112 / 113
~デ・フォン領域~
砂漠のご馳走?
しおりを挟む
中央大陸の東砂漠での旅も終盤に近付く頃、砂漠地帯では割りとポピュラーな魔物と遭遇した。
砂漠が主な棲息地で、水源の少ない場所でも極稀に見掛けるサボテンの魔物だ。
少し離れた砂の中から姿を現し、棘を投げ付け襲ってくるのだが、クネクネと本体部分を動かすし、すばしっこくて砂の上を滑るように動き回り、針のような棘を飛ばし、ある程度のダメージを食らうと逃げようとする。
その上逃げられないと悟ると、仲間を呼び寄せ、一定数以上になると合体し、針と言うよりは槍だと言える棘で串刺しにしようとする魔物で、出現率は比較的低い方だが、遭遇するとかなり厄介な魔物の一種だ。
弱点は、その身に一つだけ付いてる蕾か花で、それを潰せば良いんだけど、飴玉サイズなので、自信の無い冒険者や一般人には、手持ちの水で注意を引き付け、逃げる事をお奨めするね。
因みに、このサボテンの魔物のドロップアイテムは、サボテンの肉片と蕾や花で、蕾や花は色に依って効能が違う薬の原料になる。
そしてサボテンの肉片は、使い道が無い……と思われているけど、サボテンの倒し方に依って、とんでもない珍味になるのだ。
まぁ、ぶっちゃけ、サボテンの核となる蕾や花をサボテンから切り離した上で、蕾や花を潰せば良いだけ。
ただし、先に説明したように、この魔物は物凄くすばしっこい。
それに、常にクネクネと踊ってるような動きをするので、核となる蕾や花を切り離す事自体が物凄い難易度となるんだ。
そんな腕の立つ人達はかなり限られて来るので、食べられる事自体知られていなかったようだ。
何せ切り離さずに倒した場合、そのサボテンの肉片は物凄く苦くて、食べられた物ではないからね。
手持ちの食糧が尽きそうになった冒険者が、たま~に食べようとするそうだが、あまりの不味さに体調不良を起こすらしい。
大食いのトゥー兄はサボテンの魔物が食べられるとは知らなかったらしく、砂漠で食糧の確保が難しい……と落ち込んでいた為、僕がラファス兄に、サボテンの魔物って美味しく食べれたよね?と話を振り、トゥー兄があんな不味い物、美味しい食糧になるの?!と食い付いてきた事も有ったなぁ。
そしてそのトゥー兄は現在、サボテンの魔物の出現に目を輝かせていたりする。
「やった!食糧ゲット♪食材自らがやって来た!さぁ、存分に仲間を呼んで貰うからね♪」
それを聞いた三人は各々の反応を見せる。
「えっ……サボテンの魔物って食べれるの?」
セスは恐る恐る僕に聞き、アーヤは僕やラファス兄の話から食べられると知っていて、どんな味なんだろうと思っているのだろう、ちょっと好奇心に満ちた目をサボテンの魔物に向けている。
そして残りのあの兄さんは、顔を蒼白に染めている。
「いや!食べれないから!!サボテンだよ?!物凄く苦くて不味いって聞いてるから!!食べたらお腹を壊すからね?!そんな事より早く逃げようよ!!」
「煩い。逃げたければ一人で逃げろ」
「サボテンの魔物は美味しいし、トゥー兄が居れば問題ないよ。ただし、特殊な倒し方をするから通常の倒し方では食べれないし、力押しの脳筋には出来ない芸当だから」
まぁ、僕も出来なくは無い。けど、さすがに剣でやると、核だけでなく肉片も少しだけ斬っちゃう事になるからねぇ。
そうなるとドロップするのは大小の肉片になるけど、核を切り離した事に変わりは無いから、欠片のような小さい方を食べなければ良いという事なんだけど、折角の珍味が勿体ないから、魔物はトゥー兄にお任せして、僕は魔物の攻撃を弾くだけ♪
そうしてトゥー兄はサボテンの魔物を呼び寄せれるだけ呼び寄せて、合体した奴も数体いたけど、それも倒し方は同じだし、こっちの方が美味しかったりするので、トゥー兄も僕もご満悦だったりする♪
「ラル、料理は宜しく~♪」
「了解~、って、皮剥いて焼くだけだけどね~♪」
僕は手早く皮を剥いて、そこいらに転がってる岩の上を軽く拭き、皮を剥いたサボテンの肉片を置く。
そのままでも暫く置いとけば焼けるけど、ここで火石を使って、同じ岩の上に置けば短時間での調理が可能になる。
塩を軽く掛け、両面焼けば出来上がり♪
「よし、出来た♪」
僕は出来上がったサボテンステーキを配る。
勿論大活躍だったトゥー兄にはてんこ盛り。トゥー兄の食材だと言えるしね♪
あの兄さんは食べるの躊躇ってたけど、僕達が食べて旨い美味しいと言ってたら、恐る恐る口にして、その美味しさに喚き出し、もっと欲しそうな顔をしてたけど最初に少しで良いと言ったのは本人だから、追加はしてやらない。
「トゥー兄は凄腕だから難無く入手出来たけど、本来一般人には手が届かない程の高値が付けられるんだから、分けて貰えた事に感謝しなよ」
「たっ……高値?」
聞き返す兄さんの耳元で、僕はこそっと囁いてやる。
「兄さんが食べた量だけでも、取り扱う店なら数百ガルトで買い取るよ」
因みに、嘘は言ってない。
実際、ファーグ商会での買い取り価格はそれぐらいだ。
僕の言葉を聞いた兄さんは、その値段の高さに相当ビビってた。
砂漠が主な棲息地で、水源の少ない場所でも極稀に見掛けるサボテンの魔物だ。
少し離れた砂の中から姿を現し、棘を投げ付け襲ってくるのだが、クネクネと本体部分を動かすし、すばしっこくて砂の上を滑るように動き回り、針のような棘を飛ばし、ある程度のダメージを食らうと逃げようとする。
その上逃げられないと悟ると、仲間を呼び寄せ、一定数以上になると合体し、針と言うよりは槍だと言える棘で串刺しにしようとする魔物で、出現率は比較的低い方だが、遭遇するとかなり厄介な魔物の一種だ。
弱点は、その身に一つだけ付いてる蕾か花で、それを潰せば良いんだけど、飴玉サイズなので、自信の無い冒険者や一般人には、手持ちの水で注意を引き付け、逃げる事をお奨めするね。
因みに、このサボテンの魔物のドロップアイテムは、サボテンの肉片と蕾や花で、蕾や花は色に依って効能が違う薬の原料になる。
そしてサボテンの肉片は、使い道が無い……と思われているけど、サボテンの倒し方に依って、とんでもない珍味になるのだ。
まぁ、ぶっちゃけ、サボテンの核となる蕾や花をサボテンから切り離した上で、蕾や花を潰せば良いだけ。
ただし、先に説明したように、この魔物は物凄くすばしっこい。
それに、常にクネクネと踊ってるような動きをするので、核となる蕾や花を切り離す事自体が物凄い難易度となるんだ。
そんな腕の立つ人達はかなり限られて来るので、食べられる事自体知られていなかったようだ。
何せ切り離さずに倒した場合、そのサボテンの肉片は物凄く苦くて、食べられた物ではないからね。
手持ちの食糧が尽きそうになった冒険者が、たま~に食べようとするそうだが、あまりの不味さに体調不良を起こすらしい。
大食いのトゥー兄はサボテンの魔物が食べられるとは知らなかったらしく、砂漠で食糧の確保が難しい……と落ち込んでいた為、僕がラファス兄に、サボテンの魔物って美味しく食べれたよね?と話を振り、トゥー兄があんな不味い物、美味しい食糧になるの?!と食い付いてきた事も有ったなぁ。
そしてそのトゥー兄は現在、サボテンの魔物の出現に目を輝かせていたりする。
「やった!食糧ゲット♪食材自らがやって来た!さぁ、存分に仲間を呼んで貰うからね♪」
それを聞いた三人は各々の反応を見せる。
「えっ……サボテンの魔物って食べれるの?」
セスは恐る恐る僕に聞き、アーヤは僕やラファス兄の話から食べられると知っていて、どんな味なんだろうと思っているのだろう、ちょっと好奇心に満ちた目をサボテンの魔物に向けている。
そして残りのあの兄さんは、顔を蒼白に染めている。
「いや!食べれないから!!サボテンだよ?!物凄く苦くて不味いって聞いてるから!!食べたらお腹を壊すからね?!そんな事より早く逃げようよ!!」
「煩い。逃げたければ一人で逃げろ」
「サボテンの魔物は美味しいし、トゥー兄が居れば問題ないよ。ただし、特殊な倒し方をするから通常の倒し方では食べれないし、力押しの脳筋には出来ない芸当だから」
まぁ、僕も出来なくは無い。けど、さすがに剣でやると、核だけでなく肉片も少しだけ斬っちゃう事になるからねぇ。
そうなるとドロップするのは大小の肉片になるけど、核を切り離した事に変わりは無いから、欠片のような小さい方を食べなければ良いという事なんだけど、折角の珍味が勿体ないから、魔物はトゥー兄にお任せして、僕は魔物の攻撃を弾くだけ♪
そうしてトゥー兄はサボテンの魔物を呼び寄せれるだけ呼び寄せて、合体した奴も数体いたけど、それも倒し方は同じだし、こっちの方が美味しかったりするので、トゥー兄も僕もご満悦だったりする♪
「ラル、料理は宜しく~♪」
「了解~、って、皮剥いて焼くだけだけどね~♪」
僕は手早く皮を剥いて、そこいらに転がってる岩の上を軽く拭き、皮を剥いたサボテンの肉片を置く。
そのままでも暫く置いとけば焼けるけど、ここで火石を使って、同じ岩の上に置けば短時間での調理が可能になる。
塩を軽く掛け、両面焼けば出来上がり♪
「よし、出来た♪」
僕は出来上がったサボテンステーキを配る。
勿論大活躍だったトゥー兄にはてんこ盛り。トゥー兄の食材だと言えるしね♪
あの兄さんは食べるの躊躇ってたけど、僕達が食べて旨い美味しいと言ってたら、恐る恐る口にして、その美味しさに喚き出し、もっと欲しそうな顔をしてたけど最初に少しで良いと言ったのは本人だから、追加はしてやらない。
「トゥー兄は凄腕だから難無く入手出来たけど、本来一般人には手が届かない程の高値が付けられるんだから、分けて貰えた事に感謝しなよ」
「たっ……高値?」
聞き返す兄さんの耳元で、僕はこそっと囁いてやる。
「兄さんが食べた量だけでも、取り扱う店なら数百ガルトで買い取るよ」
因みに、嘘は言ってない。
実際、ファーグ商会での買い取り価格はそれぐらいだ。
僕の言葉を聞いた兄さんは、その値段の高さに相当ビビってた。
0
あなたにおすすめの小説
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-
ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。
断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。
彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。
通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。
お惣菜お安いですよ?いかがです?
物語はまったり、のんびりと進みます。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる