15 / 113
~ライトフォーマー周辺~
話し合いは思わぬ事実を掘り出した
しおりを挟む
朝から歩き続けて夕方頃にチェリクに到着。僕とアーヤだけなら昼過ぎには着いたんだろうけど、今回は旅慣れないセレヴィスと……セレヴィスよりも体力のない兄さんがいる。まぁセレヴィスも僕達同様山育ちだし精霊の祝福も受けているから一般人より明らかに体力あるんだろうけど。ただ、僕等の事を子供とか言うなら、その子供にぐらい勝ってよね。旅慣れないセレヴィスのペースに合わして歩いてるのに息切れしてるってのはちょっと情けないと思う。
今日はチェリクに泊まるけど、王都行きの護衛付き定期便馬車が来るまで滞在するか、歩いて南下するか、定期便じゃない馬車に乗せてもらえるよう交渉するか。僕とアーヤだけなら歩きでも問題なかったけど、セレヴィスはともかく、この兄さんには無謀かな。体力無さ過ぎだし。……ってか何で年上の兄さんの面倒まで僕が見なきゃなんないのさ。本当足手まといだな、この兄さんは。
さて、それより今後の方針を決めなくちゃ。
チェリクに一つしかない宿屋に入り、二人部屋を二つ、その内の一つに集まっての話し合い。
「今日はここに泊まるとして、定期便の馬車を待つか南下する馬車に交渉して乗せてもらうか。一応安全性を取るなら定期便、速さを取るなら交渉。セレヴィスはどっちがいい?」
「えっ、俺?」
「だってセレヴィス、チェリク自体初めてだろ。僕は何度も他の大陸まで行ってるし、アーヤもこの大陸なら、唯一の港町になるエルト・デ・ルムにまで行ってるからな」
「えっ、ラファールってそんなに旅してるの?」
「一応は」
僕はラファス兄と何度もあちこち行ってるし、アーヤも東大陸内ならって事で最南端に位置するエルト・デ・ルムまで連れて行ってくれたんだ。
他の大陸だと、仕事で抜ける事が多く、僕は一人にしても心配ないけど、たまに僕にもお呼びが掛かるから、アーヤを一人にして何かあったら大変だからとの配慮でアーヤはこの大陸止まりだ。実際他の大陸、特に中央の時だと、何かしらトラブってる時が多いんだよね。主にラファス兄の同僚であるトラブルメーカーの所為で……。
「ねぇねぇ、ラファールってさ、いつぐらいから旅とかしてたの?」
「物心付いた頃から」
あまり教えてやる気のない僕は、さらっと返すとちょっと固まるお兄さん。
「いや、あの、ええっと……そう、なんだ?」
(会話が続かない!何とか続けなきゃ!)
リノアーノは焦る。
「どんな所とかに行ったの?!」
「色んな所」
又もや僕が終止符を打つと、半ば躍起になってきてるっぽい。再度僕に詰め寄る勢いで兄さんが問い掛けて来る。
「じゃっ……じゃあ、五大陸では何処に行ったの?!」
「一通り」
「……えっ?……北も南も東も西も中央も、全部行ったのぉ~~~?!!」
「五月蝿い叫ぶな、宿屋の迷惑」
「うっ!……」
僕の横でアーヤも冷めた眼差しを兄さんに向けながらコクコク頷く。
部屋の中で叫ばれたら周りの僕等も大迷惑だってのに。そもそも今いる東を行ったのかなんて含めんな。まぁ、それはともかく聞きたいことが出来た。
「そういや兄さんは東以外は何処に行ったの?」
「え?」
(ハッ!やっと会話らしい会話が出来る!!)
握り拳を作って目をうるうるさせながらキラキラ輝いてる兄さんに若干僕達は引く。
「僕はね、中央大陸の国々を一周してから東大陸に来たんだよ♪」
その言葉に、僕は本気で引いた。
「……何処に行ったって?」
「だから、中央大陸の四つの国を――」
「三つ!デ・フォン領域は国に属さない!!」
「あ、そっか!そういやそうだったね」
(おいおい……この兄さん本当に中央大陸出身者か?自分の出身大陸の内情忘れるか?普通……。村から出ないならともかく、旅人としてそれはどうよ……)
「その三つの国と、デ・フォン領域……っていってもその内の一つの国に住んでたんだけど、大陸を出る時の港で一番近い大陸が東だって聞いたから、東に来て見たんだ♪」
(ご機嫌なのはいいけどさ、軽いのは頭じゃなく外見だけにしてくれよ……)
かなり辛辣な事を思っているが、そう思うのも仕方のない理由がちゃんとある。
(うーわぁ僕、頭痛くなってきた~……)
今日はチェリクに泊まるけど、王都行きの護衛付き定期便馬車が来るまで滞在するか、歩いて南下するか、定期便じゃない馬車に乗せてもらえるよう交渉するか。僕とアーヤだけなら歩きでも問題なかったけど、セレヴィスはともかく、この兄さんには無謀かな。体力無さ過ぎだし。……ってか何で年上の兄さんの面倒まで僕が見なきゃなんないのさ。本当足手まといだな、この兄さんは。
さて、それより今後の方針を決めなくちゃ。
チェリクに一つしかない宿屋に入り、二人部屋を二つ、その内の一つに集まっての話し合い。
「今日はここに泊まるとして、定期便の馬車を待つか南下する馬車に交渉して乗せてもらうか。一応安全性を取るなら定期便、速さを取るなら交渉。セレヴィスはどっちがいい?」
「えっ、俺?」
「だってセレヴィス、チェリク自体初めてだろ。僕は何度も他の大陸まで行ってるし、アーヤもこの大陸なら、唯一の港町になるエルト・デ・ルムにまで行ってるからな」
「えっ、ラファールってそんなに旅してるの?」
「一応は」
僕はラファス兄と何度もあちこち行ってるし、アーヤも東大陸内ならって事で最南端に位置するエルト・デ・ルムまで連れて行ってくれたんだ。
他の大陸だと、仕事で抜ける事が多く、僕は一人にしても心配ないけど、たまに僕にもお呼びが掛かるから、アーヤを一人にして何かあったら大変だからとの配慮でアーヤはこの大陸止まりだ。実際他の大陸、特に中央の時だと、何かしらトラブってる時が多いんだよね。主にラファス兄の同僚であるトラブルメーカーの所為で……。
「ねぇねぇ、ラファールってさ、いつぐらいから旅とかしてたの?」
「物心付いた頃から」
あまり教えてやる気のない僕は、さらっと返すとちょっと固まるお兄さん。
「いや、あの、ええっと……そう、なんだ?」
(会話が続かない!何とか続けなきゃ!)
リノアーノは焦る。
「どんな所とかに行ったの?!」
「色んな所」
又もや僕が終止符を打つと、半ば躍起になってきてるっぽい。再度僕に詰め寄る勢いで兄さんが問い掛けて来る。
「じゃっ……じゃあ、五大陸では何処に行ったの?!」
「一通り」
「……えっ?……北も南も東も西も中央も、全部行ったのぉ~~~?!!」
「五月蝿い叫ぶな、宿屋の迷惑」
「うっ!……」
僕の横でアーヤも冷めた眼差しを兄さんに向けながらコクコク頷く。
部屋の中で叫ばれたら周りの僕等も大迷惑だってのに。そもそも今いる東を行ったのかなんて含めんな。まぁ、それはともかく聞きたいことが出来た。
「そういや兄さんは東以外は何処に行ったの?」
「え?」
(ハッ!やっと会話らしい会話が出来る!!)
握り拳を作って目をうるうるさせながらキラキラ輝いてる兄さんに若干僕達は引く。
「僕はね、中央大陸の国々を一周してから東大陸に来たんだよ♪」
その言葉に、僕は本気で引いた。
「……何処に行ったって?」
「だから、中央大陸の四つの国を――」
「三つ!デ・フォン領域は国に属さない!!」
「あ、そっか!そういやそうだったね」
(おいおい……この兄さん本当に中央大陸出身者か?自分の出身大陸の内情忘れるか?普通……。村から出ないならともかく、旅人としてそれはどうよ……)
「その三つの国と、デ・フォン領域……っていってもその内の一つの国に住んでたんだけど、大陸を出る時の港で一番近い大陸が東だって聞いたから、東に来て見たんだ♪」
(ご機嫌なのはいいけどさ、軽いのは頭じゃなく外見だけにしてくれよ……)
かなり辛辣な事を思っているが、そう思うのも仕方のない理由がちゃんとある。
(うーわぁ僕、頭痛くなってきた~……)
0
あなたにおすすめの小説
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-
ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。
断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。
彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。
通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。
お惣菜お安いですよ?いかがです?
物語はまったり、のんびりと進みます。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる