフォルゼン領域の境目に近いアルタの北東、アルタの街の高い所からなら、うっすら見える距離の場所から横に長く伸び、中央大陸の端の海岸まで続いている。
僕達はデ・マームを南に進んでアルタ付近の砂漠から出発する。
「何でアルタの近くから?デ・マームをそのまま東に向かってから南に進めば良いんじゃないの?」
「ここの砂漠は、植物や魔物が場所によって異なるんだよ。同じ砂漠内でも全然違う種が見れるし、ここだけの個有種もいる。砂漠内を横断した方が楽しめるし、ここには砂漠の民って言う砂漠の専門家がいるんだからね」
この東の砂漠なら、トゥー兄は水の在処や、各種の動植魔物の分布地等、隅から隅まで知ってるからね。しかも腕は聖騎士団特殊部隊の聖騎士と言う名の保証付き。本来なら、こんなにも簡単に応じてくれる人じゃないだろうけど、そこは仲が良いからと言う事で。
「この砂漠でエーダは使わないよ。岩石地帯が多いのと、砂地では砂地獄を作り出す魔物がいるからね。サンドワームはいないけど、その分砂地獄を作り出す魔物がサンドワームと同様に手強いな。一般人では普通の砂地との見分けが難しいらしいから、ボクとラルの前を歩かないように。後、ボクかラルの見える場所にいるように」
トゥー兄が、突然足を止める。勿論僕も。アーヤとセスも止まるけど、あの兄さんだけはそのまま進む。
「……あれ?何で皆来な……ぃうわぁぁぁーーーっっ!?!」
「ほらね?忠告を聞かなかったり破ったりすると、ああなるから」
僕達の目の前にあった砂が、段々地面に吸い込まれて行くかのように減っていく。勿論僕達の場所には全く影響の無いままで。
因みに、あの兄さんは吸い込まれる砂に巻き込まれて下に下にと下って行き、もがいても、もがいても這い上がれない。
「ちょっ、見てないで、助けてーーーっっ!!!」
僕はその言葉に返答する。
「嫌だ」
「もう少し反省しなよ。死ぬ前には助けてやるから」
僕の後にトゥー兄も追随する。
「大丈夫なのか?!あれ!」
「まだ全然平気。奥に砂が一番凹んでる所分かる?あそこが魔物の巣で、あそこから魔物が出るんだよ。鉄鋼石と同等の硬さの鎧みたいな身体で、魔法も効かない。あの兄さんには良い薬だよ」
「まぁ、半端な腕じゃ、あいつは倒せないけど、ボクがいるから大丈夫。取り敢えず姿が見えないと倒せないから、あれを囮にして充分引き付けてから倒すよ」
トゥー兄が一撃で仕留めてくれるようだ。
因みにこの魔物は、額部分に魔石のような目を持ち、ピンポイントでそこを狙い倒すと、特殊なアイテムをドロップする。ただし、その標的である目は人間の拳程の大きさで、図体は、大体一軒家と同じぐらい。個体差もあるけど、標準がそれぐらいになるから、図体の割にはとても小さい。
このような倒し方を出来る者自体が稀で、通常は魔物の関節部分を狙って、長時間掛けて倒すのが一般的だ。関節部分は鎧部分と比べると軟らかなので、鉄鋼石を壊す事が出来ない腕の持ち主でも、時間を掛ければ何とかなる……筈。それまでに魔物に殺されなきゃの話だけどね。
「兄さん、あんまこっちばっか見てると、背後から攻撃受けるよ~。身動きが取れなくなる粘液吐くから気を付けて~」
「ちょっ、そんな事は早く言って!じゃなく、早く助けて!!」
「嫌だって言ってるじゃん。そっちに降りると魔物を倒さない限り、下降し続けるんだから」
勿論降りても倒せるけど、弱点ピンポイント狙いし辛くなるし、最初にトゥー兄の忠告を聞かなかった兄さんが悪い。僕は砂地獄に嵌まっても、出るコツ知ってるけど、人に教えて出来るようなもんじゃないし、下降し続けても倒す事が出来るから前を歩いても問題ないけど、それを真似されちゃあねぇ。今回はトゥー兄が倒してくれるって言ってくれてるし、僕は高見の見物さ。
「アーヤとセスは運が良いよ。トゥー兄程の腕前を直で見れるなんて、中々無い事だからね。特に紐使いは少数で、鉄鋼石を壊す事の出来る人なんて滅多にいないから。そんな人の技が直で見れるのは奇跡に近いよ」
「そう言うラルは、しょっちゅう見てるけどね」
「うん。だって僕はトゥー兄に手合わせして貰えるからね!僕ラッキー♪トゥー兄いつも有難う~♪」
「そう言う事をいつも言うからラルは可愛いんだよね~。ボクの弟と取り替えたい」
「ちょっとぉ!僕の事忘れてない?!」
下から兄さんの声がする。
勿論、忘れてないよ?無視ってただけで。ってか、あれそのままにして、魔物に食わせた方が世の中の為にならないかなぁ?
「黙って囮になってなよ。あんまり五月蝿いと、そのまま魔物の餌にするよ?」
トゥー兄の脅しに漸く下からの声が静かになった。
僕達はデ・マームを南に進んでアルタ付近の砂漠から出発する。
「何でアルタの近くから?デ・マームをそのまま東に向かってから南に進めば良いんじゃないの?」
「ここの砂漠は、植物や魔物が場所によって異なるんだよ。同じ砂漠内でも全然違う種が見れるし、ここだけの個有種もいる。砂漠内を横断した方が楽しめるし、ここには砂漠の民って言う砂漠の専門家がいるんだからね」
この東の砂漠なら、トゥー兄は水の在処や、各種の動植魔物の分布地等、隅から隅まで知ってるからね。しかも腕は聖騎士団特殊部隊の聖騎士と言う名の保証付き。本来なら、こんなにも簡単に応じてくれる人じゃないだろうけど、そこは仲が良いからと言う事で。
「この砂漠でエーダは使わないよ。岩石地帯が多いのと、砂地では砂地獄を作り出す魔物がいるからね。サンドワームはいないけど、その分砂地獄を作り出す魔物がサンドワームと同様に手強いな。一般人では普通の砂地との見分けが難しいらしいから、ボクとラルの前を歩かないように。後、ボクかラルの見える場所にいるように」
トゥー兄が、突然足を止める。勿論僕も。アーヤとセスも止まるけど、あの兄さんだけはそのまま進む。
「……あれ?何で皆来な……ぃうわぁぁぁーーーっっ!?!」
「ほらね?忠告を聞かなかったり破ったりすると、ああなるから」
僕達の目の前にあった砂が、段々地面に吸い込まれて行くかのように減っていく。勿論僕達の場所には全く影響の無いままで。
因みに、あの兄さんは吸い込まれる砂に巻き込まれて下に下にと下って行き、もがいても、もがいても這い上がれない。
「ちょっ、見てないで、助けてーーーっっ!!!」
僕はその言葉に返答する。
「嫌だ」
「もう少し反省しなよ。死ぬ前には助けてやるから」
僕の後にトゥー兄も追随する。
「大丈夫なのか?!あれ!」
「まだ全然平気。奥に砂が一番凹んでる所分かる?あそこが魔物の巣で、あそこから魔物が出るんだよ。鉄鋼石と同等の硬さの鎧みたいな身体で、魔法も効かない。あの兄さんには良い薬だよ」
「まぁ、半端な腕じゃ、あいつは倒せないけど、ボクがいるから大丈夫。取り敢えず姿が見えないと倒せないから、あれを囮にして充分引き付けてから倒すよ」
トゥー兄が一撃で仕留めてくれるようだ。
因みにこの魔物は、額部分に魔石のような目を持ち、ピンポイントでそこを狙い倒すと、特殊なアイテムをドロップする。ただし、その標的である目は人間の拳程の大きさで、図体は、大体一軒家と同じぐらい。個体差もあるけど、標準がそれぐらいになるから、図体の割にはとても小さい。
このような倒し方を出来る者自体が稀で、通常は魔物の関節部分を狙って、長時間掛けて倒すのが一般的だ。関節部分は鎧部分と比べると軟らかなので、鉄鋼石を壊す事が出来ない腕の持ち主でも、時間を掛ければ何とかなる……筈。それまでに魔物に殺されなきゃの話だけどね。
「兄さん、あんまこっちばっか見てると、背後から攻撃受けるよ~。身動きが取れなくなる粘液吐くから気を付けて~」
「ちょっ、そんな事は早く言って!じゃなく、早く助けて!!」
「嫌だって言ってるじゃん。そっちに降りると魔物を倒さない限り、下降し続けるんだから」
勿論降りても倒せるけど、弱点ピンポイント狙いし辛くなるし、最初にトゥー兄の忠告を聞かなかった兄さんが悪い。僕は砂地獄に嵌まっても、出るコツ知ってるけど、人に教えて出来るようなもんじゃないし、下降し続けても倒す事が出来るから前を歩いても問題ないけど、それを真似されちゃあねぇ。今回はトゥー兄が倒してくれるって言ってくれてるし、僕は高見の見物さ。
「アーヤとセスは運が良いよ。トゥー兄程の腕前を直で見れるなんて、中々無い事だからね。特に紐使いは少数で、鉄鋼石を壊す事の出来る人なんて滅多にいないから。そんな人の技が直で見れるのは奇跡に近いよ」
「そう言うラルは、しょっちゅう見てるけどね」
「うん。だって僕はトゥー兄に手合わせして貰えるからね!僕ラッキー♪トゥー兄いつも有難う~♪」
「そう言う事をいつも言うからラルは可愛いんだよね~。ボクの弟と取り替えたい」
「ちょっとぉ!僕の事忘れてない?!」
下から兄さんの声がする。
勿論、忘れてないよ?無視ってただけで。ってか、あれそのままにして、魔物に食わせた方が世の中の為にならないかなぁ?
「黙って囮になってなよ。あんまり五月蝿いと、そのまま魔物の餌にするよ?」
トゥー兄の脅しに漸く下からの声が静かになった。
0
あなたにおすすめの小説
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-
ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。
断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。
彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。
通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。
お惣菜お安いですよ?いかがです?
物語はまったり、のんびりと進みます。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる