英雄王の末裔 ~青のラファール~

カザハナ

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~ライトフォーマー周辺~

お使い

「――ル、ラル。起きなさい、ラファール!」
「んーー……」

 昨夜遅くまで機械弄りして、夜明け前に一度起きて日課のトレーニングを済ませた僕は、再度寝床へ潜り込んだ。

「おはよ、母さん……」

 身体を起こし欠伸する僕。

「今日もアキーシィヤと出掛けるんでしょう?」
「うん」
「なら、ついでにゼノンさんにパンを届けてくれる?」

 ゼノンさんとは僕の家からずっと南に住む一人暮らしのおばあさんだ。

「いいよ、別に」

 どうせ僕達は何処へ出掛けるかはまだ決めてない。村の外に出るのもいいけど、村人のお手伝いをするのもいい。
 遅めの朝食を取りに自分の部屋を出る。
 朝食を食べていると、外で洗濯物を干してる母さんの声が聞こえてきた。

「あら、いらっしゃいアキーシィヤ!ラルは今食事中なの。ごめんね、上がって待ってて」
「お邪魔します」

 僕は急いで食事を済ます。

「ラル、来たよ」

 玄関の扉から黒髪の女の子が姿を現す。

「ちょっと待って、今終わったとこなんだ」

 僕が自分の背丈よりかは少しだけ短い両手持ち剣を背中に担ぎ、荷物を持って立ち上がる。

「うん、準備OK」



「今日はどうするの?ラル」
「ああ、ゼノンおばあちゃんにパン持ってけって母さんに頼まれたから、取り敢えずそれを届けに行くよ」

 今は一応秋の終わりだけど、極寒地方に位置するこの村の少し離れた北側や北西側は年中雪が積もってる山々があるから秋の終わりでも冬並みに寒い。その為、僕もアーヤもバッチリ防寒衣装を身に纏ってる。

「もうすぐ冬だね」
「うん……。でも、この寒さだから、直に降るよ」

 僕達は冬が来る前にこの村を出る。ここいらは豪雪地帯で、本格的に降り始めたら家に籠る。その前に兄さんが帰って来る筈だから、降り積もる前に旅に出る予定だ。それまでは、残り少ない村での生活をのんびり満喫するつもり。

「そういえば、ラルの家の北東にある小さい山みたいな場所は、絶えず雪が積もってるね」
「ああ、あそこは特別な場所だからね」

 アーヤの言う場所は、フォーゼ家の許可なしでは立ち入れない場所で、精霊がよく来る場所、所謂聖域だ。赤の血族以外で無断侵入すると、もれなく精霊達から洗礼という名のお仕置きというかいたずらというか、そんなものが待っている。
 アーヤと他愛もない話をしていると、ゼノンおばあちゃんの家に着く。

「ゼノンおばあちゃ~ん、どこ~?」

 玄関開けて家の中へと入り声を掛ける。気配からしてこっちだけど、相手に僕が来た事を知ってもらう為にも声を出す。

「ここよ、小さなお客さん達。よく来たわね、ささっ、奥へ入りなさい」

 ゼノンおばあちゃんが奥の部屋から顔を出す。

「これ、母さんがおばあちゃんにって!焼きたてのパンなんだ。保温石入れてるから、温かい内にどうぞって♪」
「まぁ、嬉しいわ♪お母さんに有難うと伝えてね」

 保温石とは一家に一つ配ってある火石と呼ばれる魔石の一種だ。純度や大きさにもよるけど、取り扱い注意な魔石である。僕ん家はメカエンジニアの僕がいるからさまざまな種類の魔石がたくさんあるけど、取り扱いが難しい物もあるから普通の村人は個人で持たない。必要なら渡すけど、ちゃんとした理由は必要。職業柄必要な人にはちゃんと配ってるからね。

「そうだ、おばあちゃん。何か困った事とか無い?」
「そうねぇ……。そうそう、薬がもうすぐ無くなってしまうの。冬籠もりもあるし、隣村チェリクに貰いに行かなきゃいけないんだけど、足を痛めてしまってね、村の外は魔物もいるし、いくら魔除けを持っていても遭遇しないとは限らないし。この足では逃げられないし、急ぐ程ではないけれど、無くなる前に補充をしたいわ」

 アーヤと互いに目を合わせ、頷き合う。

「じゃあ、僕達二人で行って来るよ!大丈夫、任せて!」
「まぁ、本当に?じゃあ、頼もうかしらね」

 大人になれば、フォーゼ家が精霊人で英雄王の末裔だと知る機会がある。だから大人達から絶大なる信頼を得るフォーゼ家の血族を、子供だからという理由で頼らない大人はいない。

「うん!じゃあ善は急げって事で、今からいってきます!」
「気を付けてね!」
「急いで旅支度をしていつもの所で待ち合わせだよ」

僕の言葉にアーヤは頷く。

「分かった」
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