英雄王の末裔 ~青のラファール~

カザハナ

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~ライトフォーマー周辺~

話し合いは思わぬ事実を掘り出した

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 朝から歩き続けて夕方頃にチェリクに到着。僕とアーヤだけなら昼過ぎには着いたんだろうけど、今回は旅慣れないセレヴィスと……セレヴィスよりも体力のない兄さんがいる。まぁセレヴィスも僕達同様山育ちだし精霊の祝福も受けているから一般人より明らかに体力あるんだろうけど。ただ、僕等の事を子供とか言うなら、その子供にぐらい勝ってよね。旅慣れないセレヴィスのペースに合わして歩いてるのに息切れしてるってのはちょっと情けないと思う。
 今日はチェリクに泊まるけど、王都行きの護衛付き定期便馬車が来るまで滞在するか、歩いて南下するか、定期便じゃない馬車に乗せてもらえるよう交渉するか。僕とアーヤだけなら歩きでも問題なかったけど、セレヴィスはともかく、この兄さんには無謀かな。体力無さ過ぎだし。……ってか何で年上の兄さんの面倒まで僕が見なきゃなんないのさ。本当足手まといだな、この兄さんは。
 さて、それより今後の方針を決めなくちゃ。
 チェリクに一つしかない宿屋に入り、二人部屋を二つ、その内の一つに集まっての話し合い。

「今日はここに泊まるとして、定期便の馬車を待つか南下する馬車に交渉して乗せてもらうか。一応安全性を取るなら定期便、速さを取るなら交渉。セレヴィスはどっちがいい?」
「えっ、俺?」
「だってセレヴィス、チェリク自体初めてだろ。僕は何度も他の大陸まで行ってるし、アーヤもこの大陸なら、唯一の港町になるエルト・デ・ルムにまで行ってるからな」
「えっ、ラファールってそんなに旅してるの?」
「一応は」

 僕はラファス兄と何度もあちこち行ってるし、アーヤも東大陸内ならって事で最南端に位置するエルト・デ・ルムまで連れて行ってくれたんだ。
 他の大陸だと、仕事で抜ける事が多く、僕は一人にしても心配ないけど、たまに僕にもお呼びが掛かるから、アーヤを一人にして何かあったら大変だからとの配慮でアーヤはこの大陸止まりだ。実際他の大陸、特に中央デ・トルトの時だと、何かしらトラブってる時が多いんだよね。主にラファス兄の同僚であるトラブルメーカーの所為で……。

「ねぇねぇ、ラファールってさ、いつぐらいから旅とかしてたの?」
「物心付いた頃から」

 あまり教えてやる気のない僕は、さらっと返すとちょっと固まるお兄さんリノアーノ

「いや、あの、ええっと……そう、なんだ?」

(会話が続かない!何とか続けなきゃ!)
 リノアーノは焦る。

「どんな所とかに行ったの?!」
「色んな所」

 又もや僕が終止符を打つと、半ば躍起になってきてるっぽい。再度僕に詰め寄る勢いで兄さんが問い掛けて来る。

「じゃっ……じゃあ、五大陸では何処に行ったの?!」
「一通り」
「……えっ?……クヴェアファデルクイファデラ西エーファ中央デ・トルトも、全部行ったのぉ~~~?!!」
「五月蝿い叫ぶな、宿屋の迷惑」
「うっ!……」

 僕の横でアーヤも冷めた眼差しを兄さんに向けながらコクコク頷く。
 部屋の中で叫ばれたら周りの僕等も大迷惑だってのに。そもそも今いる東を行ったのかなんて含めんな。まぁ、それはともかく聞きたいことが出来た。

「そういや兄さんはここ以外は何処に行ったの?」
「え?」

(ハッ!やっと会話らしい会話が出来る!!)
 握り拳を作って目をうるうるさせながらキラキラ輝いてる兄さんに若干僕達は引く。

「僕はね、中央大陸の国々を一周してから東大陸に来たんだよ♪」

 その言葉に、僕は本気で引いた。

「……何処に行ったって?」
「だから、中央大陸の四つの国を――」
「三つ!デ・フォン領域は国に属さない!!」

「あ、そっか!そういやそうだったね」

(おいおい……この兄さん本当に中央大陸出身者か?自分の出身大陸の内情忘れるか?普通……。村から出ないならともかく、旅人としてそれはどうよ……)

「その三つの国と、デ・フォン領域……っていってもその内の一つの国に住んでたんだけど、大陸を出る時の港で一番近い大陸が東だって聞いたから、東に来て見たんだ♪」

(ご機嫌なのはいいけどさ、軽いのは頭じゃなく外見だけにしてくれよ……)
 かなり辛辣な事を思っているが、そう思うのも仕方のない理由がちゃんとある。
(うーわぁ僕、頭痛くなってきた~……)
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