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~セルム領域~
セルム領域の領主
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東の砂漠はセーラン国のセルム領域内にも掛かってる場所が有る為、トゥー兄とはセルム領域の西側に位置する沙漠、デ・フォンとセルム領域の境界線まで一緒に旅をし、そこで別れた。
フィルゼン領域の境界線からも近い位置だ。
トゥー兄と別れた後は、近くの村に一泊して、そこから南東に進めば聖騎士団特殊部隊に所属するルア兄……セルムの領主であるルノーア=ゼクトル様が住むセアルダに着く。
僕に『今は特に忙しい時期だから領内に入ったら寄れ』って連絡を入れてた兄さんだ。
ルア兄、見た目は優男でタラシとかナルシストっぽく見えるけど、アル兄の爽やか系な笑顔とは違う胡散臭い笑顔を貼り付けた腹黒策略家だからなぁ。それなのに何故かモテる不思議。
確かにルア兄の場合、味方に出来れば頼りになるだろうけど、余程の利用価値が無いと相手にしてくれないし、敵には容赦の欠片すら無い人だからね?それなのに、優しいとか慈悲深いとかの噂を度々耳にするけど、絶対に騙されてるよね?
慈悲深い人間は、自国の王族脅したりとかしないから。
今後ルア兄に会わせる事があったら、アーヤとセスにはその場で本性をバラしとこう。
まぁ、今回会わす機会は無さそうだけどね。
宿に着いた僕達は、部屋を二つ取り、部屋の鍵を渡される。
「この街にも知り合いがいるから、僕ちょっと会ってくるよ」
「「行ってらっしゃい」」
「今から?!外はもう暗くなってきてるよ?」
「相手は多忙な人だから、遅くなるか泊まってくるかだけど、心配しないで」
僕は兄さんの言葉を無視してアーヤに伝える。
だが、僕の言葉を聞いた兄さんは、僕を諌めて来だした。
「多忙な人の邪魔しちゃダメだよ!」
「……その多忙な相手からのお呼び出しなんだけど?」
「え?なんでラファールを呼び出す必要があるの???」
「さぁ?お手伝い要員や、仕事の依頼とかじゃない?」
「えっ……。それじゃあ僕も行った方が良い?」
「なんで?」
「なんでって、そりゃあ子供のラファールよりは役に立つんじゃないかな?」
(えっ、なにその自信。これまで散々やらかしといて、どっからそんな自信が出てくんの?しかも相手のルア兄は領主で特部だよ?普通の一般人よりも常識の無いアンタが、一体何の役に立つって言うの?)
僕とアーヤは冷たい視線を兄さんに向ける。
「兄さん……僕より役に立った事なんて一度も無いのに、本気で僕より役に立つと思ってんの?」
「いや、僕だって何か一つぐらいは役に立つよ?!」
「「無い無い」」
間髪入れずに僕とアーヤの声がハモる。
当然だよね?常識と言われる知識すら無いのに、何の役に立つと?
そろそろ、あんた自身がお荷物になってるって事を自覚しろ!!と僕は叫びたい。
「僕の仕事を増やすの止めて。言っとくけど今から会いに行く人は、物凄く冷徹で、容赦の無い人だから。馬鹿は嫌いだから。トゥー兄よりも無慈悲だから。親族殺しも厭わない人だから」
実際ルア兄は、叔父と従兄弟達を亡き者にしたそうだ。それと、その親族に肩入れした者達も。
ルア兄は正真正銘、セルム領域の正統なる後継者だけど、ルア兄が幼少期の頃、お家の乗っ取りを企んだ叔父に当たる親族達に両親を殺害され、領主の正統性を示す証だけを何とか持ち出して一時的に身を隠し、時期を見て家と権力を取り返したそうだ。
ただ、その家を乗っ取られてた一時期の間に、贅沢三昧、やりたい放題されてたらしく、当然領地内が荒れ、とっくに立て直してる今でも時折一般人では手に負えない破落戸連中が出没するらしい。
勿論ルア兄が、片っ端から討伐してるんだけど、たま~にラファス兄の、真っ赤な偽者が混じるっぽくて、他人の貴重な時間を潰しただけで無く、己の名も名乗らず他人の名前で楽して稼ぐなんざ良い度胸だなぁってブチ切れてたなぁ。僕も同意見だから、反論はしなかったけどね。
まぁ、自身の親族に対しても一切の手心を加えずに処刑したもんだから、ルア兄は残虐領主とか親族殺しとかって渾名を付けられてるけど、本人は全然気にして無いし、領民も領民で、それくらいの悪名が有った方がいいぐらいに思ってる程だ。
「死にたくなければ詮索しようとしたり、会おうと思ったりしないで。僕より役に立つとか言ってる事を知られた時点で、相手に相当な不快感を与えるから」
王様だろうと何だろうと、敵と認識したら、容赦無い人なんだから。
僕は真っ青になってる兄さんに釘をさしてから、ルア兄の居る領主館に向かった。
フィルゼン領域の境界線からも近い位置だ。
トゥー兄と別れた後は、近くの村に一泊して、そこから南東に進めば聖騎士団特殊部隊に所属するルア兄……セルムの領主であるルノーア=ゼクトル様が住むセアルダに着く。
僕に『今は特に忙しい時期だから領内に入ったら寄れ』って連絡を入れてた兄さんだ。
ルア兄、見た目は優男でタラシとかナルシストっぽく見えるけど、アル兄の爽やか系な笑顔とは違う胡散臭い笑顔を貼り付けた腹黒策略家だからなぁ。それなのに何故かモテる不思議。
確かにルア兄の場合、味方に出来れば頼りになるだろうけど、余程の利用価値が無いと相手にしてくれないし、敵には容赦の欠片すら無い人だからね?それなのに、優しいとか慈悲深いとかの噂を度々耳にするけど、絶対に騙されてるよね?
慈悲深い人間は、自国の王族脅したりとかしないから。
今後ルア兄に会わせる事があったら、アーヤとセスにはその場で本性をバラしとこう。
まぁ、今回会わす機会は無さそうだけどね。
宿に着いた僕達は、部屋を二つ取り、部屋の鍵を渡される。
「この街にも知り合いがいるから、僕ちょっと会ってくるよ」
「「行ってらっしゃい」」
「今から?!外はもう暗くなってきてるよ?」
「相手は多忙な人だから、遅くなるか泊まってくるかだけど、心配しないで」
僕は兄さんの言葉を無視してアーヤに伝える。
だが、僕の言葉を聞いた兄さんは、僕を諌めて来だした。
「多忙な人の邪魔しちゃダメだよ!」
「……その多忙な相手からのお呼び出しなんだけど?」
「え?なんでラファールを呼び出す必要があるの???」
「さぁ?お手伝い要員や、仕事の依頼とかじゃない?」
「えっ……。それじゃあ僕も行った方が良い?」
「なんで?」
「なんでって、そりゃあ子供のラファールよりは役に立つんじゃないかな?」
(えっ、なにその自信。これまで散々やらかしといて、どっからそんな自信が出てくんの?しかも相手のルア兄は領主で特部だよ?普通の一般人よりも常識の無いアンタが、一体何の役に立つって言うの?)
僕とアーヤは冷たい視線を兄さんに向ける。
「兄さん……僕より役に立った事なんて一度も無いのに、本気で僕より役に立つと思ってんの?」
「いや、僕だって何か一つぐらいは役に立つよ?!」
「「無い無い」」
間髪入れずに僕とアーヤの声がハモる。
当然だよね?常識と言われる知識すら無いのに、何の役に立つと?
そろそろ、あんた自身がお荷物になってるって事を自覚しろ!!と僕は叫びたい。
「僕の仕事を増やすの止めて。言っとくけど今から会いに行く人は、物凄く冷徹で、容赦の無い人だから。馬鹿は嫌いだから。トゥー兄よりも無慈悲だから。親族殺しも厭わない人だから」
実際ルア兄は、叔父と従兄弟達を亡き者にしたそうだ。それと、その親族に肩入れした者達も。
ルア兄は正真正銘、セルム領域の正統なる後継者だけど、ルア兄が幼少期の頃、お家の乗っ取りを企んだ叔父に当たる親族達に両親を殺害され、領主の正統性を示す証だけを何とか持ち出して一時的に身を隠し、時期を見て家と権力を取り返したそうだ。
ただ、その家を乗っ取られてた一時期の間に、贅沢三昧、やりたい放題されてたらしく、当然領地内が荒れ、とっくに立て直してる今でも時折一般人では手に負えない破落戸連中が出没するらしい。
勿論ルア兄が、片っ端から討伐してるんだけど、たま~にラファス兄の、真っ赤な偽者が混じるっぽくて、他人の貴重な時間を潰しただけで無く、己の名も名乗らず他人の名前で楽して稼ぐなんざ良い度胸だなぁってブチ切れてたなぁ。僕も同意見だから、反論はしなかったけどね。
まぁ、自身の親族に対しても一切の手心を加えずに処刑したもんだから、ルア兄は残虐領主とか親族殺しとかって渾名を付けられてるけど、本人は全然気にして無いし、領民も領民で、それくらいの悪名が有った方がいいぐらいに思ってる程だ。
「死にたくなければ詮索しようとしたり、会おうと思ったりしないで。僕より役に立つとか言ってる事を知られた時点で、相手に相当な不快感を与えるから」
王様だろうと何だろうと、敵と認識したら、容赦無い人なんだから。
僕は真っ青になってる兄さんに釘をさしてから、ルア兄の居る領主館に向かった。
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